史郎は、京一郎亡き後、
『櫻狂乱』の舞を
しばらく封印し続けた。





京一郎が居ないその踊りは、
どうしても史郎は
他の誰かと踊る気にはなれなかった。








二人が心で共鳴し合い
兄弟としての関係を越えて
初めて作り上げた踊りは、
他者を寄せ付ける事が出来ないほどの
完成度だった。







心に傷を持つ史郎は、
どこかでけじめをつけるべく
3年後に家元を継ぎ
この踊りを一人で舞う決心をした。









この舞は、史郎の真骨頂と言われるほど
その絶妙なまでの男舞に
観客を魅了した。






見る人々が
その舞で史郎の横で舞う
京一郎の姿を浮かび上がらせていた。









史郎は、この時とばかりに
京一郎への想いを
思い切りぶつけることが出来た。







二人が愛し合うことへの禁忌






その瞳にお互いを映し、
言葉なき想いを
まるで確認するように舞い続けた。











京一郎が亡くなり
既に十数年の年月が経っていた。





史郎は、
櫻が咲き誇る時期に舞台で、
ある地を訪れていた。






昼間の櫻のみごとに咲き誇るその下で、
多くの人々が宴会をしていた。






ふっと
京一郎の香りが鼻を掠め
史郎は、笑みが零れた・・・・












その夜、
史郎は宿で眠れず
夜櫻を見に
一人外に出た。










小さな川を挟んだ向こうにも
櫻街道が長く続いていた。






夜の櫻は月明かりに照らされ
そこ一面が淡い色を浮き立たせていた。














「!!?」














史郎は、心臓が止まる想いで
一点を見つめた。






~まさか・・・・・~






櫻の木の下で
京一郎が舞っていた・・・・






その踊りは、間違いなく京一郎で
息が出来ないほどの衝撃を覚えた・・








「櫻狂乱」
を見事に踊るその姿に
史郎は、心を鷲掴みされ
その痛みにとっさに

「京一郎!!!!」

っと、叫んでいた。





亡霊ではない・・・・




その踊り手は、
ハッとしてこちらを見つめる・・・・








小さな川を挟んだ向こうで
その驚きの眼差しの京一郎が
しっかりとこちらを見つめる・・・





~間違いない!!京一郎!!~






史郎は、その場を駈け出し、
向こう側へ渡る橋を探した。





京一郎は、
我に返り
走りだした。







「待て!!!京一郎!!!」





史郎は、必死に走り着いた時、
京一郎の姿は既にその場には無かった。




「京一郎っ!!!!京一郎!!」




何度呼んでも
その姿はどこにも無かった。



その場に落とされた扇子・・・・




櫻の模様が綺麗に描かれたその扇子は、
今も持ち手に温もりが残っていた・・・



「京一郎・・・・何故、逃げる・・・」



その扇子を胸に
史郎は、あの姿が瞼に焼き付き
ずっと焦がれた想い人に
いつも以上に痛む心を持て余していた。














翌日から舞台の後、
その櫻の樹の下に行き
史郎は、踊り手を待ち続けた。





しかし、史郎の前に現れることは無かった・・・・








それが「京汰」だったと知るのには、
もう少し時間を費やすことになった。





史郎38歳
京汰18歳の春だった・・・・





皆様~こんにちは~

ぺこ <(_ _)>


「月」をテーマにしたお話は、何故か「京汰と史郎」も途中参戦し
4部作になってしまいました。


この話は、本編の中で紹介するつもりでしたが、
ちょうど月明かりで舞う京汰と史郎の出会いも「月」って事だったので、
私イチオシで載せました。気に入ってます。



京汰も日舞出来るんだ~って事だけど、この方はかなり過酷な人生を送っていて、
大正ロマン最高な不幸設定かもしれません。



京一郎にそっくりな京汰・・・・父親譲りの一途さは、もう凄いです。
史郎は、どこから京一郎でどこから京汰なのか戸惑い、悩みます。

そんな素敵に切ない話になってます。(頭の中でね~)


今回の画像・・・如何でしたか?
Natsu-Mao~写真集からです。

実は、このブログで最初の頃からいろいろお世話になってる、古参のファンの方から譲って頂きました。

販売されていないまおくんのものを、オークションで高い値で買ってる事を知り、ファンである私に譲ってくれたのです。

古参のファンって言い方は、ちょっと失礼ですよね~
でも、まおくんを知り尽くした方でした。
私のブログでメッセージを頂き、いろんな疑問質問に本当に丁寧に答えてくれた方でもあります。

まおくんを現役で知り、あの休止宣言も生でみて、ファン達がどれほどの傷を追って
どれだけ立ち直れない想いを抱えていたか、その苦悩を教えてくれた方でもあります。


やっと違う方に目を向けることが出来る、っといいながらも、戻ってきたら会いに行きます。
っと、素敵に話をしてくれました。

まおくんを忘れるのではなく、きっと心に綺麗な想い出として封印したのかもしれません。

まおくんに会い、その手を繋ぎ、そして会話をした人たち・・・
出遅れファンとは違った辛い想いを過ごしてきています。

「また帰ってきます」っとまおくんが何度も手を握り、そう言ってくれたから待ちましょう~
っと言ってくれました。
会った事のないこの方をとても素敵な方だと尊敬しています。



今日は、初コピー機でスキャンして画像を取り込みました。

この素敵なまおくんを、出遅れファンとしてみんなと共有したくて、
そして、京汰として登場してもらいました。
後日、画像を素敵に紹介しますね~


ありがとう~ぺこ <(_ _)>
大事に使わせてもらいます。


で、「大正ロマンはまり隊」の皆様・・・・・今日のお話は、如何でしたか?
切ない想い・・・・京汰と史郎は、これから怒涛のような愛に翻弄されるのです。


また、オオトリ・・・・次になっちゃいました~(*ノω・*)テヘ
また、書き上げたものを書き直すつもりです。
これで三度目だわね~
新しいエピを入れ込みたいと、今回3作書いて思いました。
どれもとても気に入っています。
月を見上げた時、ふっと想い出してくれると嬉しいなぁ~
あなたは、どの「月」の話がお気に入りかな?

では、そのうち~オオトリの京介と大輔登場~
待っててね~(^O^)v


では、では、今日も素敵な一日をお過ごしください~



マタネッ(^ー^)ノ~~Bye-Bye!