発達障害部門 第1位
特別支援教育部門 第9位
今日、ある方のブログを読んでいてなるほどなぁと思うことがありました。当事者の成長に欠かせないと言われる「成功体験」ですが、この「成功体験を積む」ということが、二次障害を抱える当事者にとって、なぜ容易ではないのか・・・・と言うお話です。今日はそこについて、考えを深めてみたいと思います。
【自己否定が、二次障害を生む】
発達障害が二次障害にならずに成長する為には、「自己肯定感」が大切だとよく言われています。そして、「自己肯定感」を得るために必要なのが、「成功体験」なのだとも。
このことは語りつくされているのですが、
実際の当事者さんの中には、
引きこもってしまっていたり、不登校になっていて、
「成功体験」どころか、
「自分はダメな人間だ」
「何をやっても上手くいかない」と、
どっぷり思い込んでしまっているケースが、非常に多いようです。
【「まず、一度やってみよう」が、中々出来ない現実】
こういった方の親御さんのお話を聞くと、
「成功体験」を積むどころか、
本人の思い込みを払拭するのは容易ではなく、
どこをどう抜け出していけばよいのか、
長い長いトンネルの中に居るような状態を、
抱えてらっしゃるようです。
ぼくは、そういった親御さんのお話を聞く機会が多く、
このような状態をどうすれば脱出していけるのか・・・というのは、
いつも思い悩むところです。
【「予測」出来ないことがその原因】
さて、今日冒頭に書いたように、ある当事者さんのブログで、
なぜ、このように思い込んでしまっているのか・・・のところについて、
語っているのを見つけたのです。
その方のご説明によると、
「当事者と言うのは、定型より、
その人の判断基準に「体験」が占める部分が大きいこと」を、
理由としてあげてらっしゃいました。
僕はこのことばを、
「当事者が、一度してしまった体験を塗り替えるのは、
容易なことではない」と解釈しました。
さて、その方の説明を具体的に示してみましょう。
定型の経験プロセスはというと、こうなります。
「予測」→「体験」→「経験」
ところが、当事者の経験プロセスは、これとは違うというのです。
「体験」→「経験」
つまり、想像性の障害のところで、未来予測が難しい為に、
やる前に「予測」することは難しいと言うことの様なのです。
この方は、
「だから、当事者には体験したことの比重が大きくなる」
と説明されています。
ぼくなりの言葉で言い換えると、
「なにをやっても上手くいかない」という思い込みを
解くことの難しさに繋がっていると感じたのです。
【定型との脳構造の違いが生むもの】
つまり、定型なら、状況と自分の力量を比較して、
例え、以前失敗した事でも、
ある程度「出来そうなのか」「出来なさそうなのか」を検証しなおして、
「出来そうだ」と予測することが出来ます。
しかし、それが出来ない当事者にとっては、
過去にした体験こそが全てで、
人から言われたくらいでは、
「ひょっとしたらできるかも」とか「やってみようかな」とは、
中々思えないということなのでしょう。
実際この方も、いろんなことで家族からいろいろなアドバイスをもらっても、
「自分には無理だ」とか
「絶対、100%成功するのか?しなかったら責任取って。」
と言ってやろうとしなかったそうなのです。
定型の親御さんなどが、二次障害の重い発達障害を語る時に、
「いくら言ってもわかってくれない」
「思い込んだら、気持ちを変えさせるのが大変」
というのを、よくお聞きします。
ぼくは、これが、
「細部にこだわったり」
「気持ちの切り替えが難しい」
という方の特性に、由来しているものと考えていました。
しかし、このことで思ったことは、
想像性の部分に障害を持つ当事者さんが、
何度も失敗経験を積んで、嫌な思いをしてきているのに、
新しいことに挑戦する時に、
「ひょっとしたら、上手くいくかも」とか、
「自分にも出来るかも」という予測をするのは、
容易でない、ということでした。
親御さんとしては、
「言っても聞いてくれない」とか
「どうすれば、わかってくれるのか」となりがちなのですが、
本人の気持ちが硬直してしまっているのを、
まず、解かないことには、扉は開かないということに、
目を向けていく必要性を感じたのです。
【それでも扉を開くのは「やってみよう!」という気持ち】
この方自身は、その後、
「やってみないとわからない」と思えるようになったことで、
いろいろな成功体験を積めるようになったとおっしゃっています。
そして、「実際、試しに経験すること」の重要性を説いておられます。
やはり、「成功体験」を積み上げることで、
二次障害の部分が解決し、友人も出来て、
適応が良くなったそうなのです。
しかし、その為には、まず最初の扉を開く必要があったし、
それは容易なことではなかったといっておられると、僕は感じました。
では、どうすれば、その扉が開くのか・・・・・
それは、簡単に答えが見付かることではないですよね。
きっと長い長い時間をかけて、
こころの澱を取り除いたり、
人への信頼を取り戻したり、
自分の自信を回復する必要があるのでしょう。
今言えるとすれば、
「そんなことやっても、上手くいくはずがない」という思い込みは、
「やってみたら、出来た」という経験でしか変えられないということですね。
でも、「やってみようと思えない当事者さん」に、
どうして体験を積んでもらうのか・・・・・。
まるで、にわとりが先か、タマゴが先か、のような話です。
今の僕には、その解はまだない訳ですが、
「なぜ、自己否定から容易に抜け出せないのか」
のプロセスがわかったことは、
次の何かに繋がるような、そんな気がしています。
やはり、希望を持って、この問題に関わっていきたいなぁと、思ったのです。
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