ガーナのお産事情 | ~ Kanako's Ghana Life ~

~ Kanako's Ghana Life ~

2010年9月28日~青年海外協力隊で保健師としてガーナへ☆貧困3州と言われる一つUpperwest州Jirapaで活動しています。

日々のできごとをつづってみます。


~ Kanako's Ghana Life ~

この赤ちゃん、生まれたばっかりです。

へその緒があるでしょー。

色白い!とお思いの方。

黒人の赤ちゃん生まれたときは、日本人とさほど変わらない肌の色をしているのです。

個人差あるけど、1週間から1か月くらいで少しずつ黒くなっていきます。


そして、ガーナの赤ちゃん結構みんなでかい。

お母さんたちはたいした栄養とれてないんだけど、低出生体重児ってあまり見ない。

日本って、最近3キロあるとおお、大きなって思っちゃうけど。2500以下とか結構いるしね。



ガーナでは、家で出産する人がとても多いです。

地域差もあるでしょうが、農村部では半分以上。

病院やクリニックへのアクセスの悪い地域は8~9割も超えるでしょう。


理由は、医療機関へのアクセスが悪い、

     お金がない(出産費用は無料ですが、移動等にかかるお金)、

     伝統の儀式や信念

     知識がない

     病院には行きたくない(慣れないから怖い、スタッフが怖い等)


といったところが現実です。


この前も、ナース不在の間にクリニックの入り口で一人で出産したお母さんがいて。

へその緒つながったまま2、3時間待っていたらしい。

なんかその絵は衝撃的でした。

たくましいよなー、この国の人は。


そんなわけで、死産や出産時にお母さんや赤ちゃんが死んでしまうこともとても多いのです。

これを改善すべく、住民への病院出産推進の啓発や救急移送システムづくりが最近の私の活動のメインな活動なわけですが・・・。


最近よくわかりません。


なんのためにそうするのか。

本当に大事なことはなにかって。


たしかに病院で出産することは安全なお産につながるかもしれない。

でも、それは病院の質が良かったらの話。

来院が遅くて手遅れってこともあるかもしれないけど、

病院なのに、赤ちゃんやお母さんが死ぬこともたまにある。

たまにというか、結構ある。



最近思うことは、

この村の人たちにとって、

病院で出産することのメリットがない気がしてなりません。


足がなくて救急車を呼んだら、村人にとっては大金がかかる。

助産師に怒られたり、叩かれたりしながら、

きちんと説明もされず、大したケアもされず。

ただ赤ちゃんを取り上げてくれるだけ。

慣れない地に知っている人もいない。

ゴハンもない。

帰りは出産2日目にして10キロ以上の道のりを、歩いて帰らなきゃいけない。


もし家で生んでいれば、家族ももいて、ごはんも食べれて、炎天下の中生まれたての赤子を連れて長距離歩く必要もない。


私だったら絶対家で生むし・・・。って思っちゃう。


こんな環境の中で、意識も行動も変えることは容易ではないはず。

でも、最近、少しずつ変わっていることをすごく実感します。


今まで、5人以上もの子を家で生んでいて、

1人や2人亡くしたことのある人もざらですが、

それは神からのさだめと思っているし。

中には、今まで全自宅出産でも1人も死んだことななんて人もいる。

そんな人からしたら、家で生めるしって思うと思う。



それなのに、最近、彼らは変わった。


村人はないはずのお金を使い、救急車を呼び出産のため病院へ行く。


夫が陣痛の始まった妻を自転車の後ろに乗せ、

じゃりじゃりのアップダウンの激しい道を病院へ行く(10km以上)


陣痛が始まった早い段階で、妊婦さん一人で荷物をまとめ歩いて病院へ行く。


ナースがバイクの後ろに乗せ、病院へ連れて行く。


すんごい頑固者も、せめて村のクリニックには来て生む。



てな感じで、今年に入って、25件の出産のうち、自宅出産は1月の1件だけ。

これって、すごいことだと思う。




それなのに、救急車が救急車の意味をなしていないこの国。


たびたび怒りにあふれます。


この前も、3人いる救急車ドライバー。

1人は旅行中、1人はお葬式でこれない、1人は電話に出ず。

ありえます?!?!

救急の患者を病院へ運ぶことががあんたらの仕事じゃないんかい?!


この国は、近々そっちの問題にぶつかるなー。

村人やスタッフの意識が変わっても、救急車がついてこない。

みんなが病院出産する意識になっても、救急車が絶対足りなくなる。

おわってる。。


昨夜も。0時過ぎ、妊婦さんから生まれそうと電話があり。

しかし、救急車はまたこれないと。

しかも、外は雷にどしゃどしゃ降り。

夫が雨がやんで来たら自転車で病院へ向かうということになったけど、どうやら頭が出てきていると。

結局、クリスティーン(村のナース)が真夜中に村まで雨の中行き、赤ちゃん取り上げました。

土日はナースもタウンに来てしまい、駐在していない。

まあ、それに問題もあるけど。

救急車がこれないのはもっと問題。

そのせいで死ぬことだってあるかもしれない。



今までだったら、彼女はそんな行動をとらなかった気がします。

ガーナ人得意の、言い訳や適当な理由をつけて、または電話を無視して。

自宅出産になってしまうだろうことが、今までのオチ。

しかも彼女は産休中なのに。

どうやら、今担当のナースは電話に出ず、彼女に電話がきたのだと。

村人もナースも意識が変わってきて、なんだか胸が熱くなりました。

私のためにやってくれてるわけじゃないのに、

こうやって、よ維方向へ変わっていく様子が

すごくすごくうれしくなりました。


そんな彼らにちゃんと答えてくれる病院、ガーナであってほしいです。




最近日本に帰国してからのことよく考えるけど。

クリスティーンやアマタ(一緒に働いている村のナース)、

そしてナンベグ村の住民たちから

いろいろ大切なことを気づかされる気がする。


私も、こんなふうに、彼女たちのように、

住民と信頼関係を築きながら、

一緒に成長しながら、

いろいろ言い合いながら、

頼り合いながら、

お互いを信じて、

いろんな状況に取り組んでいく、

奔走する、住民の力になれる、

あたりまえの毎日を支えられる

保健師になりたいなって思う。


~ Kanako's Ghana Life ~