「乙女ゲー」と「ボブゲー」 | 臨時作家

「乙女ゲー」と「ボブゲー」

昨夜、娘が、わたしのブログ記事を読んでいて「違うよ、コレ」とつぶやいた。
「え?」
「この、乙女ゲー、まちがってる」
おお、校正ですか。わたしは、真摯な態度にあらためた。
「どう、ちがうんでしょう」
「乙女ゲー、じゃなくて、ボブゲー。乙女ゲーは、普通だよ」
「ボブ毛?」
「ちがうちがう。ボーイズラブの二文字とって、ボブゲー」
なるほど、勉強になります。いや、勉強してどうすんだ! わたしは、さっそく修正にかかった。
「コレ、専門用語だよね」
「うん、腐女子用語」
娘は、こんな情報に、やたらとくわしい。だが、世間一般的な用語知識には恐ろしく乏しい。

先日、娘の中学の担任から、無断欠席の連絡を受けた。これは、衝撃だった。わたしの頭の中には、次のようなプロセスができあがった。
「無断欠席」→「サボリ癖」→「ひきこもり」
これは、マズイ……。

その日、娘は、朝から頭痛がするというので、午前中、病院にいき、登校したのは午後からである。頭痛の原因はなんだったのか。医者のくだした診断は、寝不足だった。そういえば、前の日に夜遅くまで、友達とチャットをしていたはずだ。娘にどこにいっていたのかと訊くと、なんとなく近くの団地の最上階で本を読んでいたという。そこで、わたしは半時ほどかけて叱った。そして、最後に、
「あなたみたいな子供が、悪い友達つくってドラッグにはまるんだよ」
と、いうと、娘は口を「ヘ」の字に曲げ、こともあろうか、「最近は、やってない」と、いったのだ。
最近はやってない……?
それって、やってたってコト? ドラッグ、やってたの? ……どうする、わたし。
「あのね、ドラッグが何かわかってて、いってる?」
「知ってるよ」
いうと、娘は、わたしの目の前に、親指をつきたてポーズをとった。

「コレでしょ」
わたしは、ずいぶん長い間、その親指をながめていた気がする。そして、ついに、結論に達した。

「それは、グッドラック」
「え?」
あんたは、ドラッグも知らずに中学生やってるのか。まあいい、知らないのなら、やらないだろう。

わたしは、常にポジティブに物事を考えることにしている。