増加する非正規雇用のしわ寄せはどこへ?実感からかけ離れていく形骸化した完全失業率 | インターネット非正規雇用労働者組合

増加する非正規雇用のしわ寄せはどこへ?実感からかけ離れていく形骸化した完全失業率






上記の円グラフは、日本の15歳以上人口の就業状態を総務省労働局の労働力調査から抽出して作成したものです。

(日本の15歳以上人口は平成18年7-9月期の労働力調査では約1億1千万人となっています。)

非正規雇用ばかりに焦点を当てているばかりでは視野が狭くなりがちでミクロ的で全体的で

マクロ的な視野が失われ、なにかと近視眼になりがちなので少し趣向を変えて作成しました。


15歳人口の就業状態の特徴は女性の非労働力人口が男性の1405万人と比較して2905万人と倍を超えている事です。

実はグラフには出ていませんが、ここから非労働力人口中の就業内定者の男性53万人、女性43万人を差し引くと

残り非労働力人口は男性の1405万人-53万人=1352万人、女性は2905万人-43万人=2862万人

そしてさらに非労働力人口の中にも就職活動を理由があってしていない就業希望者がいます。


(実は現在政府が公表している完全失業率にはこの非労働力人口の就業希望者は除外されています。いわば隠れ失業者です。この数値を失業者に加えたり、不安定な非正規雇用者を雇用から除外した失業率を最後で算出します。)


その非労働力人口の中に占める就業希望者も男性は130万人、女性は348万人となっており

差し引くと真の非労働力人口は男性の場合1352万人-130万人=1222万人、女性は2862万人-43万人=2819万人 

となりますが真の非労働力人口においても女性は男性に比べて倍を超える非労働力人口となっています。

男女平等が叫ばれる今日ですが肝心の女性が社会に思ったより進出していないのが掛け声倒れのような気がします。

なぜ女性が進出していないのかいろいろな推測は出来ますがこの統計ではハッキリした理由は不明で数値からも

読み取れないのでこれ以上はわかりません。ただ言える事は男性が1222万人/5300万人

女性が2819万人/5667万人と男性は23%と4分の1しか非労働力人口がいないのに対して

女性の50%が非労働力人口であるという点です。

15歳以上の人口は女性のほうが総数では367万人ほど

男性より多いのですが、女性は労働力人口として絶対数はもともと少ないのです。

ですから上記のグラフでも絶対数では働く女性の数が男性と比較すると非常に少なく見劣りしますので

女性が抑圧されているな感覚に陥ってしまいます。女性が社会進出しにくい男性社会だからこうなっているのか?

女性が男性に頼っている社会だからなのか?この統計データだけでは不明です。

しかし昨今の急激な出生率の低下により、これから訪れる超少子化で労働力人口が減少していく中、

女性を労働力としてうまく活用出来るかどうかが、今後の社会的な課題になるのは間違いないようです。





次にさらに統計データを男女別だけでなく世代別に分けて整理してみました。(上記グラフ参照)

男性と女性では15-24歳の若年世代では比率構成にそれほど違いは無いのですが

25歳-65歳以上の世代では男性と女性の正規の比率は倍あり、非正規の比率も女性が男性の倍を超えています。

足元で増加する非正規雇用者の主役は15-24歳の若年層の男女と25-64歳の女性のようです。

ついで氷河期世代と言われる25-34歳、55-64歳の男性にも非正規雇用が多くなっています。

逆に男性の35-54歳のバブル崩壊前の世代では非正規雇用の比率が5~7%程度と少ないのが目立ちます。

非正規雇用者はバブル崩壊後の若年層や氷河期世代の男性や女性がその多くを占めている傾向が伺えます。





上記グラフは男女別のグラフを男女でまとめたものです。

男女を合わせてみると統計データは全く別の内容に変わってしまうのに驚きます。

もっとも特徴的だった35-44歳の世代の男女の正規、非正規の極端な差異が平均化されてしまい

他の世代と構成が変らなくなっています。現在の社会では男性女性を同じにして

考えるとその実態が見えにくくなるということだと思います。

25-34歳のバブル崩壊後の氷河期世代は完全失業者と非労働力人口が

35歳以上のバブル世代に比べて若干多いようです。

ロストジェネレーション(失われた世代)といわれる由縁でしょうか?


最後に面白い事になりそうといった各種失業率を男女別に独自に算出してみましょう。これには驚きです。


まずは政府公表の完全失業率からです。

  完全失業率(男性)=3.95%/完全失業率(女性)=4.21%/完全失業率(男女)=4.10%


次に非労働力人口の就業希望者を失業者に就業内定者を就業者に加えた場合
  潜在失業率(男性)=7.21%/潜在失業率(女性)=14.46%/潜在失業率(男女)=10.37%

と失業率は跳ね上がり


さらに潜在失業率から不安定な立場の非正規雇用者を準失業者として

雇用者から除外して失業者に加えると、驚くべき数値が出現します。


  非正規雇用除外潜在失業率(男性)=21.38%

  非正規雇用除外潜在失業率(女性)=51.65%

  非正規雇用除外潜在失業率(男女)=34.02%


この数値については非正規雇用者を全て失業者に加えるなど極端なので

いろいろご意見があろうかと思いますので細かい解説は差し控えさせていただきますが

政府が回復したと自慢げに公表してる完全失業率が皆様の実感に近くないと感じるのは

別の角度から数値を組み合わせ再計算するとこのような驚くべき数値が出現する事が

原因のひとつではないのでしょうか?

政府は表面的な完全失業率の改善だけでなく、潜在的な失業者や非正規雇用者を

全部またはある程度は失業者に加えてマクロ経済政策を運営するべきだと思います。


出展

 総務省統計局 →労働力調査→調査結果→

  労働力調査詳細結果(平成18年7~9月期平均)の概要(速報)→最新の結果表へ

    →就業状態,年齢階級別15歳以上人口(excelファイル) より