アドヴェントカレンダーのひとつ目の箱を開けると、四角いかけらが出てきました。
全然すてきなものではありません。

まるみちゃんは、ムッとして、かけらを箱に戻しました。

翌日、二つ目の箱を開けると、丸いかけらが出てきました。
まるみちゃんは、またムッとして、かけらを箱に戻しました。

毎日毎日、箱を開けても、なにかのかけらしか出てきません。
まるみちゃんはイライラして、12月25日の朝、箱を開けませんでした。

まるみちゃんのクリスマスプレゼントはくまのぬいぐるみでした。
まるみちゃんは、もうくまのぬいぐるみを持っています。
むっつりと黙りこんで、まるみちゃんは、アドヴェントカレンダーを壁からむしりとりました。

「あらら、まるみちゃん。カレンダーの秘密はわかったのかな?」

「ひみつ?」

まるみちゃんが首をかしげると、お母さんはぬいぐるみのせなかの縫い目をはずしました。
くまの中にはぽっかり穴があります。

「まるみちゃん、カレンダーのかけらを出して」

カレンダーの箱を全部開けて中身を取り出すと、お母さんはかけらを組み立てはじめました。

出来上がったのは、時計に似た箱でした。
お母さんはそれをくまの背中に入れると、25日の箱に入っていた乾電池を、くまの中に入れました。

すると、くまがしゃべりました。

「メリークリスマス!」

まるみちゃんはびっくりして目を丸くしました。
お母さんはくまをまるみちゃんに渡しました。

まるみちゃんは何度もくまを振ってみました。

「メリークリスマス!」

「&ハッピーニューイヤー!」

まるみちゃんはすっかりくまが気に入りました。
空っぽのアドヴェントカレンダーの箱も、何度も開けたり閉めたりしました。

「お母さん、アドヴェントカレンダーはサンタさんがくれたの?」

「そうよ。サンタさんが2つ、プレゼントをくれたの」

まるみちゃんはにっこり笑いました。
そして、11月30日の誕生日が大好きになりました。

11月30日はクリスマスまでのカウントダウンの最初の日なのですから。

「来年も、サンタさんはアドヴェントカレンダーをくれるかな?」

「良い子にしてたら、きっとね」

まるみちゃんは嬉しそうに笑いました。