要件事実、というのは法律家や司法試験関係者にとってしかなじみのない言葉かもしれない。

民事訴訟で、ある事実が「わからない(真偽不明)」という事態に陥ったとしよう。この場合でも、裁判所は「わからないから引き分け」という結論を出すことはできない。どちらかを勝たせなくてはならない。

その場合、事前にルールが決められている。「この事実が真偽不明の場合は狩野に不利に」「この事実が真偽不明の場合は在特会大阪会員に不利に」と。

この不利な側に課せられた責任を「立証責任」という。


立証責任を負わされている側は、法律に定められた要件に該当する事実(要件事実)を主張して、その不利な状態をクリアする。すると攻守交代し、相手側が要件事実を主張しなければならなくなる。民事訴訟はこれの繰り返しだ。


例えば、私が在特会大阪会員に100万円を借りたとする(そこまで落ちちゃいないけど)。そこでトラブルが生じた、と仮定しよう。

在特会大阪会員は、狩野に100万円の貸金返還請求訴訟を起こす。

この場合、在特会大阪会員は、

①100万円の返還合意

②100万円の交付

③弁済期を定めたこと

④弁済期を経過したこと

を主張・立証しなければならない。これができなければ、在特会大阪会員は負けてしまう。

逆に、これに成功すると、狩野が不利になる。攻守交代だ。

なぜなら、「いや、100万円は返した」という内容の事実(弁済)は狩野に立証責任があるからだ。

だから狩野としては、

①債務の内容に応じた給付をしたこと

②その給付がその100万円に関してされたこと

を主張・立証しなければならない。これができなければ、狩野が負けてしまう。

こういう感じで攻守交代を積み重ねていく。そこで、どちらかが力尽きる。力尽きた方が負け、ということだ。

さて、ここで、在特会大阪会員が主張すべき①~④の事実を【請求原因事実】と呼び、攻守交代後に狩野が主張すべき①~②の事実を【抗弁事実】と呼ぶ。これは絶対に間違ってはならない名称だ。

だから【抗弁事実】のことは攻守逆転して不利になった者が、必死になって主張する事実とでも言えようか。そして、ここで肝心なのは、【抗弁事実】は、【請求原因事実】と両立するものでなければならない。上の例を見ても、「カネを貸した」、ということと、「弁済した」、ということは両立する。


本題に入ろう。


2chで、「bubkaを論破した」としてネトウヨに持ち上げられ、得意げに勝ち鬨(かちどき)を挙げているのが在特会大阪会員なる馬鹿だ。

その勝ち鬨を見てみよう。


<レポート>
今回のやり取りを通じて一番強く感じられたことは、やはり朝鮮人が依って立つ論拠は極めて薄弱であるということです。


(中略)


また技術的なことを言えば、そもそも日本側は、在日の主張するような歴史事実がなかったことを証明する事実の立証責任は負っておりません。
賠償を求める側が要件事実(=賠償請求が認められるための要件を裏付ける事実)の立証責任を負っており、我々はその際に提出された証拠の証明力を否定するだけの抗弁事実を主張するだけでいいのです
事実がなかったという事実の証明は、いわゆる悪魔の証明と呼ばれるものであってそれを100%証明することは極めて困難です。
このようなある意味で優位的な地位を悪用して税金搾取を企てているのが在日コジキの実体
であると考えております。


さて。問題は狩野が下線を引いた部分だ。

上記のとおり、抗弁事実は請求原因事実たる要件事実と両立するものである。

明らかに言葉を間違っている。


我々はその際に提出された証拠の証明力を否定すべく否認しているだけでいいのです。


というのが正しい。【抗弁】と【否認】を間違っているのだ。これは基本の「き」だ。私は、司法試験受験生でもない(であろう)在特会大阪会員が間違ったこと自体をどうこう言うつもりはない。

しかし、このような初歩的な間違いをするというのは、いい加減な知識をどこかからコピーしてきたのだろう。第一この程度の実力で、誤った知識を得意げにネット上で開陳しているんだからおめでたいね。


次に斜めの字体の部分だ。

これは法律用語以前に日本語の問題。

事実がなかったことの証明を「我々」がする必要はないと力説しておきながら、曰く「それは悪魔の証明で、在日は優位的地位にある」と。論理矛盾だ。

結局全部ダメ。0点!

このような、少し司法試験をかじった程度の人間でもわかる嘘八百を並べて勝ち鬨をあげている在特会大阪会員も情けないが、これを手放しで絶賛する馬鹿も同様だ。

ちょっとなじみのない言葉を使っていれば、それだけで非常に優秀な人間、ということになるようだ。


この程度の手合いに、bubka氏、バサラ氏の相手が務まるはずはない。本当に底の浅い連中だ。