特別支援教育部門 第2位
発達障害部門 第4位
さて、早期診断・早期療育に関してもシリーズ6回目です。今日は、支援を受けられるかどうかの判断基準にIQ値で線引きされている事の問題点について、書いてみたいと思います。
【IQを支援の線引きに用いる地方自治体】
さて、一部の地方自治体では、幼児期の発達障害児の支援の線引きに、IQ値を判断基準にしていると聞きます。高機能広汎性発達障害に、療育手帳が適応されにくいのはやむを得ないとしても、療育を受けるチャンスすら与えられないのはどうしたものかと考えます。
発達障害には、IQの低い方から、IQが150にも達する方まで、
広く分布する事が知られています。
そして、IQの高さと自閉度の軽重には、
全く相関性がない事が判っています。
つまり、IQが高くとも、社会性やコニュニケーション、また感覚過敏やこだわり行動や習慣性への執着のところでは、かなりの重度の方も居らっしゃることになります。僕の知る当事者の方でも、超有名国立大学の大学院に在学中の学生さんがいらっしゃいますが、彼は相当高い自閉特性を持っています。学力は抜群に高いですが、生活面や社会性のところでは、根深い困難を抱えており、適切な支援なしでは就労も難しいだろうと感じるのです。
この学生さんの様なケースは決して少なくないと感じます。
【IQが高くて、自閉度も重いケースは決して少なくない】
僕は他に、IQ140クラスの小学生の方を存じていますが、
彼は学校で激しい不適応を示しています。
学力には抜群の成績を上げるようですが、
やはり生活面での問題は、軽くないどころか、相当重いと感じます。
発達障害があると、学校での成績と、
就労してからの職能は必ずしも一致しません。
学校での好成績は、かりそめの適応といわざるを得ないケースもあるようです。
【職場では通用しない彼らの学力】
職場においては、単なる学力だけでは事足りず、
状況を判断して、適切な対処ができる事や、
上司や同僚、顧客の意図を正確にくみ取り、
相手のニーズに合わせた仕事を返していく能力も求められます。
発達障害があると、それ以前のところで、
日々の指示を正確に聞き取ったり、
会議の流れを適切につかんで、
次の行動に移すところなどは、
大抵の方がつまづく部分です。
彼らに学力があるからと、他の部分を放置してしまうと、
その力を生かせずに、会社も辞めされられることになり、
結局、就労できない現実だけが、彼らには残ることになるのでしょう。
彼らとて、やはり人との関わりを幼い頃から学んでくれば、
きっと、学童期も、思春期も、成人してからも、
随分と違うだろうと考えるのです。
勉強ができる事に関しては優越感がもてるのでしょうが、
対人的に自己否定を積み重ねると、この人たちにも二次障害は起ります。
僕は、以前ご紹介した発達障害の4つ目のタイプ「尊大型」は、
こうして作られるのではないかと考えています。
学力がずば抜けているだけに、医師や特定の職業などで、
対人的な問題が多少あったとしても、
その職業的な権威で、本人の強引さが認められてしまうケースです。
こうした環境におかれた当事者さんは、
かなり強圧的な権力者になってしまうこともあるようです。
これもまた、この障害に適切な育みが無かったことの、
悲しい影の部分だと考えるのです。
こうした現実を考えても、
IQの高低で、支援の是非を審査する現状には疑問を感じざるを得ません。
IQが高くとも、三つ組がばっちり揃っているようなケースでは、
ABAやTEACHの様な手法を用いて、
しっかりと療育すべきケースもあると考えるのです。
アメリカのシリコンバレーでは、発達障害を持った高IQの職員が、
結構な割合を占めていると聞きます。
幼児期に、必要な支援や環境を投じれば、
彼等は納税者となり、
成人では福祉を必要としない可能性を持っていると考えます。
国にも、社会にも、企業にも、十分に見返りのある人たちにも、
適切な支援が与えられる社会が来て欲しいと願うのです。
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