嘉門達夫オフィシャルブログ 冷やし中華始めましたか?(知らんガナ!) Powered by アメブロ-2012022215590000.jpg








4月にアリゾナ行きが決定



7年ぶりのアメリカ公演だ


7年前はシカゴ



そして生涯の思い出ニューヨーク・ハーレム

アポロシアター



その時の模様



当時連載していたデイリースポーツの原稿を貼り付けよう



嘉門達夫の「オモシロ人間交遊録」第26回「アポロシアター・上」



 ハーレムの「アポロシアターアマチュアナイト」に出演する為、ニューヨークにやって来た。


これは仕事ではない。

今年はじめシカゴで唄う機会があったので、その前にニューヨークに寄って行こう!と言う事になり、スケジュールを見ると毎週水曜恒例のアマチュアナイトの日が入っていた。

ビデオオーディションでなんとか出場出来る事になり、パトリック・ハーラン、小林克也さんの協力を得て「英語で僕のジョークを唄う」という未知の世界への挑戦なのだ。

 当日の出場者は15組。バンドを従えて「ホイットニー・ヒューストン」を唄う女性、「マイケル・ジャクソン」のダンスを踊る若者、ポエムを朗読する人、スタンドアップコミックをする人、いろんな分野の挑戦者がまずリハーサルを行う。


その様子をプロデューサーがチェックし出演順を決める。


僕はサムライ姿で登場し、殺陣と切腹のパントマイムをしてから、刀をギターに持ち替えて約2分唄った。

そして控え室に戻って出演順が発表される。

僕の出番は6番目に決まった。

グリーンルームと呼ばれている全員でひとつの控え室は緊張感が溢れている。


ヘッドフォンで自分が唄う唄を何度も聞いている白人男性、ダンスの振りの練習をしている男の子、みんな真剣そのものだ。


実際ここへ来るまでは「アマチュアナイト」というコンテストが一体どれくらいの温度で、どれほどのエネルギーが渦巻いているのか想像出来なかった。


しかし、ここまでボルテージの高い場所だとは!

 いよいよ開演。

控え室から順番に名前を呼ばれ、緊張の面持ちでみんなステージに向かう。


唄いきった人は嬉しそうに戻ってくるし、ブーイングで途中退場を余儀なくされ落胆して戻って来る人には、みんながやさしくねぎらいの言葉をかける。

ハウスバンドの音が異様にイイ。

70年の歴史の劇場と思えないほど、音が重厚で魂に響く。


出番が迫って来たので、ステージの様子をのぞきに行こうとしたら、舞台監督に強く「NO! 」と止められた。

出番の直前まで、舞台ソデには行ってはならないルールらしい。

客席の歓声と熱気が控え室までビンビン伝わって来る。

ここでは出場する方も客席で観る方も真剣なのだ。

そしていよいよ僕の名前が呼ばれた。


サムライ姿でステージ袖にスタンバイする。

僕の前に出た女性はブーイングが出て途中退場。

肩を落として戻ってくるのを劇場スタッフがなぐさめている。


さあ、僕の出番だ。



喉が異様に乾く。



(つづく)





嘉門達夫の「オモシロ人間交遊録」第27回「アポロシアター・下」



 今年1月、ニューヨーク、ハーレムの「アポロシアターアマチュアナイト」に出演して来た。


 15組の出場者の中で6番目が僕の出番。


MCが「ミスター、タツオ・カモン!」と叫んだ。

唄の前にサムライパントマイムをやる。

「必殺仕事人」の音楽に乗ってステージに登場。


歓声があがった。


ありがたい事に現地の新聞で僕が出る事を知ったニューヨーク在住の日本人も相当数応援に来てくれている。


しかしここは黒人音楽の聖地。


大多数の黒人オーディエンスを納得させなければブーイング→退場という事になってしまう。


 サムライ姿で殺陣をやり、そこにハエが飛んで来て、刀では切れず懐から箸を出してハエをつかみ、そのハエを食べる仕草をしたところでそこそこウケた。


腹具合いが悪くなり、切腹するところまで、なんとか辿り着いた。


真っ赤な血に見立てた布を腹から引きずり出す。


これが終われば刀をギターに持ち替えていよいよ唄うという段取りだ。


英語で唄う為に、パトリック・ハーランと小林克也さんにみっちりレクチャーを受けて来た。


さあ、唄おう!と思った矢先、客席からブーイングが上がり始め、サイレンが鳴り響き、ポリス姿のピエロが退場を促しに出て来た。

え?まだ唄ってないやん!


僕はマイクに向かい「まだ唄ってないよー!サンキューアポロ!」と叫んでステージを降りた。



 残念と言えば残念な結果だったが、こんな経験は日本ではありえない。


本場のエンターテイメントの殿堂で、客席のすさまじい熱気を感じて「あの場所に立つ」という事が目的だった。


「血湧き肉踊る」を体感した。

 終わって冷静に考えたら、なぜ僕はサムライパフォーマンスで登場したのだろうか?



日本の活動の中でもそういう事はやった事がないというのに。


そもそも歌唱力を競うコンテストで「唄ナシ」で前半2分持たすという構成に無理があった。


自分の中にあるモノで勝負するべきだった。


でも、そんな事は実際やってブーイングを浴びなければわからない。


またいつか、この経験を元に傾向と対策を練ってアポロに挑むつもりだ。

 外に出ると雪が降っていた。

まだ体は火照ったままだ。

出口でこちら在住の日本人の人が数人待っていてくれた。


写真を一緒に撮ったあと、僕はギターケースからギターを取り出し、彼らの前で今日ステージで唄う事の出来なかったジョークを披露した。


みんな笑ってくれた。

 退場させられたのにこの充実感!アポロはスゴイところだった。



(^皿^)
シマイ!