「ヨコのカギ」。次は、「4.都会はいつも通りの トワイライト」。しっとりとした、バラードの女王高橋真梨子に相応しい楽曲です。

 「ブルースを聞かせて」。真梨子さんの隠れた名曲のひとつだと思います。作詞作曲は、都志見隆。1986年発売の真梨子さん、11枚目のオリジナルアリバム「FOREST」収録です。

 ♪嫌いになった訳じゃない・・・♪ただ、遠くからあなたのこと視ていたいだけ・・・と云った歌詞が切ない女心を表現して余りあると思います。きっと彼女は彼のことを心底愛しているのでしょう。

 しかし、付き合いが長くなれば悩みが深まります。このあたりが、男と女の違いかも知れません。彼は心の中で想っていれば彼女は付いて来ると信じて疑いません。しかし、女心は葛藤し揺れるのです。証が欲しいのです。少し、彼と距離を置いて頭を冷やしたい。

 そんな可愛いくも健気な女を真梨子さんがボリューム感満載の声と表現力で我々の胸襟に直球を投げ込んで来るのです。空振りするわけに行きません。しっかりと受け止めて弾き返すしかありません。真梨子さんの投げ込んだ球を感動と云うバットで打ち返すのです。

 先を急ぎましょう。「5.無口だったね彼 純粋だった彼」。真梨子さんが歌う切なさが胸に迫る一曲です。

 「ライムライト~分岐点~」。1999年の作品です。真梨子さんの詞に、ヘンリーバンドで、コンサートマスターを務める宮原恵太氏が曲を付けています。

 宮原さんは、この作品と云い、「無伴奏」や「コバルトの海」等々、良い曲を書いてくれます。長年、真梨子さんをバックで支える才能豊かな音楽家だと思います。

 「ライムライト」と云うのは、喜劇王チャップリンの傑作とされています。この「ライムライト~分岐点~」という作品は、当にチャップリンの映画に触発されて出来上がったに相違ないと思います。

 チャップリンの傑作映画を知らなくても、真梨子さんの胸を抉る様な切々とした歌唱が心に響きます。宮原さんのマイナーなメロデイーも真梨子さんの歌唱力を際立たせています。これでもかこれでもかと真梨子さんの悲哀を帯びた歌声は、小生の胸に突き刺さってくるのです。

 「6.歩き疲れて 休みたくなるココロに色は何色」。「色のたより」です。この会報が発行された2004年当時の最新アルバム「cinema」からの一曲です。

 真梨子さんの詞に、崎谷健次郎が曲を付けています。なかなかに、センチメンタルな作品だと思います。崎谷さんは、知る人ぞ知ると云った人気作曲家です。真梨子さんには、他に「迷い鳩のように」や「真昼の別れ」等10曲を提供しています。その分かり易い楽曲の良さには定評があるとか。

 さて、「色のたより」とは、どんな「たより」なのでしょう。「たより」とは、「便り」であり、「情報」あるいは、「手紙」等と言い換えたら分かり易いかも知れません。暫く距離を置いていた彼女に、あらためて、彼が愛を伝えると云った構図でしょうか。