伊太地山伝兵衛さん(以下、伝兵衛さん)は、もう20年以上前にライブを観てから、細く長く観続けてきたミュージシャンであります。
最近は全国飛び回っていて、「稲妻スケジュール」と本人が呼ぶぐらい、一日後には北から南、西東と年間250本ぐらいのライブ活動をしている。
だから、首都圏内で観ようと思っても、タイミングが合わないとあっという間に月日が経ってしまう。
この日はタイミングが良かった。
そして、ポンタさん、種子田さんとの共演。
お二人には、伝兵衛さんのNHKホールでの共演以来。
伝兵衛さんのNHKホールでのコンサートで種子田さんのエレピの演奏が印象に残っていて、いつぞやまた観てみたいと思っていたんですね。
それから、場所が私が何度か足を運んだ横浜 Thumbs Up。
先日の横浜ジャグバンド・フェスティバル以来。
ドラムがきっちり観れる距離なんだな。
ポンタさんが間近で観れる!!
伝兵衛さんもThumbs Upでは、ワンマンは初めて。
こんな巡り合わせはなかなかないんだ。
ということで、行ってきました。
(...以下、長文ですので、あしからず)
お店に着いて、お食事をしながらライブが始まるのを待つ。
定刻より少し過ぎた頃、3人のミュージシャンがステージに上がると拍手で迎えられる。
ポンタさんが座り、タイミングを計ることもなく、すぅーっと音が放たれた。
...鳥肌が立った。
ゆったりとメロウに「コーヒー・ルンバ」を披露。
いつもThumbs Upでは、Swing Jazz系のミュージシャンを観る機会が多かったのですが、ゆったりとした伝兵衛さんの世界に一気に染まった。
その後も伝兵衛さんの歌に、音の間合いを楽しむように奏でられていく。
それでいて...演奏中にバトルしてる。
伝兵衛さんのライブへ行くと、共演するミュージシャンは歌ものの中で歌に彩を与えながらも、自分の持ち味をどんどん披露する。
そして、みんなを楽しませる。
自然と声が発せられ、笑いが飛び交う。
伝兵衛さんのソロ・ライブで聴くこともあるので、共演した時のミュージシャンの個性も伺える楽しみも味わえる。
種子田さんの演奏、好きなんだよね。
力の入れ具合、音の粒立ち、回り具合...っていうのかな。
音符にすると普通の演奏になっちゃうんでしょうけれど、非常に個性的。
男気を感じるんだ。
歌物の演奏だけれど、3人が触発していく様がみえる。
これが、最高!!
伝兵衛さんのライブは、語りが存分に盛り込まれている。
いろんな場所でのライブ出来事、曲の話、ミュージシャンとの出会い等...
この日はポンタさんが饒舌でした(笑)
3人の素の会話。
そんな中に出会った街のこと、食事のこと、音楽に対する姿勢、愛情が盛り込まれている。
これは伝兵衛さんのライブならでは聞ける話かな。
お客さんと一緒に会話しているように繰り広げられる。
伊太地山伝兵衛さん...
私がライブに足を運ぶようになって間もなく出会ったミュージシャン。
その演奏スタイルは今でも変わらない。
極渋、極甘な歌声。
歌詞は音を選んで、言葉を選んでモチーフを彩る。
心に残って、一緒に口ずさんでしまう。
隣り合わせになったお客さんも同じように口ずさんでいる。
そんな歌です。
「初っ端から凄い人と出会ったもんだ」と、巡り合いを感じてしまう。
ライブ終了後、伝兵衛さんと少しお話。
「体に気をつけて」と最後に言うと、「結構大丈夫みたい」と笑う。
またの巡り会いまで、この日のライブに想いに耽って待つことにしよう...
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今回、ポンタさんについて、自分なりに書いてみます(_●_)
ポンタさんのこと、ドラムのことをあまり知らない自分が書くのも何なのですが...
ポンタさんとの出会いは、伝兵衛さんのライブで。
以降、私はポンタさんの演奏は伝兵衛さんとの共演しかありません。
でも、いろいろと繋がっている。
ポンタさんと近しいミュージシャンのライブに行くことになったり、ライブハウスのマスターが知り合いだったり、知り合いのミュージシャンが演奏しているところにポンタさんが現れたとか(笑)
最近、ポンタさんに私は間接的に何かと問題提起されているように感じる。
TV出演を観た時、そしてアルバム「7」を聴いた時。
「7」は凄かった。
日本のミュージシャンに、「俺を抜くドラマーはまだいないのかっ!」、「俺が仲間を集めてやれば、若い奴らの演奏はみんな曇っちゃうだろっ!」って言っている様に感じた。
そしてこの日のライブである。
大きな会場で演奏することが多いポンタさん。
ほとんどライブハウスでしか演奏を聴く事のない私は、伝兵衛さんのNHKホールでのコンサートを観た時、その存在感は素晴らしく、「やっぱりホールとか大きな会場で演奏する人なんだな」とか考えちゃったりしてた。
でも、違った。
誰よりも歌を愛するドラマーであった。
歌の存在感を際立たせるドラム。
そして、ポンタさんだってわかるドラム。
ポンタさんも歌っている。
だからドラムも歌う。
ダイナミクス、音の止め方なんて、もう最高。
小さな音がまた憎らしいいぐらいいとおしく奏でる。
キーボードで言う「白玉」のような、シンバルの鳴らし具合...
ちょこちょこっと叩いているリズム。
演奏を聴いて、息を飲むとはこういうことか。
そして叩く姿...カッコ良いや。
日本屈指のドラマーだって、心の底から思った。
少ない編成、ライブハウスだから、なお一層感じることができた。
MCでポンタさんが今の日本の音楽事情を嘆いていた。
そして、ここ2、3年、ポンタさん自身がいろいろな土地に行っていろんな方と触れ合って伝えているとのこと。
今年に入って、既に100本以上ステージに上がっているとのこと。
そう、音楽の基本は生演奏である。
みなさん、是非ライブに足を運んで欲しい。
そして、いろんな人に伝えようとしている姿、音を生で感じて欲しい。
そう切に思うライブでした。
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伝兵衛さんのライブなのに...こんなレポ書いちゃった。
でもね、叩きたい歌、一緒に演奏したいと思うミュージシャンがいてこそ、ドラムが引き立つのであります(_●_)
ポンタさんのジャズ、フュージョンでの演奏のみしか知らない方は、もったいないです。
ポンタさん、歌いながら叩いてますからね。
まだ伊太地山伝兵衛さんの歌を聴いていない方、是非足を運んでみてください。
そして、ポンタさんが叩きたい歌、一緒に演奏したいミュージシャンがこの人なんだと確かめてみてはいかがでしょうか。
■関連リンク
■伊太地山伝兵衛 、村上"ポンタ"秀一、種子田博邦
・伊太地山伝兵衛(Vo, G)
・村上"ポンタ"秀一(Dr)
・種子田博邦(Key)
◇1stステージ
1.コーヒー・ルンバ
2.男達のメロディー
3.Wesが聴こえる(伊太地山伝兵衛)
4.湘南Rainy Blues(伊太地山伝兵衛)
5.Sweet Home Chicago
◇2ndステージ
1.嘘つきダイヤモンド
2.とまどうペリカン
3.明日はどっちだ(伊太地山伝兵衛)
4.あと一杯(伊太地山伝兵衛)
5.いつものズブロッカ(伊太地山伝兵衛)
6.またしても HI-WAY(伊太地山伝兵衛)
アンコール:HYMN HIM NOBODY