発達障害部門 第9位
当事者さんの中には、会話のスピードについていけず、変な間を作ってしまい、ヒトとの関わりが苦手になってしまうケースが少なからずあるようです。今日はそんなお話です。
さて、昨今はどうもせわしない世の中になった感があります。
色んな事がスピードアップしているのですが、
会話においても、即時に気の利いた事が言えないと、
何となく「面白くないヤツ」とか「間の悪いヤツ」みたいな空気にさらされます。
僕が大阪に暮らしているというのもあるかもしれませんが、
どうもこうした事ばかりが、対人関係に重要視されているように感じるのです。
しかし、当事者さんの中には、
こうした一瞬の返答が苦手な人が少なからずいるようです。
【当事者さんの独特の時間の流れ方】
そもそも、発達障害を持っていると、相手の言葉の意味を理解したり、自分の考えをまとめるのにも、数時間や数日を要する事があるようなのです。当事者さんとメールをしている時にも、「少し考えをまとめてみたいので、また返事しますね」とあってから、数日して何ページ分にも及ぶような返事を頂くことがあります。僕はいつもこうしたメールを楽しみに読ませていただいています。
当事者さんには独特の時間の流れがあって、
じっくり咀嚼する事が大切なようなのです。
だから、冒頭のような会話の即時性には困る方も多いのでしょう。
実は僕も、ずっとこうしたことが苦手で、
あまり人付き合いがうまいほうではありませんでした。
この歳になってくるとそれなりに対人能力も上がってきましたが、
20代の頃なんかは、ほんとつたないスキルでやっていたなぁと思います。
【元来の日本人気質はどうだったのか】
さて、昨日の記事にも通じることなのですが、元々日本人と言うのは、今のように気の利いた事をポンポン返すような国民性ではなかったと思うのです。どちらかというと、のんびりした間と言うか、言葉は少なくとも、互いに元来の人柄を感じあい、それを認め合うところで人間関係を築いてきたと思うのです。
昔の俳優さんで言うなら、「鉄道員(ぽっぽや)」や「幸せの黄色いハンカチ」などに登場してくる高倉健さんのような人柄です。「北の国から」の田中邦衛さんや地井さんなんかもそうかもしれません。
この人たちは、気の利いた事もあまり言いません。
返答もじっくりとかみ締めてから返ってくるような印象です。
彼らが演じる役柄は定型発達なのでしょうが、
それでも何かゆったりとした時間軸の中を生きていたように感じます。
「それは昔だからゆったりで、今はそんなスピードではないのだよ」
というのともまた違うように感じます。
とっさに気の利いた事がいえるより、
もっとその人の本質として、その人柄がどうであるかを、
互いがじっくりと受け止めあうようなところに、
日本人の気質の良さがあり、独特の文化があったように感じるのです。
なにか欧米の文化の一部だけをもらってきたがために、
どうも人間関係までひずんでしまったのが、今の社会のように感じます。
こうした、気の利いた事が言えないと、友達も出来ないという風潮は、
どうも30年前辺りから始まったように、僕は感じます。
「笑っていいとも」や「ひょうきん族」がはやり、
世の中全体が軽薄短小なムードに変わっていった頃ではないかと思うのです。
今、日本社会は発達障害に生き辛い風潮だといわれますが、この国はこの国なりにこうした人達を包み込む土壌が、かつてはあったと思うのです。
【当事者さんと居る方が心が安らぐ不思議】
僕が当事者さんとかかわり始めた頃に、不思議な感覚があったのです。
それは、なんともいえない安心感と言うか、
妙な神経を使わずとも開けっぴろげで居られるような空気と言うか。
僕もあまり人付き合いが良いほうではなく、また融通をうまく利かせられないところがあります。元来はきつい性格ではないのですが、社会に蔓延するご都合主義と言うか、表面だけを整え、その場を面白おかしくする空気の様なものに、抵抗を感じるタチなのです。またそうした人たちが、調子のいい事を言いながら、勝手な都合をどんどん押し付けてくるところなどに、非常に防衛的な態度で接してしまうのが、僕の行き辛さなのです。時には、怒り出してしまうこともあり、反省もあるのですが、今の社会では、どうも、僕本来の人柄では生きていけなくてしんどいところがあります。
ところが当事者さん達と居ると、へんな駆け引きはいりませんし、
言葉の裏のようなことも少ないと感じます。
ストレートに言われてきつい事もないではありませんが、
その分、相手の本音を推し量ったりする気遣いが
少なくて済むのかもしれませんね。
僕は実際のところ、当事者さんといる時の方が、
イキイキとした自分らしさが出ているように感じます。
正直、最初は自分にこんな面があったのだと、驚いたくらいなのです。
僕は思います。
今の社会の風潮は、定型にも決して生き易いものではないと。
彼らはその対人能力で、それをこなしては居ますが、
それは決して、彼ら元来の人柄にマッチしたものではないと思うのです。
そして、普段無理をして暮らしているところが、
いろいろな精神のひずみとなって現れたり、
ネット依存や携帯依存の様なことに発展していると感じるのです。
「みんなちがって、みんないい」と言う言葉があります。
それも大事だと思うのですが、
日本人が、そもそも元来の気質を少しでも取り戻していければ、
今の世の中のおかしな疎外ルールは解消されるように感じます。
その場が面白おかしいことよりも、
相手の人柄そのものを、じっくりと評価するようなことが、
出来ないものでしょうかねぇ。
こんなこと難しいのかなぁ・・・・
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