第1回
賛<否両論映画をみよう!!
『パーフェクトセンス』編

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人類が五感を徐々に失ってゆく、パニックパンデミック……と期待してこの映画を見た人には、退屈そのものだったに違いない。なんせ、この映画には混乱で逃げ惑う人々も、ガソリンスタンドに車が突っ込んでドーンなんてものはない
凄く静かでアクションなんてなにもない。

いーや、なくていい!!

そんな、大衆に向けた映画ではないんだ。
凄く限られた、傷つき絶望に満ちた人。人を傷つけ罪悪感に囚われた人間。弱く、悪といわれる感情を抱えてしまった人に向けて描いている。
】と【イメージ】が所々流れ、誰かへの言葉ではなく「光」「男と女」「仕事」などあたりさわりのない。それは傷を優しく探し出してくれるかのように。そして自分自身の話をしてくれているのだと気がつくんだ。

どうしようもない悲しみにくれ、嗅覚を失う。
どうにもできない恐怖が襲い、味覚を失う。
怒りが身体を支配し、聴覚を失い。
そして、喜びに満ち溢れるなか、視覚を失う。

何かを失う瞬間に突如感情が溢れ出してしまう。理由なんてわからないけど、どうにもできなくて、人の温もりを求め、大切な人をまた傷つけてしまう。哀れな生き方しかできなかった自分自身に、鼻も耳も目もなにも感じなくなってしまう中、最後に残された感情こそが愛であると、映画を見ながら自分にとって一番大切な人のことを思うでしょう。そして、それがなんであろうと、この映画は優しく"肯定"してくれるのです。


泣ける映画とも違うだろうけども、
生きようと思えるそんな映画です。

オススメ度は…☆☆★★★
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