長いだけの面白くもない話。

夜光貝とは関係の無い備忘録的記事です。

 

≪謎の果実≫

 

2022年3月初め

とある夜

何やら白い物が庭の木についているのを発見。

あたりは真っ暗だけどかなり目立っていた。

ビニールか何かだと思い、その日は気にもしていなかった。

 

 

 

 

あくる日、

白く見えていたものが何だったのか、チラッと見てみる。

それは、椿の木にまだあった。

・・・ゴミ?・・・ではない?

 

 

何?

人工的なものではなさそう。

大きさは野球ボールぐらい。

もちろん椿の実とも全然違います。

 

植物?の実?

こんな実は見たことが無い。

 

それにしても真っ白だ。

色素が全く無い。

ツル性植物の果実かなと思い、昼過ぎまで忘れていた。

 

 

 

 

 

昼過ぎ

 

何やら庭が騒がしい

数羽のヒヨドリが椿の木の周りで騒いでいる。

 

 

外に出てみると、

何と、あの白い実を貪り食っている。

ボロボロになった謎の実、写真を1枚撮って家に戻る。

 

次の日、

それは跡形もなく消えていました。

 

 

 

 

 

 

≪正体判明≫

 

気にはなっていたので、

その後、いろいろと調べてみました。

 

どうやらこれは、

椿の

『つぼみ』もしくは『実』だった部分らしいです。

 

 担子菌類と呼ばれる菌類が引き起こす病気で、

「もち病」と言うそうです。

 

ツツジ類や椿類だけに起こる症状で、

葉やつぼみ、花などが大きく膨らみ、外側に白い粉状の 子実層 を形成するそうです。

子実層とは菌の塊のようなもの。

 

謎の果実だと思ってワクワクしていたのに、菌による奇形だとわかったので、

ちょっとがっかり。

 

 

しかし、

次の日さらに驚くことが、

 

 

 

 

 

何と、たった1日でもう一個できていました。

一個目よりも小さいものの、こぶしぐらいはあります。

 

 

正体は分かったので、採取して観察開始。

確かに椿から出ている。

よく見ると、付け根に萼(がく)のような物が残っている。

 

位置的にもつぼみや花の位置だ。

 

WEBの説明には、主に葉や新芽、つぼみや花が稀に変形と書いてある。

実が変形するとは書いていなかった。

「実の変形は無い」みたいな説明だった。

しかし、形はどう見ても実なんだよな~。

 

近くにあった

つぼみと花と若い実

外側の筋の入り方や形はどう見ても実でしょう。

 

 

ちょっと怖いけど、割って中を観察。

外皮はやや硬め、ミカンの皮ぐらい。

中身は水分多めのシャキシャキとしたスポンジ状。

匂いは若干青臭くも、割った瞬間は僅かにスイカのような甘い香りがした。

鳥たちが爆食していたことを考えると、確かに食べれそうだ。

 

付け根から均等に筋張った繊維が伸び、周りに種のような物が見える。

萼(がく)の枯れ具合からすると、受粉直後の未成熟な実だったのではないかと思われる。

どこからどこまでが植物で、どこから菌なのかさっぱりわからない。

 

 

今年の夏に正常な実を比較用に撮影。

2023年8月

正常な実は大きくてもピンポン玉サイズ。

 

 

薄く、張りのある外皮

果肉部分は繊維質ではないけれどかなり固い。

青臭く、何だか苦そうだ。

これを食べる生物は多分いない。

種はほとんど完成している。

中の造りや筋の感じが『謎の果実』にそっくりだ。

 

画像の殻は2022年秋のもの。

 

正常な実は10月ごろから枯れ始め、3つか4つに実が裂けて種を落とします。

種を落とした後の殻は木質化し、1年以上枝にぶら下がっていることもある。

 

 

 

 

 

≪もち病は病気?≫

この菌に感染発症した樹木は「弱る」という説明がありました。

対処法は発症部分の切除、薬剤散布。

症状が無くなるまでに1,2年かかることもあるそうです。

一般には、いわゆる『病害』という扱いですね。

ちなみに、表面の白い部分が菌の塊や胞子だそうです。

 

ただ、うちの椿に関しては、感染前と比べて弱るどころか、

・成長率1.5倍

・花の数5倍

・実の数10倍

その後の発症も全くなく、

‥‥めちゃめちゃ元気なんですけど?

発病の翌年、2023年2月

これで八分咲きぐらい。

このあともう少し花の密度が高くなりました。

 

 

 

 

≪まとめ≫

これはいったい何の記事なのか。

自分でもよくわからなくなってきた。

ボツにするのももったいないので、とにかくまとめて行きます。

予備知識なしの、あくまで個人的な推測です。

 

・通常は発症しない実だけに発症したこと。

・成長が良くなり、花や実の数が増えたこと。

・本来食害にあわない実(果肉)が鳥に爆食されたこと。

・発症前の数年間元気がなかったこと。

 

以上のことを踏まえて考察すると、

 

① 寄生・共生関係である宿主の成長を促す役割。

 いわゆる菌根菌というやつですね。『菌根菌』とは、植物の根に寄生し、菌が分泌する酵素を使い、根の養分の吸収を助ける菌類のこと。だったかな?

この菌(担子菌)が菌根菌かどうかは調べていないので分かりません。

 新芽が出るたびに、5.6年連続で新芽を剪定していたので、木が弱っていたのは確かです。

 花は毎年そこそこ咲いていましたが、実はいつも10個ほどしか生りませんでした。発病後の今年は100個はありそうです。

 

② 果肉の変化の意味。

 本来食用部分の無い椿の実。水分多めで僅かに甘い匂いに変化し、鳥に食べられることによって胞子を運んでもらっているのではないかと推測する。

 胞子を飛ばすようなキノコではなさそうなので、糞や体に付着して生息域を広げるのではないか。

 この時期は、鳥たちが花の蜜を吸いに引っ切り無しにやってきている時期でもある。

特定の樹木にしか寄生できないのであれば好都合である。 

 

 

≪まとめのまとめ≫

 

・もともと寄生、もしくは菌根菌として共生していた。

・長年剪定をしすぎて木が弱っていた。

・剪定をしなかった年に一気に栄養を送る。

・胞子たっぷりの果実を実らせる。

・鳥が食べる。

・別の椿へと生息範囲を拡大。

 

ということなのではないか。

 

一般的な病気症状とは別に、繁殖目的の症状もあるのかもしれません。

もしくは、葉の変形する病気症状を引き起こす菌とは別種で、菌根菌のように椿にとって有益な種類の菌ということも考えられますね。

 

 

≪あとがき≫

以上、100%想像だけの考察でした。

詳しく調べたらしっかりした答えがあるのかもしれない。

けれど、たぶんすごく大変。

 

正直、樹木に興味があるわけでもないし。

 

考える前に正解を知ってしまうと、途端に面白くなくなる。

 

疑問に思ったことは、自分で材料を集めて想像する。

 

その過程が一番面白い。

 

漁も夜光貝もそうやってきた。

誰かに何かを聞いたことは1つも無い。

全部自己流です。

 

 

この『もち病』状態の物を食べた人がいるらしいです。

本人の記事ではありませんでしたが、味の薄い梨のようだったそうです。

ただ、毒性もあるようなので食べないほうがいいそうです。

 

いや、こんなの普通食べないでしょう。