- モップの魔女は呪文を知ってる
- (実業之日本社文庫)/実業之日本社
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清掃員のキリコが、日常の謎をクリーンにするシリーズの第3弾!四つの物語りから成る短編集。私は、主人公である奈津の選択に心打たれる2作目の『愛しの王女様』が良かったと思う。
2話目の『愛しの王女様』に登場する主人公の奈津は、ひとり暮らしに憧れ、両親の反対を押し切り東京に出てきたたが、東京で大学に通う生活は、何もかもが想像と違っていた。そんな時、出会ったのは、ペットショップのガラスにもたれるようにして眠る子猫だった。奈津は、バイトを掛持ちして子猫を手に入れ、プリンと名付けて可愛がっていたが、ある日、学校から帰ると、プリンは、良く似た他の猫にすり替えられていた。2年前に初めて飼った猫を亡くした私は、この物語りに引き込まれた。
この『愛しの王女様』は、キリコシリーズと切り離して『さいごの毛布』のように長編にした方が良いテーマだと思った。まあ、その場合には、他の探偵役を設けなければならないが…
この短編集の重心に当たる『第二病棟の魔女』は、子供たちの心情が描かれ、胸を打つ。それ以外の物語りは、登場人物の行動に不自然さがあり、近藤史恵さんが書きたかったことと、キリコシリーズという背景との間に無理を感じた。
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