障害年金は保険です
障害年金をめぐって、よく誤解されていることのひとつに、障害年金は福祉であるとか国の支援であるといったものがあります。
医師の中にも、障害年金の受給を考えている方の中にも、そのような誤解はあるようです。
ですが、日本の公的年金は社会保険、いわゆる「保険」です。
(厚生年金は、正確にいうと「厚生年金保険」です)
基本的には保険料を納め(20歳前障害など、一部例外もあります)、「保険事故」が起こったときに給付を受けます。
公的年金制度でいうところの保険事故とは「老齢・障害・死亡」です。
ですので、保険事故である障害が生じたときに障害年金を請求するのは当然の権利です。
実際、「なんとなく引け目を感じる」という方はいらっしゃるので、私はよく、生命保険や損害保険を例にとって説明します。
保険の契約をして、保険料を支払う。
たとえば医療保険であれば、保険事故である「入院」などが起これば、保険会社に請求する。
たとえば自動車保険であれば、自動車事故が起こったときには、やはり保険会社に請求する。
そのことに、引け目など感じないはずです。
そのための保険なのですから。
年金も、基本的には同じ仕組みです。
公的年金(保険)に加入する(実際には強制加入ですが)。
保険料を支払う(場合によっては保険料免除を受けることもできるのは、公的な社会保険ならではのメリットです)。
保険事故が起こる。
保険金である「年金」を請求する。
ただし、社会保険である公的年金は保険者が「国」ということになり、原則、生涯にわたる年金という性質からも、他の給付に比べ、審査は厳しく、認定は慎重に行われています。
(※一度受給権を得れば、障害等級に該当しなくなったとき支給停止はあっても、基本的に受給権はなくなりません)
一般に、年金は「年をとったときにもらうもの」という印象がありますが、公的年金の役割は、死亡補償(遺族年金)と障害をカバーしています。
病気や怪我で、いつなんどき、障害を負うことになるかは誰にもわかりません。
言ってみれば、障害年金は、国民の全てに受給可能性がある「保険」ということになるかと思います。
今日いただいた問い合わせから、あらためて根強い誤解を感じましたので、日頃思っていることを書いてみました。