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2012-02-09 07:48:20

〈71〉無人空中戦

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韓国マスコミは2月5日、北朝鮮が体当たりの自爆攻撃も可能な無人飛行機を開発、黄海上の軍事境界線近くで運用すべく配備することを計画中、と報道した。韓国軍筋によればこの無人機とは、中東経由で輸入した米国製MQM-107ストリーカーだという。

無人機といえば、米軍の無人偵察機RQ-4グローバルホークが昨年の原発事故の翌日から福島原発上空を飛び、写真撮影をしたことがよく知られている。日本政府の要請によりグアムのアンダーセン基地から飛来したものだ。ただし映像は公開されていない。また米軍の無人攻撃機MQ-1プレデターが、アフガニスタン、イラクでミサイル攻撃を行って、多くの民間人犠牲者を出したことも、よく知られている。操縦席はカリフォルニアにあり、衛星経由の遠隔操縦で飛ばしている。

今回、北朝鮮が導入するのはそんな新鋭機ではなく、1980年代の、要するに中古品だ。すでに中東諸国や台湾が使っており、韓国軍もミサイル開発・射撃訓練の標的機として使っている。北朝鮮軍がこれに小型爆弾を載せ、250キロ飛んで目標に体当たりすることも可能、というところがミソだ。無人のカミカゼ部隊、ということか。韓国軍はこれに対抗して、ケーブルで地上とつながる無人の全天候型戦術飛行船を配備するという。大型アドバルーンに監視カメラを付けたようなものですかね。写真史に詳しい人ならすぐに、ナダールが1870年に軍事用熱気球に乗って敵の偵察・撮影をしたことを思い出すだろう。

北朝鮮が無人機を配備すると見られているのは、第4軍団。2009年になぜか総参謀長から降格されて第4軍団長となった金格植は、延坪島事件などの挑発事件を起こして金王朝忠誠競争に加わったが、その効なく金正恩体制では返り咲きはかなわず、昨年11月には軍団長を退任した。そのように、曰くのある第4軍団だ。無人機空中戦よりも、北朝鮮軍部の内部抗争が気にかかる。(2011年2月8日)

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2012-01-08 11:21:33

〈70〉二正面作戦

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正月早々、現地時間では5日、日本時間では6日未明にオバマ大統領が新たな軍事戦略を発表した。「米国のグローバル・リーダーシップを維持する:21世紀国防の優先課題」と題する。国家財政の危機を反映した軍縮志向で、ヨーロッパや中東よりもアジア太平洋を重視する戦略だ。日本のマスコミはこぞって「二正面作戦の放棄」「二正面作戦維持せず」と報道した。この場合の二正面作戦とは、2つの大きな戦争に対応できる能力を持つということ。たとえば中東で戦争をしている時でも朝鮮有事に対応できる、ということを意味する。確かに米国は20年以上にわたってこのような軍備を持つ戦略を維持して、引き続き世界の憲兵を自認してきた。それができなくなった。

今回の新戦略がこのように読み解かれるのは、昨年10月の米国国防報告(4年ごとの戦略見直し)で、二正面作戦見直しが予告されていたからだ。しかし。だいたい「二正面作戦」とマスコミは言うけれども、「2 フロント・オペレーション」などというあからさまな言葉はどこにも使われていない。昨年の国防報告では「アゲインスト・2・ケイパブル・ネイションステイト・アグレッサーズ」だし、今回のオバマ軍事戦略ではもっと抽象的に、「ワン・レジオン」と「セコンド・レジオン」という言葉が使われているだけだ。アジア太平洋重視とはいうけれども、駐留米軍は削減し、同盟軍のいっそうの役割分担に期待することになる。中国があからさまに対抗国とされている。そのくせ「主要な同盟国」であるはずの日本の名は、今回の文書にも、昨年の国防報告にも1度も出てこない。

すでに米国が世界の憲兵として君臨するだけの外交・政治・経済的能力を失いつつあることは誰にも否定できない。太平洋の覇権に関しても中国との競争的共存の時代に入る。そのときに、対米一辺倒でいいのか、日米同盟主軸でいいのか、独自の外交・防衛戦略を持てるのか、というのが日本の重要課題であるはずなのだが。韓国では東亜日報も中央日報も、在韓米軍縮小への深刻な憂慮を社説で書いている。琉球新報は、「日本政府は……在沖海兵隊の全面撤退が……新戦略に照らした上での米国の国益にもかなうことを、理路整然と説明すべき」と書いた。正論だ。

日本の主要新聞がこぞって社説で論評しているのに対して、朝日新聞はこのテーマで社説を掲げず、7日現在まともな論評もできずにいる。防衛省担当の編集委員が防衛省主催のシンポジウムにパネラーとして出席するような新聞社だからだろうか。情けないことだ。(2012年1月7日)

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2011-12-07 18:25:28

〈69〉潜在的核抑止力

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昨6日、衆議院本会議はヨルダン、ベトナム、韓国、ロシアとの間の原子力協定を承認した。これで国策としての原発輸出にはずみがつく。採決では自民・民主が賛成し、公明・共産・社民・みんなが反対したが、民主からも反対・採決前退席による造反者が多数出た。起立採決だったため、民主党執行部も造反者の人数は正確に把握していないという。それ
はそうでしょうね、原発立地を地盤とする議員はみな揺れているはずだ。

絶対に安全な原発などありえないということは、3.11フクシマで誰もが思い知った。5年後、フクシマの子供たちに痛が増えることはもう誰にも止められない。原発炉内でできる猛毒プルトニウムを無毒にする方法はなく、おそらく人類滅亡まで隔離保管しなければならないことも良く知られている。そして、多くの国が原発を持ちたがるのは「潜在的核抑止力」を持ちたいからだということも、讀賣新聞社説が教えてくれた。9月7日付でこう書いている。日本に「核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている」ことは、「潜在的な核抑止力として機能している」。つまり、原発を稼働させプルトニウムをため込み、いつでも核兵器を作れる体制を維持することで核兵器保有と同じようなカを持てる、ということだ。

NPT(核不拡散条約)体制下のロンドン・ガイドラインでは、原発輸出に関して4点の縛りをかけてはいる。平和利用、IAEA(国際原子力機関)の査察、核物質防護措置、移転制約。しかし日本が続けて原子力協定を結ぼうとしている国々のうちインドはNPTに参加していない。いざとなればNPT脱退、というのはかつて北朝鮮が使った手だった。

そもそも、なぜ米国が自ら原発輸出をせず日本に任せているかといえば、スリーマイル事故で原発新規建設が途絶えた米国には、もう独力で原発を建設できる企業も技術もないからだ。東芝、日立+G、三菱重工+アレバ、この3グループだけが原発プラント輸出ができる。米国は日本との間の原子力協定で日本の手を縛っているし、なにせ同盟国だから米国は安心していられる。米国内の原発新規建設(サウステキサス)さえ東芝が受注するはずだったが、3.11フクシマの影響で流れてしまった。
                                                         
12月3日付讀賣新聞社説は正直に書いている。「原発輸出は・…‥巨大ビジネスであり、政府の成長戦略の大きな柱の-つだ」。地震・津波・原発事故から立ち直りつつある日本が、その原資を原発輸出に求めるなど、愚かなことだと思う。(2011年12月7日)

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