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発達障害部門 第2位


今日は、安定就労の条件を考えるところで、自尊心・判断力・ゆる真面目・客観性・自己確立のうち、最後の要素「自己確立」です。


【若く見えることが多い当事者さん】

さて、当事者さんとかかわりを持つと、皆さん年齢よりも若く見える方が多いです。

ひとつは、心の純粋さのところで、

青年の様な心をいつまでも持っているからかもしれません。

そして、もうひとつ思うのが、どこか自信無げで、

自分の生きる基準の様なものが、はっきりしないところで、

年齢よりも若く見えてしまうのかなぁと感じたりします。



【当事者独特の自己確立】

さて、定型であっても発達障害であっても、

人と言うのは思春期から青年期にかけて、

人生経験を積み重ねる中で、
自分の在りようを作り上げていく生き物です。

ただ、両者で違いがあるとするなら、

定型の思考は色々なものを抽象的に考える事が出来る上、

曖昧な感覚をそのまま使っていけるところがあります。

「なんとなく、こう思う」というもので、次の行動を起こせるのです。


ところが、発達障害のある方は、

こうした目に見えないものを思考していくことが苦手です。

ですから、社会のルールや、人の在り方なども、

全て言語化して思考していくことになります。


ひとつひとつ積み木を積み上げるように、

自分は何か、人とは何か、社会とは何か、恋人とは何か、先生とは何か、

社会とは何か、職場とは何か、生きると何なのかを、

ある種、哲学のように考えあげて、

自分の経験と照らし合わせながら、自分を確立していく印象です。


定型発達が「何となく感じたこと」を

そのまま「何となく使いこなしてしまう」のに対し、

発達障害があると、全て言語的理解をした上で、
論理的思考で咀嚼し、自分流に作り上げなければいけないので、

その成長発達に時間がかかる事も、若く見える原因かもしれません。



【発達障害の自己確立を阻むもの】
また、当事者さんの自己確立で、四つの大きな阻害要因があります。

・対人関係が希薄で、自分ひとりで自己確立してしまう傾向が強いこと

・ネガティブな情報をより強く受け取りやすい傾向があること
・嫌な経験を忘れられない特性があること
・細部にとらわれて、大局を見失いがちなこと


こうしたことにより、発達障害の自己確立は、

受けとる情報量が限定的で、対人経験も浅くなりがちです。

自己確立には、他者からの評価が欠かせないのに、

自分の内省中心で論理を組み立てがちなので、

どうしても狭い視野での自己理解になりやすいです。


また否定的な周囲の関わりに対して、

どう自分が対処するかということに、年中思い悩んでいる事が多く

自分の行動に自信が持てずに大人になってしまうことも多いようです。


この結果、成人期になっても、自分のアイデンティティーは確立されにくく、

どこか自信なさげな印象になってしまうと感じるのです。



【ゆるぎない自分が欠かせない社会人生活】

しかし、社会人になれば、仕事の出来の良し悪しもさることながら、

人としての成熟度も重要視されてきます

特に、入社して数年が立ち、後輩の指導を任されたり、

部下を持たされたときに、こうしたことは重要になってきます。


ぼくはよく当事者さんから、

「自分が下働きでよかった頃は適応できていたのに、

 認められて、後輩を任された途端に仕事に行き詰った」

と言う話を聞くのですが、この状態を当事者さんは

「自分には対人能力が無いから」と感じている方が多いように感じます。


それもあるとは思うのですが、

ぼくはそこには「自己確立」の問題があると思うのです。


【自分が生きる道を決める事で、周囲もその人を認めていく】
簡単に言うと、自分はどんなキャラクターで社会で生きていくのかという事です。


例に挙げるなら・・・・・


1.仕事の量と質で勝負して、一匹狼といてやっていく道

2.周囲とのコミュニケーションを大事にし、同僚と仲良くする事を重視する道

3.要領のよさで立ち回りを重視し、労力をかけず、昇進を目指す道

4.仕事の技の習得にひたすら努め、その技量で会社に認められて、ずっと現場で頑張る道

5.人を使うことのスキルを身につけ、中間管理職としてやっていく道


・・・・他にもあるでしょうが、自分がどんな道で生きていくのかは、

やはり、自分が決めなければいけないところだと考えるのです。

また、障害ゆえに目指しても成る事が難しいキャラもあります。

3や5は、無理な課題であったり、かえって自己破綻を招きかねません。

また、こうした自分のキャラ設定が曖昧であるというのは、

職場である程度の年齢になると、ネックになってくると感じるのです。



20代中盤にもなると、定型発達ではこうしたキャラ造りはほぼ固まってきます。

そこに、自己キャラが曖昧で、

自分の行動指針がハッキリしないままで居たなら、

仕事でも対人関係でも、外的要素に振り回されやすい人格となりがちです。



【肯定的に関わってくれる環境で、自己確立をやり直す】

さて、当事者さんの自己確立のところで、もう1つ大切なのは、

肯定的に自分に関わってくれる環境を見つけることだと、

僕は考えています。


今の社会は、人間関係も希薄ですし、

みんなどこか、人の事になど構っている余裕もありません。

社会の競争も厳しいので、弱点を見つけては、

攻撃してくることも多いでしょう。


定型なら、ある程度そんな相手にもうまく対抗したり、

うまく交わしたりしながら、自己確立をしていくのでしょうが、

当事者さんにはこうした事は難しいと感じます。


いい自助会などを見つけて、そこで肯定的なかかわりを一杯もらい、

そうした刺激に対して、自分を造り直すことが、

うまく行く秘訣ではないかと考えます。


発達障害があると、こうした、ある種の人工的な環境の方が、

自分らしい本来の自分を見つけられるのだと考えます。

よく「適切な支援が必要」というのは、そういう事だと考えるのです。


やはり社会を生き抜く上で、「確立された自己」は欠かせません

ここに視点をむけて見る事で、社会適応の困難さも、

ある程度変わってくるのではないかと思い、提案させていただきました。


皆さん、いかがお感じになりましたでしょうか?



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