大切なことはファンタジーが教えてくれた | glamb-log by kan furuya ポケットにアイデアを

大切なことはファンタジーが教えてくれた

昔、誰もが絵本を開いてその世界を旅した

 

大切なことはファンタジーが教えてくれた

 

今季ドレスバレットが描き出すのは

 

ページの中から飛び出したカラフルで愛らしい人形劇



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Once upon a time, everybody would open a book

 

and travel into the story of fantasy

 

In vivid coloring, DRESSBULLET by glamb created

 

the puppet play popping out from pages




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 僕は小さな頃、小説家になりたいと夢見ていた。ミヒャエル・エンデが書いた『はてしない物語』を皆さんはご存じだろうか。『ネバーエンディングストーリー』というタイトルで映画化もされているから、もしかしたらそちらの方が馴染み深いかもしれない。




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小さな僕にとって作家の名前もミステリアスな響きだったし、真っ赤な布張りの装丁も格式ある空気を感じさせた。手にするとその本には他の何にも比べられない不思議な重さがあって、この本のページをめくるということ自体が幼い僕にとってここではないどこかへの冒険と同じ意味を持っていたように思う。




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 今回のコレクションに取り掛かろうとしていた数か月前、僕は久々に原宿で古着屋を覗いていた。十代の頃はよく通ったものだけれど、50年代、あるいはそれよりも古い洋服がずらりと並んだ光景は改めて僕の好奇心をかき立てた。そんな時にふと僕の目に留まったのがメリーゴーランドを模した壁掛けだった。無造作なディスプレイのやり方は壁にかけられて長らくそのままといった風情だったけれど、木馬に乗ったキリンやシカ、ゾウといった動物たちを見ていると何十年か昔に作り手が注いだ優しい温もりがまだ残っているように感じられた。その時、僕はなぜかエンデのことを思い出し、そしてファンタジーの世界を描きたいと思った。




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 昔、一冊の本が僕にとって別の世界への扉であったように、ファッションもどこかへの扉になることができると思う。耳や角のあしらわれた帽子をかぶれば、森の中に暮らす妖精たちの仲間入り。フリルやレースがふんだんにあしらわれたワンピースをまとえば、皆さんはきっと宮殿に暮らす令嬢になれるだろう。




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 僕の言うことを突飛に思う人もいるかもしれない。けれど僕は心に抱くイマジネーションに素直なやり方で生きられる人が好きだ。今、この国を見渡してみても僕らの心は日を追うごとに自由になっていると思う。インターネットという形の無い世界と現実の世界を行き来するようになった僕らは、今まで自分の内だけに留めていた趣味や想像をシェア出来る人がたくさんいることにもう気づいている。誰しも自分だけの世界を持っているし、この国にはお互いのそれを敬い合うことの出来る大きな心がある。




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だから僕は自分の想像の向くままに今季の洋服をデザインできた。それは僕の世界にシンパシーを感じる人がどこかにきっといるに違いないと僕自身思うことができたからだ。『はてしない物語』のバスチアンが一冊の古本を紐解くところから冒険が始まったように、このルックブックを開いた皆さんも既にファンタジーの世界へと入り込んでいるかもしれない。そういう意味で今季のコレクションは皆さんと僕の作る洋服が綴る物語だと思う。ミヒャエル・エンデへの感謝と皆さんの旅の幸運を祈って、このコレクションを発表します。




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DRESS BULLET by glamb designer

 

古谷