科捜研の女15 第13話 感想というか余談というか… ネタバレ大いにあり | == 肖蟲軒雑記 ==

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 今エピソードでは、土門薫内藤剛志)の剣道部時代(京極高校)の友人片岡裕二永島敏行)がキーになった。水道局の職員として漏調の最中に、小説家大文字智美根本りつ子)の遺体を発見した、という導入である。漏調は以前『臨場』でも事件通報と解決の手がかりになっていたため、既視感のある出だしであった。

 新たな手がかりや証言から次々に容疑者が浮上しては疑いが晴れ、次の展開に移る、という王道もののストーリーとなったため、消去法で犯人が絞り込めてしまった点を除くと、なかなか見応えのある話だったと思う。

 

 「音」というと東映の公式ページ でも紹介されているが、16年以上昔の科捜研の女の第1回が思い出される(といっても、再放送で見たものなので、それほど古い記憶ではないのだが)。

 あのエピソードでは、犯行現場近くでたまたま撮影されていた2台の8ミリビデオの音声を用いて、ステレオ効果を用いて犯行時の音の発生源の位置(とその移動)が特定された。大がかりな実験装置の作成も懐かしいが、音声の解析に用いていたのが、今はなき1/2インチのオープンリールテープだったことも印象的だ。この15年で様々な記録媒体がアナログからデジタルに急速に置き換わったことがよくわかり、隔世の感を持つというものである。

 

 さて、事件解決の鍵(キー)になったのは、パソコンキーの音のデータベース作りである。データベース作りというのは、「研究の中で使うチャンスがあるかどうか分からないものも全て網羅する」ことが求められる。水道管ではないが、それこそ漏れがないように、丹念に行う根気と忍耐力の必要な作業だ。今回の場合、同一の機種を求め、科捜研内で行っても良いのではないか、とも思えるが、ここは、キータッチの圧力の個人差が音に大きく影響を与えることから、本人のデータ採取である必要があったと考えよう。

 それにしても、都合良く音付きの映像があったお陰でサンプルに事欠くことはなかった。しかしながら、それでも大変な作業であったに違いない。こういう単純な作業を長い時間かけて行えるのは相馬涼長田成哉)の真骨頂といえるが、今回はそれに榊マリコ沢口靖子)も加わっていた。彼女もまたコツコツと積み上げることができる研究者であることが示される、良い場面だったと思うのだが…

 

 ドラマ中では音が決まるごとに、対応するキーの色が変わっていき、それが全て埋まったところで朝を迎えている。しかし、こんなことはありえるのだろうか?と見ていて疑問を持った。

 

 データベースの元になったのは、風丘早月若村麻由美)が持ち込んだ大文字智美が何かの文章を打ち込んでいる映像である。彼女の文字入力は、「かなボード仕様」ではなく「ローマ字仕様」にしていることは、解読文章の「S」で始まる入力が「朱雀(SUZAKU)」になることから明らかである。そうだとすると、元映像でローマ字には使用しない「Q」や通常の文章入力ではまず用いない「_」(アンダーバー)などを使うチャンスは果たしてあったのだろうかという疑問が生じる。なお、「X」や「L」も本来のローマ字にはないが、「っ」などの小さい文字変換に用いるので頻度は低いものの、使っていないと否定することはできない。いずれにしても、あのデータベース作成で、全部が埋まることは極めて不自然なのである。限られたサンプルから作成したデータベースであるのだから、いくつか抜けがある方が、リアリティのある描写になったのではないか、と考えてしまうのである。

 

 ところで、コアなファン(だと思われる)風丘早月の語った、小説登場人物のモデル。

大文字朱雀 = 大文字智美

坂本花凜 = 友坂梨香野村佑香

伊勢和警部 = 岩瀬厚一郎ヨシダ朝

主人公以外の2名は名字は対応関係が(「さかもと→ともさか」、「いせわ→いわせ」と)アナグラムになっている。

この法則を当てはめると、

恋人である高岡葵のモデルは、20年ぶりに邂逅した片岡裕二に違いないだろう(「たかおか→かたおか」)。


 大文字広岡のことを忘れずに思っていた様子が劇中の描写からも窺える。彼女が「本当の結末があるの」と語ったのは、彼が去ったあとのことだ。もしかすると片岡との再会が結末を変えさせたのかもしれない。そう思うとやはり「大文字朱雀を殺したのは高岡葵」だった、とも言えそうだ。