さて、発達障害児の安定就労か失敗を分ける条件のところで、いよいよ、今日は具体的な条件について考えていきたいと思います。
さて、2回に渡り述べてきたところでは、非常に悲壮な現実が、高機能発達障害にはがあります。あるNPO参加者の調査によると、派遣も含めた定職に就けているのは約1/3でしかなく、アルバイトを含めても、就労している方は、半数に満たなかったのです。半数以上の方はバイトですらクビになってしまうという現状です。
幾ら不況と言っても、この現状は厳しすぎます。
僕も正直、聞けば聞くほど大ショックでした。
でも、何人もの当事者さんにお話を聞き、実際、何度もクビになってしまう人、また何とか定職につけている人たちのお話を聞いていくうちに、なんとなくそこに差があると感じ始めたのです。
これからする話は、親御さんや当事者さんにとって、少し厳しい話も含まれるかもしれません。あまり精神コンディションの悪い方は、場合によってはお読みになるのを控えたほうがいいかもしれません。
【対人関係や、仕事が遅いことだけが要因なのか!?】
さて、実際ぼくは多くの当事者さんから、就職が上手く行かなかったり、働いたけれど長続きしなかったお話を聞きました。
そんなところで多かったのは、
1)職場の対人関係が上手く行かなかった
2)同僚に仲間に入れてもらえなかった
3)仕事が遅かったり、失敗が多く、怒られてばかりだった
4)できる事と出来ないことの差が大きく、不真面目と誤解された
5)同じ失敗を繰り返し、退職に追い込まれた
・・・といったものでした。
「こうした事が続くうちに、
だんだんと辞めざるを得ない状況に追い込まれていった」
と皆さんおっしゃいます。
ただ、多くの方が異口同音に同じような事を言われるのですが、
聞いていた僕の気持ちとしては、
ただそれだけではない「何か」を感じていました。
確かに、対人関係・仕事のスピードや、ミスをしないことは、
障害特性上、中々上手く出来にくいところであり、
職場でつまづきの元になったのは、事実だと思います。
ただ、何人ものお話を聞いていくうちに、
それよりはもっと根本のところで、
安定就労を阻害する要因があるように感じたのです。
【安定就労が出来ている方の傾向】
さて、それらを挙げるならば、次のようなものにまとめられるかと考えます。
1.自尊心=自己肯定感と自立心
2.判断力=状況を見極め、対処するチカラ
3.ゆる真面目=真面目さで自分を追い詰めないこと
4.客観性=過剰適応をストップできる客観性を持つ事
5.自己確立=自滅しない自分を作ること
さて、それぞれの詳細に入る前に、ひとつ申し上げたいのは、安定就労できている方が、決して楽々と仕事をこなしたり、何の問題も抱えずやっていけているかと言うと、そうではない現実もお話したいと思います。
僕の知る定職をお持ちの方であっても、その大半は「辞めてしまおうか、続けようか」と悩みながら仕事をしている方が、大変多いです。ただ、辞めても条件がよくなる見込みがないところで、懸命に踏ん張っている人の方が圧倒的に多いです。それだけ現実は厳しいのだという事です。
それと、上記の5項目を全ての人が、全項目持ち合わせているわけではなく、定職につけている人でも、その人なりに特性の強弱はあり、また5条件の強弱もあるという事です。ですから、この条件を全て高いレベルで兼ね備えないと、働けないという事ではありません。
また、本記事においては、条件の内容を説明するところに主眼を置き、その条件を得るために何をすべきかと言うところには、あまり踏み込みません。それは、また別の機会に書いていけたらと思っています。
では、次回より、5項目について、詳しく述べてみたいと思います。
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