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以前、さまよう成人発達障害者という記事を書いたことがあります。今の成人発達障害には、二次障害を直すための「医療支援」と、職を得るための「就労支援」という極端な二つしか与えられていません。しかし、実際にはもっとも大切な「もうひとつの支援」が要ると思うのです。今日はそんな記事です。

先に、その支援は何かと、結論を言ってしまうと、
自我や自己の確立が遅れがちな発達障害者に、
その確立が進んでいくよう、
周囲が適切なかかわりを持って、
安心して成長していくための場

ではないかと、僕は考えるのです。

発達障害は医学的に治癒できない障害なので、当事者さん自らが、自分の特性に理解を深め、どう付き合っていくのか、また、対人関係に困難を抱えた自分の特性を持ちながら、どう社会と向き合っていくのかを、自分で作っていかなければなけないという手順があるからです。

もし、二次障害で自己否定を抱えてらっしゃる場合は、
過去に散々受けた周囲からの否定体験を、
全く新しく塗り替えるような肯定体験の積み重ねの上で、
前記のような手順を踏むことが必要なのでしょうね。

こうしたこと無しに、年齢を重ねるばかりなら、
自分の特性を把握・理解も出来ずに、
「なぜ自分は周囲から疎外されるのだろう」
「なぜ自分はいつも集団に入れないのだろう」
などと、出口の無いトンネルで、
否定体験を全て、自分だけに原因があるように考えた上、
深い失意のそこに沈み続けるような日々を、
重ねることになりかねません。


【診断が降りても、支援は始まらない現実】
さて、成人発達障害者には、大人になるまで周囲も障害に気が付かず、自ら病院を渡り歩きながら、診断まで数年を要してこぎつけたという方が結構いらっしゃいます。こうした方々は、発達障害の診断を得て、ホッとすることが多いと聞きます。長年、自分が感じ続けていた違和感の原因がハッキリしたからなのでしょうね。

ようやく、何年も掛けて、診断にたどり着いたというのに、
実はそこから、周囲は何もしてくれないことも多いと聞きます。

成人発達障害者への支援というと、
施設もノウハウもまだまだ足りず、
病院で二次障害の治療をするか、
ハローワークで就労支援を受けるかと、
二極化する
といいます。

実は、成人発達障害者には、
自我の未確立や、自分探しという
大きな課題が残されているのに、
そこへの支援はほとんど無い
といってよいのでしょうね。

【発達障害者の自我の確立・自分探し】
さて、話は変わって、
発達障害者は、平均的に非常に若く見えます。
服装だけでなく、物腰や表情を含めて、
5~10歳くらい若く見える人がザラです。

しかしこれは喜んでばかりはいられないと僕は考えています。
見た目が若々しいだけではなく、自我が未成熟で、
どこか、思春期の迷いの様なものを持ったままに、
大人になった方が、結構いらっしゃる
と感じるからです。
要は、障害特性が原因で、
大人としてのアイデンティティーが確立され難いわけです。

【発達障害者の自我が確立され難い理由】
このように、発達障害者の自我が育ちにくいのには
いくつか理由があると感じます。

まず、年齢相応に大人びて行き難いという障害特性を持ち合わせること。

例えば、中学生になっても、家族の中で、
お風呂上りに全裸で歩き回ったりなどという風に、
年齢が上がっても、自然には
その年齢相応の行動が身についていきにくいのです。
スキルというカタチで、
しっかりと言語化して教えていかないと、
「歳相応」などという曖昧なものが分かり難いのでしょうね。

次に、小学生以来、集団に入れない人が多く、思春期に同級生や先輩後輩などと人間関係を試行錯誤する機会に恵まれないため、自分というものが確立できにくいのだろうと想像します。

ひとの自己確立というのは、一人では難しいそうです。
他人という鏡を用いて、自我は確立されていくそうなのです。
自分の行動が、他人によって反応され、
それに呼応して自らの行動も調整される

それが人の自己確立であり、
社会性の修得なのだそうです。

ところが、発達障害者の対人関係は、
周囲からの否定ばかりですから、
「自分は何をやっても受け入れられない。
 だめな人間なのかもしれない」と自信を失うばかりです。

成人当事者さんには、
そんなかかわりの中で、
自信無さげで、自己・自我も成熟な方が、
割合、多いと感じます。

また三つ目として、自らを客観視しにくいという特性もあるように感じます。

客観視するためには、
他人からの視点が必要です。
自分が思う自分のほかに、
人から見た自分があって、
そこに始めて客観視が成立します。

ところが、発達特性の「想像性の障害」がそこを阻害します。

もっと判りやすく言うと、
他人と自分の比較が困難
そして、自分を取り巻く周囲状況を性格に把握できにくく、
また、事後策も、周囲との調和策がとりにくい


そんなところで、発達障害者というのは、
年齢を重ねたからといって、
自然に、大人びたり、自我が確立されたり、
といったことが難しい障害
ともいえると、
僕は思っています。

【真に必要な支援とは・・・】
発達障害者に必要な、もうひとつの支援。

それは、発達障害者が、
真に大人になるための成長の場ではないか、
と僕は思っています。

よくSST(ソーシャルスキル・トレーニング)や、
コミックストーリーなどの場面的教示などが、
発達障害の支援として言われますが、
僕はそれだけでいいのかなぁと思います。

当事者さんが、正しく自分を映せる鏡を見つける場
という言い方も出来ると思います。

障害特性のちょっと風変わりに見えるかもしれないところなどを、
まるで気にも掛けずに、その人の本質を見てくれる人が、
関わってくれる場・・・と言い換えてもいいでしょう。

そんな場で、自分の特性をもう一度見つめなおし、
その障害特性と自分はどう付き合い、
そして、周囲にどんな自分を見せて、
社会とどう関わっていくのか。

それを自分で作り直さなければいけないのが、
今の成人発達障害の悩みなのだろうと、
僕は考えています。

また、いつかは、こころぴあビレッジが、
そんな場をご提供できるように、
なっていきたいと、夢見ています。

僕が今回、「発達障害 特性理解の為の1日ワーキング」
という行事を開催するのも、そのための布石です。

今世間で語られている障害特性は、
ぼくは「医師が、患者を診断するための基準」だと思っています。
でもこの障害が、医学的に直せない以上、
当事者さんには、
「自らを見つめなおすために必要な障害特性の整理」
が必要
だと、僕は考えているのです。

このブログでも、何度か書きかけている、
外見から見た特性ではなく、
当事者の内面目線から見た、
行動原因としての障害特性を、
さらに分析していくこと。
それが、「発達障害 特性理解の為の1日ワーキング」
の狙いでもあります。

医師でも、臨床心理士でもない僕が、
そこを確立していくのには、
皆さんのお力をお借りする必要が、
まだまだあるのです。

さて、今日は、成人発達障害に、
現状ある「医療的な支援」と「就労支援」のほかに必要な、
もうひとつの支援について記事にしました。

成人発達障害者の自己確立課題。
そこに目を向けてみることも、
大切なのではないかと思うのです。

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発達障害者支援団体 こころぴあビレッジ 行事ご予約はこちらから】
http://cocopv.jpn.org/yoyaku.html

発達障害者支援団体 こころぴあビレッジ 行事ご案内】
発達障害を共に考える会
当事者・家族・支援者のいずれもが参加出来て、
共に互いの思いを感じ、理解を深める為のワークです。
事前に「テーマ」を定めてスピーチつきのグループワークと、
スピーチ無しの「ノンテーマ・フリートーク」の2通りで開催。
今回は、午前に勉強会を開催し、午後はグループワークです。
発達障害の家族や支援に関する悩みなどについて、
参加者の方々の思いを、共に語り、聴き、感じるワークです。

2011.12.10(土) 10:00~16:45(開場9:50)
テーマ「発達障害 特性理解の為の1日ワークショップ」
定員20名(要予約)


発達障害 家族限定グループワーク
日頃の生活を離れ、ゆったりと過ごすお時間はいかがでしょうか
同じ境遇を持つもの同士、悩みを語ったり、
わからにことを質問してみたり、
互いの経験を交換し合って、
問題を一つ一つほどいていく・・・
そんなグループを目指して、開催しています。

2011.1.13(金)10:00~14:00
大阪市 北区・中央区の貸し会議室にて開催!
少人数制(10人程度) 要予約

フェルデンクライス・ボディーワーク教室
ゆったりとした時間の中で、
ココロとカラダの調和を取り戻していく教室です。
無理な姿勢や激しい運動は一切ないので、
お気軽に御参加いただけます。

お時間はいずれも18:30~20:15
2011.12.07(水)
2011.12.20(火)
大阪市北区・中央区の貸し部屋にて開催!
少人数制(6~8人) 要予約