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障害受容に関しては、結構多くの研究者によって考察されているテーマです。また高機能発達障害においては、見た目に判り難いことが、親の否認に繋がりやすく、その受容プロセスにおいて、独特のこころの動きもあるようです。今日はそのあたりに触れるところで、ご自分の受容段階を振り返っていただくことに繋がったらと思い、書いてみますね。


今日はまず、児童精神科医 佐々木正美先生がまとめられた障害受容の11段階からお話を始めていきたいと思います。それによると、障害受容には以下の様なプロセスがあるようです。(児童精神科医が語る―響きあう心を育てたい :岩崎学術出版社より引用。 注:原文より、一部用語を簡易にしています。)


1.ショックと麻痺 → 2.否認 → 3.パニック → 4.怒りと不当感 →

5.敵意と恨み → 6.罪意識(自責の念) → 7.孤独感と抑うつ状態 →

8.精神的混乱と無関心状態 → 9.前向きな受容へ →

10.新しい希望、そして笑いとユーモアの発見 → 11.新しい価値観の発見

(詳しい補足説明は文末に書いてあります)


僕自身も、このほぼ全部の段階を経由した気がします。順序は違ったかもしれませんが、これを読むと当時が思い起こされます。


自分として特につらかったのは、「4.怒りや不当感」「6.罪意識」「7.孤独感」でしょうか。ただ、妻にとっては、ぼくが「2.否認」の状態にあった時期がきつかっただろうと想像します。


また、いずれ詳しく触れますが、うちは2歳半ごろに、当時、2つの病院で「自閉症ではない」という診断を受けていましたので、そこから4年間も妻は苦しみ続けたことになりました。ぼくの言動についても、ある時期、妻に相当恨まれていたようです。しかし、ぼくら夫婦もようやくそこを乗り越え、今の平穏な幸せがあるように感じます。


ですから、「僕にとっての障害受容」は、

また、夫婦にとっての受容プロセスであり、

2人で乗り越えてきた長い葛藤の時期であったと感じています。



ぼくにとって、「2.否認」の時期がこんなにも長くなった原因を振り返ると・・・

a)病院や市の発達検査員から「個性の範疇である」と言われていたこと。

b)前述の通り(→詳しくはこちら )、息子がある時期から、すごいスピードで成長発達し、ぐんぐん追いついてきたこと。

c)それまでの方法を改め、試行錯誤していくことで、どんどん息子が変わっていったこと。


a)よりも、むしろb)c)の方が要因としては大きかったですね。


当時は、「ほら、こうして関わりを工夫していけば、この子は伸びていける子だろう!」といったような、思い違いにまみれた感情に支配されていたと言うしかないぼくでした。当時ぼくがやっていた対策は、障害知識がない割には比較的子どもにとって良かったことが多かったと感じています。しかし、肝心の障害受容が出来ていなかったばかりに、妻への言動のポイントはずれ、夫婦の感情のもつれにつながったように感じます。



また、今振り返れば、当時は事態を正確には見れていなかったなぁと思うのは、

そんな成長の過程においても、息子自身は自分が持つ障害特性

(感覚過敏や認知のゆがみ・認知のとらわれ)に苦しんでおり、

決して、平坦な道を歩いてきたのでない事を、

ぼくは、わかっていなかったということでした。


発達障害と言うのは、親や周囲が、

このことに気付くのが非常に難しい障害です。

自分の自尊心や社会常識・世間体も邪魔をします。

また、子どもへの愛情も、誤った方向へいってしまうことが、ままあるようです。


発達障害の親子では、こうした相互の気持ちの行き違いが、

大きな軋轢となってしまい、思春期に一気に噴出すことがよくあるようです。



子どもにとって「親が理解してくれなかった」と言う傷は、

想像以上に大きいのだろうと考えます。


一昨日の記事(→詳しくはこちら )にもありましたが、

親がどう考えようと、

子どもの状態はそこに存在するのでしょう。

それをありのままに受け取り、

次のステップに向かっていくことは、

親自身の人生にとっても重要なことのように考えます。


しかし、障害受容は簡単な道のりではありません。

怒りや嫉妬・ねたみなどの負の感情も沸き起こってきます。

深い悲しみと虚脱感に襲われることもあります。

そんな最中には、自分が今、11段階のどこにいるのかをしっかり認識して、

こうした負の感情を持つこと自体を、あまり責めすぎたりせず、

「みんなが同様に通った道なのだ」と知ることは大事だと考えます。


そして、必要な情報を求めたり、支援を受けていくことも、重要だと考えます。


僕自身は、息子が診断を受けた後、半年後には2つの支援団体の門を叩きました。

そして、その両方で、子どもにこの障害があることを、

決して悲観する必要ないことを実感することが出来ました。

今でも、この両団体には大変感謝しております。


ひと言で言うと、

「発達障害も、成長発達し、社会適応できる」と言うことが判ったのです。


そして、その後、

自分が「10.笑いとユーモアの発見」の段階に来たときに、

障害に向き合うことが、すごく楽になりました。

こどもの特性が、どこか微笑ましいものとして、

映って来るようになったのです。


折角、さずかった子ども達です。

どうか、その子育てを、親御さんにも楽しんでいただきたいと思うのです。

発達障害は、成長発達で乗り越えていける障害です。


お子さんの特性でさえも、微笑ましく感じたとき、

「希望」という灯が心にともり始めるのだろうと、考えるのです。



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【各段階の詳細解説】
1.ショックと麻痺

→愛するわが子の障害に直面し、心が麻痺したような防衛心理状態

2.否認

→「そんなはずはない」「治るのではないか!?」という心理から、障害を否認できそうなことにばかり目が行き、現実を直視しない状態

3.パニック

→時間とともに否認しきれなくなるが、思考停止に陥った状態

4.怒りと不当感

「なぜ自分の子に」「なぜ自分にそんな運命が・・」と怒りが沸いた状態

5.敵意と恨み

→健常な家族・個人に対して、嫉妬・羨望・敵意・恨みの感情に苦しむ状態

6.罪意識

→障害の原因が自分にあるのではないかという感情を抱いた状態

 遺伝因子や、喫煙・飲酒・事故・服薬などに思いをめぐらせ、自分を責める

7.孤独感と抑うつ状態

悲嘆の感情を克服する為の、心理過程であり、支援が特に大切な時期

8.精神的混乱と無関心状態

目標を失ったような虚無感にひたる状態。同様に支援が重要な時期

9.前向きな受容へ

→消極的な態度ではない「あきらめ」がおこり、むしろ積極的に事態を直視し、受容が始まる時期。

10.あたらしい希望、そして笑いとユーモアの発見

→「笑いとユーモア」をもって子を見守れるようになってくる状態。その復活は「悲嘆を乗り切った証」でもある

11.新しい価値観の発見

→苦悩に満ちた困難な過程を経て、新しい価値観や成熟した人格を持つものとして生まれ変わる


参考文献:児童精神科医が語る―響きあう心を育てたい :佐々木正美著、岩崎学術出版社(原文より、一部用語を簡易にしています。)