ギャガ・コミュニケーションズ
フランシスコの2人の息子

いやあ、これはよかったです!

ってなぎささんと同じ感想になってしまいますわ。(笑)


すごくストレートで直球、しかも剛速球な感動物語

素直に心打ち震えました!


これは実話を元に作られた作品である・・・・

このテロップももう観客を感動させる機能は電池切れしちゃったかのように

乱発されますよね。

この作品だって、「またかよ~」という気持ちになりましたもの。


ブラジルでは知らぬ人のいないというジジ・ゼ・カマルゴ&ルシアーナ。

ブラジルのカントリー「セルタデネージョ」を歌う実の兄弟。

14年間でCDセールス2200万枚を売るという脅威の人気グループ。

彼らの半生とそれを支え続けた両親の物語。


わたしは全く彼らのことは知らなかったんです。

そもそもブラジルといえば、ボサノバやサンバって頭があって、

こんなにも素朴で清らかな歌があるとは思いもしませんでした。


フランシスコを演じる俳優さん、ちょっとサム・ニールにも似た

渋い男前ですね。

エレーナ演じるお母さんも存在感ありました。


小作人のフランシスコの家は貧しいが、音楽好きの彼の楽しみは

ラジオで毎日音楽を聴くこと。

「長男は歌が好きだから、次の子が男の子なら歌手にしよう」なんて冗談半分、本気半分・・・・

と思ったら、産むわ産むわ!

あれよあれよというまに7人もの子だくさんに!

前半はテンポもよく、面白いです。


「小作人なんて俺一人でたくさんだ。彼らに音楽をやらせよう」なんて言って、

長男のミロズマルにハーモニカを渡し、歌手になれるようにとのど自慢があれば出場させてやる。

しかしめちゃくちゃオンチなことがわかって特訓がはじまる。

にわとりだって毎日歌ってればうまくなる。

あやかって毎日たまごを飲め!と半ば強制!


それでも音楽の楽しさを知ったミロズマル、次はとばかりに次男にもギターを・・・

土地代を前借りしてまで、楽器を与え、

自宅は学校から遠いと壁をぶち抜いてこどもたちに教育を施す。


そんな型破りなフランシスコ、近所の人や、義父は

「あいつはとうとうイカレちまった」と嘆く。

ラジオ出演の声がかかるも、せっかく練習した歌が軍隊を非難するような歌詞

だと言われ、検閲にひっかかる。


とうとう家賃を払えなくなり、ボロ家への引越し。

でもフランシスコは前向きで雨漏りだらけのその家でも

「電気がつくぞ!」とこどもたちを笑わせる。


しかし、末っ子がポリオであることがわかり、

一生歩けないと宣告され、夫婦は絶望の淵に。

泣き続ける赤ちゃんをあやしながら思わず、涙にくれる母の姿・・・・


ミロズマルは次男エミヴァルに声をかける。


なんてすがすがしい歌声!

二人でバスステーションにやって来て、弾き語りをはじめるそのシーン。

わたしはこのシーンがもっともジンと来ました。


好評を博し、空き箱にはたくさんのお金が投げ込まれた。


それを見ていた音楽エージェント、ミランダのスカウト。

「この子らは成功するよ、まちがいない」


ミランダのサクラのような客引き、そしてピンはね。

でも演奏の楽しさを知ったミロズマル。

一方のエミヴァルはまだ母親が恋しいのか、帰りたがってる。

それにしても何の契約書もなく、バスで4ヶ月も幼い子らを連れまわして

連絡の1本もよこさないなんてこと、あるのだろうか?


あまりに長い間、こどもらが帰ってこなかったこともあって母親は激怒!

二度とツアーには連れて行かないと誓う。

自分達だけで成功しようとオーデションに並ぶとき、またミランダとの再会。

すると彼のほうから「悪かった」と謝ってきて・・・


今度はうまく行く・・・・

ミランダも心いれかえ、大切にしてくれる。

そう思った矢先の交通事故。

ミランダとミロズマルは間一髪助かったが、弟エミヴァルは・・・・


その後も歌をあきらめなかったミロズマルは単身都市へと向かい、

女性と組んでほそぼそと活動していた。

この青春期はいわば第2部って感じ。

アイドル映画そのままで、結構長く、つまらない。


11歳年下のウェルソンも音楽が好きで兄のレコードデビューを心待ちにしている。

兄はなかなかデビューできない。作曲家としてはそこそこなのに・・・

エミヴァルのことがあったからか、なかなか弟と組もうとしないミロズマルだったが、

歌いたいと願う弟と再び組むことにし、やっとレコードデビュー。


しかし、泣かず飛ばず・・・・


ここでフランシスコ、有り金をコインにかえて

地元ラジオ局にリクエストしまくる。

職場の人、知人、電話をかけに来た人に・・・・・


このあたりももうベタベタなんだけど、なぜかぐっと来た!

そして、フランシスコがリクエストをやめても彼らの曲は急上昇をやめなかったっていう

ナレーションでどんと落ちたね。また涙・・


母親がこの先どうしようかと落ち込んで泣いているのを

見て、バスステーションで稼ぎに行った兄弟の姿。

父フランシスコがみせる兄弟へのせいいっぱいの支援・・・・


この2本の軸でかなりやられますね。

スポーツ選手にしろ、音楽家にしろ、親子鷹の成功秘話というものはそれだけでドラマになる。

ま、これは成功したからこそ、なのかもしれないけれど、

クレイジー呼ばわりされてもいつも子どものことを思い、

けして夢をあきらめなかった両親への感謝の気持ちが映画にあふれる。


最後には実際のデュオが登場し、現在のフランシスコと母の姿も・・・・



こちら本物のゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーナ


本編の子ども時代が結構可愛いので、このギャップにはありゃりゃとは思ったが・・・


それにこの子ども時代をやった子役の子達は役者ではなくて

やはりストリートで歌ってる子たちなので、第二のゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーナを

夢見てるのかなって重ね合わせることでまたまたぐっと来たりして・・・


ストレートに感動しますよ、これは。


最後にバスステーションシーンで歌った「僕が家を出た日」の歌詞を・・・


僕が家を出るとき母さんは言った


”息子よおいで”


僕の髪をなでながらじっと目を見て


”お前がどこへ行こうと母さんの心の中にいる


毎日神に祈っているわ お前の道を照らしてと”


母さんには分からない


僕が家を出る理由


でも知っているんだいつか息子は鳥になって飛び立つと


家を去るのはつらいけど


僕の運命が決めたこと


戸口で僕を見送る母さんは泣いていた



・・・・う~ん、いつかそんな日が来るのだろうな。(涙)

でもその時は笑って送り出してあげたいなと思いますね。

サントラ, ゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノ, アントニオ・マルコス, マリア・ベターニャ, ワネッサ・カマルゴ, カエターノ・ヴェローゾ, ネイ・マトグロッソ, ナンド・ヘイス, ゼゼ・ヂ・カマルゴ
フランシスコの2人の息子

サントラにはカエターノ・ヴェローゾの名前もある。

聴き応えありそう!