今年のNHK大河ドラマ「西郷どん」も今度の日曜日が最終回となりました。
あまりに西郷という歴史的偉人を「良い人」として描く演出にはちょっと何だかなぁ・・・
という気持ちで眺めていましたが・・・
それが明治維新後の歴史を駆け足で描く中で、
史実を取捨選択しながら表現する様は・・・まぁこれはこれでなかなか面白い・・・とも感じました。
戦国時代の時代劇と違って、資料もいろいろ調っている幕末期を描く難しさもあるんでしょうなぁ
幕末維新期のいわゆる討幕運動において、西郷隆盛は強烈なリーダーシップを取った。
仮にあの場面で西郷がいなければ歴史が大きく変っていた、のは間違いないとも言えるほどにね。
しかしながら「良い人」過ぎて、歴史に取り残された・・・との解釈なのかな
大久保利通との対比も顕著ですからね。
私的にはもう少し「聖人」じゃない、人間らしい姿を見たかった気がしますが、
そこらは見解の相違であり、やむを得ないんでしょうけどね。
西郷は生前期から「何を考えているのかよく分からない」人間との人物評だったようです。
だからこそ、周りの人間に引きずられて破滅してしまったとも言えるわけで。
征韓論(遣韓論)にしても、西南戦争にしても、西郷の真意は謎です。
坂本龍馬が勝海舟に語ったという西郷の人物評
「少しく叩けば少しく響き、大きく叩けば大きく響く。もしバカなら大バカで、利口なら大きな利口だろう・・・」
という見解は言い得て秒だと私は感じます。
西郷は話す相手によって自分の考えを使い分けていたようでね
大事を説く人間には大事で返し、小事を説く人間には小事で返す・・・
だから皆が西郷が立派な得体の知れない人間に思えてしまう。
小事とは小言のことですが、国家百計も大事ですが自分の身近な問題も大事なのは明か。
明治になってからの維新政府の政策によって、士族は苦境に陥ります。
廃藩置県、廃刀令、秩禄処分、徴兵令等によって、地位も権力も特権も次々と奪われていく・・・
生活に困窮する鹿児島等の全国の士族をどうするのか
新たな新国家日本を運営するためにはアンシャンレジームである士族の不満は仕方がないのですが、
それを見捨てることができなかったのが西郷という人間。
しかしながら現実の西郷は決して超然とした人物ではなく、
(明治六年政変によって自ら去った)維新政府に公然とした不満を抱いていたようです。
鬱積した不満も表現する、ある意味西郷の「負の部分」も切り込んでも良かったのでは
というのが、今年のNHK大河ドラマに対する私の見解です。