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「発達障害」部門 第3位


今日は一時期の発達障害当事者による事件報道が、非常にセンセーショナルに扱われてしまったところの問題点と、その裏に隠れている真実について、お話してみたいと思います。



【発達障害をめぐる事件報道の問題点】


最近はすこしマスコミも態度を改めたようですが、

一時は、一風変わった重大犯罪があって、

精神鑑定で「発達障害」や「アスペルガー」の診断がおりると、

一面の見出しに診断名が載るようなことも稀ではありませんでした。


この障害は、被害者になる事はあっても、

加害者になる事は稀と言われているのに、

ごく一部の犯罪において、

一風変わった言動と言うか、

不可解な発言があるところで、

猟奇的であったり、不可思議な人物として、

センセーショナルに扱われたことが、いくつかありました。


しかし、それはどうもその詳細を調べていくと、

発達障害の当事者と、恐らく定型であろう裁判官や、

調査官、刑事、検察官などとのやり取りの中で、

齟齬や誤解により、起こっている事が良くあるようなのです。



【事件供述に見られる当事者の特異性】


次にお話しするのは、

昨年の大阪自閉症協会の講演で、紹介されたエピソードです。

講師の花園大学の橋本和明教授は、

長年、裁判所で調査官をされてから、転身をされました。


調査官と言うのは、少年犯罪なら、

保護観察にするのか、家裁行きか、あるいは、

大人の犯罪者と同様に、地裁送りにするのか・・・。

その判断材料を調べる仕事なのだそうです。


その橋本教授のご経験からすると、

被疑者としての多の当事者は、

当初、明らかに不可解であると感じたと、語っておられました。


まず、自分の不利・有利に無頓着で、

そこまでしゃべらなくてもいいよという位、

何でも詳細にべらべらと供述をする被疑者がいたり・・・・。


逆に、色々と問いかけても、

中々、供述が返ってこない被疑者がいたり・・・・。


後者のケースでは、ひとつ間違えば、

誤った判断材料になるような返答もあったそうです。


【発達障害の容疑者が誤解されてしまう事例】


例えば、傷害の罪で裁判所に送られてきた少年のケースです。

調査官である橋本先生が

「今あなたは、被害者に対してどう思ってるんですか?」

と聞いたところ、

「何も思っていない」と返答が返ってきたそうです。


普通に定型的に、この発言を判断するなら、

「反省の色がなく、ふてぶてしい態度」となり、

心象はかなり悪くなるそうです。


しかし、橋本先生なりに感じるところがあり、

数日後、彼に被害者が書いた手紙を見せたそうです。

そこには被害者が、事件により、

心身ともに、いかに傷ついたかが、脈々とつづられていたそうです。


すると、被疑者の少年は、

その手紙を読みながら、ぽろぽろと涙を流し、

次に被害者の痛んだ心がやっと理解できたと語り、

延々と反省の弁を述べ始めたそうです。


つまり、最初の「何も思っていない」というのは、

質問の意図がわからなくて、

「何を言えばよいのか、判りません。」

あるいは「何も感じている事はありません。」という意味だったのです。


発達障害を持っていると、相手の意図を汲み取るところに苦手があります。

定型発達なら、「今あなたは、被害者に対して、どう思ってるんですか?」

と聞かれるだけで、相手が、自分に反省の意思があるのかどうかを、

問うてきているのだと感じることが出来るでしょう。


あるいは、反省の気持ちが無くとも、

言葉で飾って、反省を述べるだけは述べる被疑者も居るかもしれません。

しかし、当事者にとっては、意図もくめず、反省の意思も示せず、

判らないままに発した言葉で、誤解されたまま、

罪の軽重を問われてしまうケースが、結構あるようなのです。



【犯罪を犯した当事者に必要な配慮とは】


橋本先生は、この経験から、

当事者を取り調べる場合、

定型の一般的な常識にとらわれるだけでは、

だめだと、強く感じられたそうです。

彼らにわかるように説明し、

彼らが真に感じている事を聞きだせるように

どのように質問したら、相手に伝わるのかを、

常に考えながら、取調べを行うようになったそうです。



【発達障害の事件報道の真相】


発達障害をもっていると、自分の置かれている状況を把握したり、

また、自分の立場や状況を説明するのも苦手なところがあります。

みんなが、橋本先生の様な方なら良いのですが、

プロの裁判官・調査官・刑事・検事をしても、

未だに、こうした誤解を招くことがあるようなのです。


このとき、もし、前述の「何も思っていない」だけが、

マスコミにそのまま流れたなら

きっとセンセーショナルな記事として、書きたてられたことでしょう。


いくつかの発達障害の当事者が起こした殺人事件などで、

不可解な供述をしていることが、報道で扱われていますが、

そうしたことに、

今回の様な齟齬や誤解が含まれている可能性が、

実は高いのだと想像します。



こうした事についても、定型発達と発達障害には、

ものごとの感じ方や感じる時差に違いがあり、

また感じる為に必要な情報も違うのだという認識が必要なのでしょう。

そして、もっと啓蒙が進んでいかないと、

「みんな、ちがって、みんないい!」と訴えるだけでは、

事態は変わらないようにも感じます。


どこが、どう誤解されており、

その誤解はどうすれば解けるのかについて、

お互いがもっと理解を深め、

その関係を作り直すことも必要なのかもしれませんね。



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