ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
シャロウ・グレイブ

ニー・ボイル監督作品。(1995年)


ニー・ボイルといえば「トレイン・スポッティング」

一躍メジャーになりました。


これは記念すべき第一回長編監督作品。

やっと観ました。


それ以降の作品はすべて観ています。好きな監督さんです。


非常にシンプルな物語です。

主な登場人物は3人


舞台は瀟洒なアパートメント⇒イギリスではフラットというらしい。

密室で起こる愛憎劇とでもいいましょうか?

イギリスのどんよりとした雲が立ち込める曇天のような

ジメ~っとした雰囲気。とかげ


いかにもイギリスの映画って感じです。

なんとなくヒチコックのハリーの災難を連想してしまいました。


今公開中の「ブラック・ダリア」も死体がある意味主役なようですが、

この作品も主役は死体といってもいいかもしれませんね。オバケ


なんせ、死体のアップで始まり、死体のアップで終わる。。。


そして麻薬と大金。金


そして3人の男女。

しかもドリカム編成!


非常に古典的、クラシカルなスリラーといっていいでしょう。


シャロウ・グレイブとは浅すぎたお墓。

転じて、浅はかな考えというような意味あい。

(間違ってたら訂正プリーズ!)


フラットに住む医者のジュリエット、(ケリー・フォックス)

ジャーナリストのアレックス(ユアン・マクレガー)

会計士のディビッド(クリストファー・エクルストン)

は新しいルームメイトを募集中。


広告欄に募集をかけて何人かを面接する。

そして自称作家のヒューゴーを迎えることに。

ここでもう、ブラックジョーク。

ヒューゴー賞として名高いヒューゴー・ガーンズバックから

頂戴したんじゃないかと思うな、わたしは。


彼の創刊した雑誌はあの有名な「アメージング・ストーリー」!

この作品もアメージングってか。(笑)


ダニー・ボイル監督の撮る人物、とにかく顔が

いじわる!


よく暗がりで懐中電灯で下から照らすと

本当に顔がちがってみえるけれど、

あんな風に役者を撮る監督さんです(ごめん、抽象的で)


ここではあのオビワン・ケノービ、天下のユアン・マクレガー

もただの底意地悪い生意気な若造です。


面接での彼らの言動、ふるまいがヒジョーに腹立たしい。

げらげら笑って「あ、まだいたの~?」なんて

俺ら、わたしらとつりあいの取れる人でないとね。

スノッブな人でないとね。

そうそう、話合わないから~


いったいナニサマっだっていうの!!パンチ!

と怒マークが5個はつく!!

それもこれも立派なフラットに住んでるといううぬぼれからきてる。

実際とてもステキなインテリア。

でもなんとなくかび臭いのよね。

胡散臭い。この作品の登場人物のように。


人物設定が実にうまいうまい。


彼らの職業もまたワカモノが憧れる職業ベストテンなんてあったら

上位に来そうな、職業。


けっしてブルーカラーではない、といううぬぼれ。

収入も高くないとこのようなお屋敷には住めない。


新ルームメイトのヒューゴー、なんと入居してすぐに死んでしまう!

その死体がまた絵画のようでなんともいえない。

ベッドに横たわり、股間にはらりとシルクの布をかけてます。

(タイトルがわかんないけど、有名な絵画を模してる。ご存知の方、教えてください)

死因は麻薬の大量摂取。

ヒューゴーの部屋から見つかったトランクには

これまた大量の現金があったから、さあ大変。お金

自称、作家なんて大嘘。


類は友を呼んだんだね。

合掌!ドクロ


あんたたち、お金には困ってなかったんじゃないの?

悠々ステキライフ過ごしてたんじゃないの?


なのに目の前の大金と言うのはこれほどに

人を破滅に追いやるのでしょうか?


死体はそっちのけで目の色変える3人。

ほんとうに見ていて腹が立ってくる、というかいったいどうするんだろう?

とあきれちゃう。

いじわる顔満載です。


どーする?パアっと使っちゃおうか?

馬鹿丸出しです。


ヒューゴーも森に埋めることにするんだけど、

切り刻んで証拠隠滅を図る。Shock

それをするのはディビッド。

そして会計士のディビットが壊れていきます。


ジュリエットとアレックスでくっついたり、

ジュリエットはディビットに乗り換えたり。

女はいつも優位に立ちます。


ジュリエットを演じてるケリー・フォックス、

この作品でしか知らないんだけど、意地悪顔がまた

妙にあってる。


ディビットは天井裏にこもってしまう。

そして天井裏に穴をあけて2人を監視。

ディビッドを演じるはクリストファー・エクルストンは

「28日後」では大佐の役で登場。



他にも「アザーズ」とかたくさんいい映画に出てますね。


もうここにすべての要素が入ってる。

後のトレスポ⇒普通じゃない⇒ザ・ビーチ⇒28日後⇒ミリオンズと

使う小道具や設定はさほど変わらない。

ここが原点でいろいろにふくらませたり削ったり、アレンジしたりしてる。


それなのに毎回まったくちがうテイストに仕上げるんだからすごい。


ディビッドは麻薬をかぎつけた組織の連中まで殺めてしまう。

そして死体は再び切り刻まれる。Shock

すべての汚い仕事をディビッドのみにやらせるアレックスとジュリエット。


アレックスといえば、スタンリー・キューブリック監督の

「時計仕掛けのオレンジ」が思い起こされます。

少し重なるところがありますよね。

キューブリック監督もまた偉大です。


後の映像作家で影響された人は数知れず。。。

人間の汚い部分をまっすぐに見つめてる点が、

観る人をひきつけてやまない。


ラスト、生き残ったのは誰だ?

去ったのは誰だ?

死んだのは誰だ?

あの満面の笑みがまたいやらしい。

しかし、そうは問屋がおろさなかった!


このカメラワークが最高です。


そして歌い上げるのがアンディ・ウィリアムスの「HAPPY HEART」

馬鹿にしてる!