Question;
 相手を説得しようと試みるのですが、説得すればするほど、相手
が頑なになり、相手から反発を受けてしまうこともあります。

Answer;
 人間は、他人の説得よりも、自分の言動に、はるかに強く説得さ
れるという事実があります。

 それは、他人の考えには従わないけれど、自分の考えには従うとい
う心理です。

そこで、相手に「自分の考え」で「自分を説得してもらう」のが、
理想的な説得法になります。

そのためには、こちらが上手に「質問」をすることにより「相手に、
相手自身を自主的に説得」させることです。

 つまり、〇〇の「良いとこ」「メリット」「安心」「好きなとこ」
「納得できるとこ」「惹きつけられるとこ」「すごいとこ」「感心
するとこ」などに、意図的に誘導する質問を多く準備します。

「〇〇の良いとこは何ですか?」
「何があれば納得できるでしょうか?」
「どのようにすると安心でしょうか?」
「どこに惹きつけられましたか?」

 この「自己説得」を活用することで、人間関係は良好に保たれた
ままで、相手の説得を理想的な形で行うことができます。 

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        アリストテレスの弁論術        
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Question;
 NRIJの「5つの説得テクニック」を学んだとき、どこかで同様のことを聞いたような気がしましたが、記憶違いでしょうか?

Answer;
 それは、2300年以上も前に書かれたアリストテレスの弁論術のことだと思います。アリストテレスは、人を説得するには、次の3つの要素が重要と説いています。

・ロゴス(論理);論理的に証明することで説得する。
・パトス(感情);聞き手の感情を誘導することで説得。
・エートス(人間性);話し手の性格や信頼度により説得。

 これを弊社の『5つの説得テクニック』と対応してみると、次のことが言えます。

・ロゴス(論理)=Logic
・パトス(感情)=Emotion
・エートス(人間性)=Trust(信頼);Goodwill(好

  意)・・・これは「基本概念;交渉のインフラ(基盤)

  づくり」の内容。
           
 弊社では、5つの説得テクニックでも「感情」と「論理」の組み合わせが最もパワフルな説得法だと説明しています。

 コヴィー博士の著書『7つの習慣』では、説得には「エートス」⇒「パトス」⇒「ロゴス」という順番が大切だと記載されています。

 つまり、まずは人格(エートス)ありきで、次に感情(パトス)があり、最後に自分の表現(主張など;ロゴス)により、相手を説得することが可能になると言っています。

               NRIJ認定コンサルタント
                    観音寺 一嵩

Question;
 交渉相手からの要請で値下げ金額を提示したところ、相手が首を振り沈黙されたので、さらに値下げを提示してしまいました。

Answer;
 相手は「沈黙は金」テクニックを使ってきた可能性があります。あなたは、このまま沈黙が続けばこの商談は終わると不安になり、思わず、さらなる値下げを提示したのですね。
 
 確かに、あまり沈黙が続くようであれば、商談は決裂する可能性が高くなりますので、沈黙を破る発言をしなければなりません。

 しかしその発言は、さらなる値下げの提示ではなくて「いかがでしょうか?」とか「全力で取り組ませていただきます」など相手の決断を促すコメントでなければなりません。

 続けて値下げを提示することは「マーカーは交互に」置くという定石に反します。

 また続けて値下げをすると「何だよ。そこまで下げられるのであれば最初から下げておいてよ」と不信感を抱かれる可能性もあります。

 その場合「いくらぐらいの価格を想定していたのですか?」などと質問し、今度は相手にマーカーを置いてもらいましょう。

 マーカーは相互に置くことに留意して交渉してください。