超少子化社会の到来!!その影に隠された若年層未婚社会と雇用環境悪化の関係は!? | インターネット非正規雇用労働者組合

超少子化社会の到来!!その影に隠された若年層未婚社会と雇用環境悪化の関係は!?

出生率が低迷し、これから超少子高齢化社会が訪れると言われています。

その超少子化の一因と言われているのが若年層の婚姻率の低下です。

本当にそうなのか詳しい因果関係まではわかりませんが

少なくとも婚姻は子供が生まれ育つための一つの前提条件であろうかと思います。

(まあ、必ずしもそうとは言えません。未婚の母なんてのもありますから。)


総務省統計局の労働力調査を見ていると

配偶関係として、15歳以上人口の婚姻関係について調査した内容が目に付きます。

若年層の子育て世代に非正規雇用者などが増加する事によって

若年層の雇用の質の悪化から未婚化が進んでいるなどの話も誠しやかに囁かれています。

婚姻関係が働く事に対してどのような関係を持ち、影響を与えているかはとても興味深く

非正規雇用の問題を扱っている本ブログにおいても注目しなければならないと思います。


今回は最新の平成18年平均の労働力調査から

15歳以上人口の婚姻状態を調べてみたいと思います。

(でも、労働力調査では限界があります。あらかじめご了承ください。)


①      ②   
③      ④ 



①~②のグラフは15歳以上の男女の婚姻状況の比率を年齢別及び性別に分けたグラフ

③~④のグラフは15歳以上の男女の婚姻状況を人数で年齢別及び性別に分けたグラフです。


①~②を見ていてやはり目立つのは結婚適齢期の出産、子育て世代に当たる25歳~34歳の年齢層です。

未婚率が男女とも35歳~の世代と比べると突出して高くなっています。

(15歳~24歳の世代は婚姻状態をどうこう言うのは若すぎるのでここでは除外します。)

25~34歳の男性は56.08%、 女性は43.25%と

35~44歳の世代と比べると男性は2倍、女性は3倍の未婚率です。

率直な感想として単純に若いからまだ独身を楽しんでるのだとか、そういうもっともらしい理由で

かたずけられる比率ではないように思われます。

私も以前メディアなどを通して、若年層の5割は未婚と言う話を聞いた事はありました。

(たしか労働政策研究所かどこかの調査内容を基にした話だったと思います)

少々オーバーな話だなと聞き流していましたが、改めて労働力調査から婚姻状況を調べてみると

結婚適齢期の世代で5割は未婚といってもオーバーな話でもなんでもない事がわかります。

特に結婚適齢期の男性は5割を超えていますし、子供を出産する側の女性も4割超は未婚と

少子化の裏には若年層の未婚化が進んでいる事がはっきりとわかります。


ちなみに②のグラフで65歳以上で女性の離別・死別者が多いのは

寿命が女性の方が長いため女性の高齢者世代は男性婚姻者との

死別者が多いのではないかと思われますが詳しい事は労働力調査ではさすがにわかりません。


⑤      ⑥ 

⑦      ⑧ 


⑤~⑥のグラフは就業者の男女の婚姻状況の比率を年齢別及び性別に分けたグラフ

⑦~⑧のグラフは就業者の男女の婚姻状況を人数で年齢別及び性別に分けたグラフです。

 ※就業者=15歳以上人口-(完全失業者+非労働力人口)


①~④のグラフは15歳以上人口と大まか過ぎるのでさらに対象を細かくして

就業者の婚姻状況を見てみたいと思います。


対象を就業者に絞ってみると新たな特徴が浮かび上がります。

結婚適齢期である24~34歳の世代で女性の未婚率が男性を上回っています。

働く女性は未婚である比率が高いと言う事でしょう。

②の15歳以上人口では24~34歳の世代の女性の未婚率は43.25%でしたが

⑥の就業者では57.43%と14.18%もの差が広がっています。

15歳以上人口の適齢期の女性全体の未婚比率を引き下げている非未婚女性は

就業者以外に含まれている事がわかります。


一つの結果論からいえばの適齢期の就業女性が若年層の未婚化の一因であるように見えてしまい

働く女性はけしからん見たいな、そんなご意見が出てきそうですが、

そんな単純な話でもないようにも思えます。

以前調査した内容 から多くの婚姻女性が家事・育児に追われて働きたくても働けない

非労働力人口として存在すると言う結果はわかっています。

そもそも働く女性に原因があるのか、働いてる女性は結婚しにくい社会なのか

いろいろな見方があると私は思います。

この辺の婚姻の因果関係について非常に複雑です。

ただ女性は職を得ると家事や育児を考えると働きにくい社会なのではと

漠然と考えてはいます。女性の職の安定度は結果的に家事、育児の障害をクリアしないかぎり

婚姻になんらかの大きな影響を及ぼす要素ではないかと考えられます。

(仕事だけでなく家事・育児に熱心な男性を教育で養成するとかが現実的なのかもしれません。)


⑨      ⑩ 


⑪      ⑫ 


⑨~⑩のグラフは完全失業者の男女の婚姻状況の比率を年齢別及び性別に分けたグラフ

⑪~⑫のグラフは完全失業者の男女の婚姻状況を人数で年齢別及び性別に分けたグラフです。

 ※完全失業者=15歳以上人口-(就業者+非労働力人口)

⑤~⑧では就業者の婚姻状況でしたがそれだけでは不満なので

さらに今度は完全失業者の婚姻状況がどうなっているのかも見てみて見る事にします。


⑨~⑩を見るとわかりますが完全失業者では男女とも結婚、出産適齢期だけでなく

世代全般に未婚率が就業者と同じか、超えているのがわかります。

(※未婚完全失業者の比率が0%の65歳以上の世代は除く)

完全失業者は基本的に職探しをしていて、積極的に就業者になろうとしている人達です。


そこには職がないと生活に困るなどの逼迫した理由があるのでしょう。

失業という不安定な状況がいっそう未婚に拍車をかけていると言う見方は否定は出来ません。


失業男性の25~34歳の84.44%、35~44歳の65.38%、45~54歳の40.00%、55~64歳の14.2%と

就業男性の25~34歳の52.87%、35~44歳の22.55%、45~54歳の11.62%、55~64歳の5.42%が未婚

失業女性の25~34歳の58.06%、35~44歳の28.57%、45~54歳の18.75%、55~64歳の7.14%と
就業女性の25~34歳の57.42%、35~44歳の18.00%、45~54歳の6..54%、55~64歳の4.46%が未婚と

失業者と就業者の未婚比率を男女で比較して見ると男性の方が

失業者の未婚率が高くなる傾向があるのがはっきりとわかります。

特に結婚適齢期の25~34歳それに継ぐ世代の35~44歳男女の失業者では

男性の失業者が圧倒的に未婚率が高い事がわかります。

男性は女性に比較して職が安定していないと未婚率が高くなる傾向があるようです。

それは裏を返すと女性の職の不安定は婚姻への影響が男性よりも低いという事なのでしょう。

わかりやすく言えば同じ失業者でも女性は職が不安定であれば婚姻して

職の安定している男性の扶養家族となる人生の選択も、男性よりし易いという事ではないでしょうか。

(逆のケースが男性に無いとはいいません。女性はそういう選択をよりしやすいという結果論です。

どちらにしても就業する事で女性を扶養するためにも

男性にとって婚姻するためには職の安定は大切な要素のようです。


⑬  ⑭ 
 
⑮  ⑯ 


⑬~⑭のグラフは非労働力人口の男女の婚姻状況の比率を年齢別及び性別に分けたグラフ

⑮~⑯のグラフは非労働力人口の男女の婚姻状況を人数で年齢別及び性別に分けたグラフです。

 ※非労働力人口=15歳以上人口-(就業者+完全失業者)

最後に残された非労働力人口が男女の婚姻状況に対してどのような影響を与えているのでしょうか?

これまでの就業者や完全失業者の婚姻状況だけでなく

やはりここにメスを入れないと全体は把握しにくい所です。

⑬~⑭を見てください。これまでの就業者や完全失業者にはない男女で全く違う婚姻状況が

非労働力人口にははっきりと現れています。

(※15~24歳は在学者世代、55歳以上は引退世代なので除きます。)


非労働力人口の男性の未婚率は25~34歳で92.31%、35~44歳で79.17%、45~54歳で67.86%ですが

非労働力人口の女性の未婚率は25~34歳で12.32%、35~44歳で06.09%、45~54歳で05.33%と

25~54歳の非労働力人口の女性は基本的に婚姻者であり、

男性は未婚者であるという結果が恐ろしいほどはっきりとわかります。

特に若年層の結婚適齢期世代である25~34歳は非労働力人口になると9割は未婚です。

人口数にして39万人の大半である36万人が未婚になっている事がわかります。

非労働力人口の婚姻状況を見ることにより男性の婚姻に職の安定性が大きく関わっている事は

女性との違いを見ればもはや間違いないであろう事がわかります。

ちなみに55歳以上の男性で急激に婚姻者が増加するのは⑮を見る限り

非労働力人口にかつては就業者でもあり婚姻者でもあった引退者が加わっているため

比率が大きく変るためであろうと思われます。

未婚者の人口数の絶対数は19万人と他の世代とあまり変りません。


どうやら若年層の未婚の問題は性別でその事情が異なり

男性は職の安定性が得られない社会の存在が婚姻の前に立ちはだかり

女性が働きつづけながら婚姻しようとする場合、子育てや育児が働く事を阻みかねないリスクがあり

働く事をあきらめて職を失い家事・育児に専念する覚悟でないと婚姻できない

なんとも硬直した社会の存在が漠然と見えてきます。


⑰ 


⑰は本ブログの主題でもある非正規雇用を含む雇用形態で分けた未婚率です。

注意して頂きたいのはこれは全て既卒者の統計数値だと言うことです。

全ての年代で在学者は含まれていません。


⑰を男性と女性別に見ると男性ではやはり正規の未婚率は28.81%と低く

アルバイトは56.60%、派遣は54.17%と非正規では未婚率が5割超と

高くなっているのがわかります。

職の安定性と男性の婚姻にはなんらかの因果関係がある事はここでも如実に現れています。


女性は正規であっても43.41%とアルバイトの46.96%や派遣の48.68%との

未婚率が高い非正規と比較してもそれほど変らず

雇用形態はそれほどまでに婚姻に影響しておらず

パートの未婚率が9.38%と考えると女性は非正規だからと言って

未婚率が高いといえない傾向があり

女性の場合、婚姻と職の不安定さとは因果関係が薄い事がわかります。

むしろ、安定しているはずの正規の女性の未婚率が比較的高いのも

正規雇用など社会的地位や責任を得て積極的に社会参加する事で

女性から婚姻と言う道を奪う硬直した社会の存在が見えてきます。


ともかく⑰のグラフは大まか過ぎてせめて年齢層別に分かれているデータが欲しいところです。

それは今後の調査で機会がありましたら、さらに雇用形態と年齢層別の婚姻状況を取り上げ

若年層の未婚の問題と非正規雇用などの雇用環境の悪化関係を探って記事にしていきたいと

考えています。



出典

 総務省統計局 の 労働力調査、平成18年平均(詳細結果)

  報告書非掲載表-第1表-就業状態,配偶関係・世帯の種類・教育別15歳以上人口