大塚阿波踊りに出掛けてきた。

16時に大塚駅南口に集合。


昨日までのすさまじいばかりの残暑が、午前中の雨でぬぐったように消えていて夕方の今、とてもしのぎやすい。


徳島や高円寺での阿波踊りの様子はニュースで毎年やっている。

人でごったがえした場所は苦手なので自分とは関係ないと思って観ていたのだが、今日はカメラ教室なので逃げるわけにはいかない。


17時より阿波踊りがおこなわれる通り(大通り演舞場)まで。

思っていたよりも人の数が多くない。


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簡単に沿道の最前列の場所を確保できた。

ありがたいことに、段ボールまで道路に敷いてくれていた。


目の前を一杯に、法被や着物の色たちが、小刻みに、それぞれのリズムで律動している。

踊りを習って、参加して見たい気押持ちが起こったが、腰の具合が良くない。


踊りがスタートしてから1時間。

気がつくと、沿道には何重もの人垣ができあがっていた。

最前列の場所を離れ、沿道の付近を歩いてみることにした。


『ノルウェーの森』 に出てきた、主人公の大学のクラスメイトの女の子(名前は思い出せない)の実家は本屋だったのだが、確か大塚ではなかったか?


家に帰ってから、『ノルウェーの森』をパラパラとめくってみたら、はたして大塚であった。

最近、記憶力のなさにうんざりしていたのだが。


「大塚駅の近くで僕は都電を降り、あまり見映えのしない大通りを彼女が地図に描いてくれたとおりに歩いた。道筋に並んでいる商店はどれもこれもあまり繁盛しているようには見えなかった。 (略) そんな道を十分ばかり歩いてガソリンスタンドの角を右に曲がると小さな商店街があり、まん中あたりに『小林書店』という看板が見えた。たしかに大きな店ではなかったけれど、僕が緑の話から想像していたほど小さくはなかった。ごく普通の本屋だった。」


クラスメイトの名は小林 緑であった。


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7月に読んだ本は、


下町探偵局(パート1)   半村 良


夜の終わる時        結城昌治


O・ヘンリー短編集(二)  O・ヘンリー


翔ぶが如く(一)~(四)  司馬遼太郎



『O・ヘンリー短編集(二)』  以前読んでから随分と時間が経っている。

『二十年後』、『賢者の贈り物』など懐かしかった。


実はこの古い短編集を引っ張り出したきたのには訳がある。

先月、山口瞳の『酒呑みの自己弁護』を読んでいたら、こう書かれてあった。


「酒がテーマになっている小説では、O・ヘンリーの『失われた混合酒』の右に出るものはない。(略) 私は『洋酒天国』 というPR誌を編集していて、酒の出てくる小説を開港健と一緒に片っぱしから読みあさった時期があるから、自信をもって断言する。」


以前に『失われた混合酒』も読んでいたはずなのだが、まるで覚えていなかった。今回読んでみて確かに面白い短編である。


『酒呑みの自己弁護』が発行されてから40年が経つが、今はどうなのか山口瞳にきいてみたい気持ちがおきる。



6月に読んだ本は


夜の絵         (三浦 哲郎)


忘れ傘         (半村 良)


抱擁          (日野 啓三)


葛飾物語       (半村 良)


雨物語         (半村 良)


酒呑みの自己弁護  (山口 瞳)


渇いた配色      (松本 清張)



『酒呑みの自己弁護』  昭和46年の作品である。あとがきにこう書いてあった。


「この読み物は夕刊F に連載された。連載をひきうけて、数日後にタイトルを 『酒の害について』 と決め、担当の人には諒承してもらった。ところが広告部のほうで、それでは酒関係のスポンサーにさしさわりがあるので変えてくれと言ってきた。酒関係のスポンサーといえばサントリーのことだろうから、私はサントリーの宣伝課長に会って諒解を得てきた。…」


二十数年、夕刊Fの広告部で働いていた。

記事に関して、クライアントからクレームがはいるのはよくある事であった。

そのたび、編集局に記事の削除または書き直しを頼みにいくのだが簡単には諒承してくれない。

何度怒鳴られたことか。


山口瞳さんはサントリー宣伝部出身なので、レアケースであっただろう。


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