感動したのです、日記 -3ページ目

コクリコ坂から

土曜日日曜日と神戸でかなり頑張って仕事をしたあと、横浜へ戻るハーバーライト号の待ち時間を

潰すために、昭和の香りが残るTOHOシネマズ梅田にて「コクリコ坂から」 を観ました。

外は土砂降りだったので雨に濡れず、時間をつぶせればそれでよかったので

特にこの映画を観たいわけではなっかったのですが、なにか凄いものを見てしまいました。

この映画は昭和の横浜が舞台となっていて、その舞台設定(実際の地理的なものとか)が

おかしいと指摘されたり、海の色が横浜じゃないじゃんと言われていたりしているのだけど

私はこの映画の一コマ一コマすべてが許せなかったなぁ。

この日は前述のように心身とも疲れていたので、普通なら寝てしまうのだけど

なにからなにまで私を怒らせてしまうこの映画の表現に目が覚めてしまったではないか。

映画はどこかの港町(なんだろうか)の高校を舞台に、学校の部活動の拠点となって

いる古い建物(カルチェラタン)が取り壊されそうになっていて、それを反対する学園紛争(なんだろうか)が

あって、それに清く正しく立派に生きている女子高生のヒロインと学園紛争の主役の男の子が

つきあうようになるのだけど、実はふたりには。。。

という話が展開されるのです。その後わたくしちょっと眠ってしまったのだけど

目が覚めてみると、なんだかわからないままいきなり映画が終わってしまうという。。。


だから全部ちゃんと観れていないのだけど、

私がこの映画が許せないのは、ずらりと並んだ有名俳優さんたちが

無味無臭が標準語をおしゃべりになられることなのでした。

この映画を横浜の映画として売りたいのならこれはダメじゃないかと

そうじゃなくても、こんな空虚な標準語を喋らせたら

登場人物の生きてきた歴史まできれいさっぱりなくなってしまうよ、

このアニメの空虚さはここからきていると思います。

それと演出が物凄い、この作品、アニメ化する必然性はまったくないと思うんだけど

演出力の無さをごまかすためにはアニメ化は必要だったんだろうな。

だってこの映画の大きなテーマとなるはずのカルチェラタンの取り壊し問題が

生徒が理事長を接待した結果、理事長があっさり「新しいクラブハウスを造ります」と

表明すると在校生全員万歳なのですよ?

「えっ君たちこの歴史ある建物を守りたかったんじゃなかったの」

と、わたくしびっくりしてしまいましたよ。

ということは、ただ単に新しい建物がほしかっただけの映画だったってことなのだろうか?

歴史や伝統の前振りはなんだったのだろう。。。


あと海の色は場面毎に変化しているのだけど、きっとドイツ表現主義なんだと、

だから海の色が横浜じゃなくても仕方ないのだと。。。


蛇足

私的な横浜の映画といえば、黒沢明の映画とかかっこいいことじゃなくて

なんの変哲もなくかっこよくもなくそこにある横浜が描かれている

にっかつロマンポルノのスケバンマフィアシリーズだと思いますよ。

天国と地獄の舞台がどうのこうのというのは遠い世界ですよ。


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崖のふちプロレス第2戦~第3戦

昨日関内にあるラジアントホールというところへ崖のふちプロレス を観にいってきた。

崖のふちプロレスは元アイスリボン所属松本都さんのひとり団体です、

とはいっても会場に到着すると藤本つかささんはじめアイスリボンのメンバー数名が

ボタンティアスタッフとしててきぱきと働いていました。

この日の対戦カードは、松本都対ザ・グレート・サスケの5本勝負となっていました。


試合内容や写真はコチラ のブログ参照のこと


この日衝撃的だったのは4本目のバレエ対決である!

リング上の松本都を待たせたままなかなか登場しないグレートサスケ

やっと姿を現したら黒のチュチュを身にまとい、そして背中には黒い羽が生えているではないか!

この瞬間わたしにはサスケのからだにナタリー・ポートマンが宿ったことがすぐに理解できた。

BGMがクライマックスに近づくとお腹を押さえるサスケ、血が流れているんですよ(妄想だけど)

でも会場から「松田優作か」との声が。。。

ブラックスワンがプロレスオタに伝わっていない。。。

そしてコーナーポスト最上段に登ったサスケは、背中からマットに落ち(このときの受身は流石)

「アイム・パーフェクト」とつぶやいて絶命するのです(妄想だけど)。

この日満員200人を超えるプロレスオタのなかでブラックスワンまで観ているには10%程度なのかも

レスラーは全員観てるんだろうけど。

そんなこと関係なしにブラックスワンをここまで演じきるとは、凄い芸人魂です。


松本都さんは日芸演劇学科卒で以前に望月六朗さん率いる劇団DOGADOGAの舞台 に出演して

いるのを観たことがあります。

先のブログによると崖のふちプロレスという名前も岩松了さんにインスパイアされているかも

しれないとのこと。

かといって崖のふちプロレスはマッスルのようなプロレスの小劇場化が目標地点ではないようで

レスラーという芸人の裸の部分をさらけ出すことに目的があるのかも

そういう意味では恐ろしい団体である。




軽蔑

今日も先月観た映画を今更書きます。

ヤフーのユーザーレビューでこれでもかと酷評された「軽蔑 」です。

横浜ブルグ13で観ました。

監督はピンク映画を撮っていた頃から大好きな廣木隆一さんです、

ただ最近の作品はあんまり気が乗れない作品が多いような感じだったんです

だからヤフーのユーザーレビューを観て観にいくのをやめようかと思っていました

しかしその中にふたりだけ全うに作品を評価されている人がいたんです!

そのレビューを観て即観に行きました、そして観て大正解でした。


この作品の主役高良健吾は同じ廣木監督の「M」 という作品から2度目の主役なのです。

ホテトル嬢に落ちていく人妻を救って逃避行をするシーンから始まるMと

ポールダンサーの鈴木杏と駆け落ちする設定の今回と似ていなくもなくて

軽蔑はMの連作にような雰囲気の作品です。

そして映画の冒頭鈴木杏と歌舞伎町を走るシーンからこの映画は長回しが多用されます。

ヤフーのユーザーレビューでもこの長回しが批判されているのですが

この長回しのシーンこそこの映画の最大の見所なのです。

前述の歌舞伎町を二人が逃げるシーンを真横から延々追いかけるシーン

そして盗んだ車で駆け落ち先の高良健吾の田舎町へ逃避行するシーン

延々長回しが続きますよ、そして説明台詞なんてぜんぜんありません。

だからなんだかわかんないから酷評してしまうって

ものごとの本質を見失っています。


長回しにも良い長回しと悪い長回しがあって

長回しだから良いと言っているのではありません、

この映画の長回しは劇映画のスキルがしっかりある監督が考え抜いた絵作りをした

結果の長回しであって、だから観るものに官能を与えるのです。

またこの作品の撮影が日本(和歌山)なのになにか欧州のような澄んだ美しい絵を作り出して

いて、これはそうとうな職人技がないと出来ないですよ。

逆に悪い長回しは、劇映画のスキルがなにもない監督が芸術ぶって撮った長回しですね、

その代表例が小林政広 の作品だ、この人の長回しには私は耐えられません。

石原都知事はこういう人の作品にこそ

「ど素人の映画だ」

とほざいてほしいものです。


ただこの軽蔑もラストは普通のヤクザ映画になってしまうんです、

興行的な要請もあるのかもしれないけど、ドンパチが始まってから映画のリアリティや

緊張感が逆になくなってしまったように思う、残念だった。

でも軽蔑ほどヤフーのユーザーレビューが作品の本質からかけ離れてしまった

ケースは他にないかも。

しかしこの映画を蒼井そらのおっぱいについてのみ言及したユーザーレビューは見事だったなぁ

探してみてください。


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