思い込みと嘘の境界線ってどこだろう?

                                          


この映画の主人公スティーブン・グラス、弱冠24歳。


冒頭では新人として「ザ・ニュー・リパブリック」にやってくる。


意気揚々としている前途有望な若者だ。


最初の編集長に気に入られ


同僚達にも好かれすばらしい滑り出しだ。


編集会議の時はみながスティーブンの次の記事を楽しみにしている。


しかし記事のほぼ半分は捏造だった。


やさしくて人気者だがどこか壁がある感じを


ヘイデン・クリステンセンがうまく演じているなと思った。

オンラインメディアからの指摘で記事が不確かなことがわかる。


新編集長のチャック(ピーター・サースガード)の徹底的な検証。


チャックの役どころは人望の厚かった前編集長を影で


失墜させたと思われている憎まれ役。


でも本当はこの人だって

ステーブンが憎くてやってるわけじゃない。


むしろ内々で処理しようと考えてくれている。


だんだん真実に近づくチャック、


暴かれないようになおも嘘に嘘を重ねていくスティーブン。


このあたり緊迫感に満ちていて見ごたえがあった。


素直に謝ってしまえばすむのだが、


まだ「情報源にだまされた」


などと被害者になりすますスティーブンにはむかついてくる。


DVDの特典映像に本人のインタビューがはいっている。

どうやってチェックをかいくぐってありもしない会社や人物を信用させたのか?という問いに


「チェックをすりぬけるのは簡単なことさ。

取材ノートには同僚をたくみにだますうそが入っている」



それを聞いて「はあ?てめえ何様だー!ゴルァー」


マジャばりに激怒してしまった。


世の中にはなぁてめえのようなやつでも心配したり気にかけてくれる人たちがいるんだよ。

そういう人たちにも顔色ひとつ変えずに嘘をつきとおすなんてお前には赤い血が流れてんのかー

カンカンカンカンー!!!!


でもスティーブンはこうやって生きてきたんだなあと思った。


親や周囲に気に入られようとしてやってきたことなのだ。


認められようとして好かれようとして嘘をつく。


認められなくったって本当はいいのにね。


ありのままの自分で。

記事だって面白い必要はないのだ。


真実を待っているのだ。


面白い記事・楽しい・気配り・やさしい・嘘 がスティーブン・グラスのキーワードで

面白みにかける・冷たい・きびしい・真実 がチャック・レーンのキーワードかな?

2人の相反するものを浮かび上がらせたことで面白くなっていると思う。


ふと

金子美鈴の詩「みんなちがって みんないい」を思い出してしまった。


わたしはチャックの視点で見ましたが、

(この映画で初めて知ったのだが編集長役のピーター・サースガードがいいですね。)

10代20代のころならまたちがった感想を持つかもしれません。


本棚にずらりと並ぶザ・ニュー・リパブリック誌。

チャックがスティーブンの記事のある号を床に落としていくシーンが印象に残った。




ヘイデン・クリステンセン           
  それにしてもヘイデン・クリステンセン君かわりすぎ
      
                                   ニュースの天才          

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小ネタ 

製作総指揮があのトム・クルーズだそうで

なるほど

ヘイデン君が腰をふりながら言うせりふ

「ザ・エージェント」の「ショウ・ミー・ザ・マネー!!」なんですね!