2012年 練習開始
初サバニは風が強く、時より横殴りの雨も降る生憎の天候
恐らく当日参加したクルーの誰もが中止を予想しただろうが、敢えて出す事にした。

出す。出さない。を判断する時、
「海況は芳しくなくとも」、「折角だから」、などという理由で海に出る事は、私に限っては絶対にしない。
普段なら即中止する海況だが出す判断をしたのは、安全が確保された上にハードな練習ができる数少ない条件からだ。
当日は、南の風8~10m 波1.5m 波浪注意報発令中
(以前、遭難や不審船と間違われて何度か関係機関に通報された。
こんな日に海に出している舟を見て、遭難していると勘違いして保安庁に連絡しなければいいが、、、 )
私たちのフィールドである名護湾は南の風だと向い風(オンショア)となる。
ビーチ近辺は、やかましい波も立ち、舟を出すのは一苦労するが、出してしまえば何とかなる。
この波と風(時化)の中でしか経験できない多くを学ぶ事ができる。
波頭崩れる10メートルの風の中、タックやジャイブを繰り返し、その度に横そして後ろから覆いかぶさる波は、
実践のレースや航海では経験したくはないが、練習では避けて通ってはいけない重要な練習だと思う。
こうした環境での経験を重ねる事のメリットは、
・時化に対する舟の持っている能力の限界を知る事ができる。
・経験&スキルアップ。
・帆、マスト等、各部の限界とその性能を図れる。
そして何より、大なり小なり必ずといっていいほどトラブルに見舞われる。
トラブルこそ多くの事を教え鍛えてくれる。
目には見えない精神力さえも。
2年程前から男海想は単船、交代無しでの参加なので、クルーがどうしても溢れる。
ならば、と名護を中心にした新たなチームを立ち上げる事にした。
そんな訳で昨年の女海想に続き、新たなチームの舵取りの練習が始まった。
今までも、こうした時化での練習は恒例のごとく行っている。
練習の成果は、昨年の奄美までの航海に繋がった。
昨年の濃厚な練習が無かったら、当然ながら二隻による奄美への航海も成し得なかっただろう。
レースの経験もない初となる外洋航海は、当人にとっては、さぞプレッシャーも大きかったと想像されるが、
それでも行けると決断できたのは、こうしたハードな練習を経ていればこそなのだ。
当然ながら航海中は練習で経験した波には一度として逢ってはいない。
余談になるが、糸満で行われた帆かけサバニレースはレース途中で中止になった。
後に参加できなかった私に大会関係者から、お褒めの言葉を頂いた。
強風によって沈やドロップアウトし、レスキューされる多くのチームを横目に、
「女海想はすごいよ。 あの風の中 ちゃんと縮帆して苦も無く進んでいくんだから、、」と、
そして今はいない初代女海想の舵取り・トンちゃんに「風強かったんだって、、」と聞いたら、
「んー、そうでもなかったよ」
名護は、こうした練習に最も適した場所なのではなかろうか?
(荒天での練習こそ必要と思ってはいるが、開催にあたって充分な安全を担保した上で行う事は当然の事だ。
向い風なら、練習海域のどこで沈もしくはトラブルになっても舟が破損する恐れのないビーチに辿り着ける海域内を
事前に確認することだ。
逆に、最も注意を必要な環境は「出し風」と言われる陸から沖に吹く風が怖い。
ビーチ周辺は山や木に遮られて風、波、共に穏やかな海面を見せる。
ところが一歩外に出ると状況は一変する。 陸から離れるにしたがって風が上がり、
それに比例して波も高くなり更に潮も「沖出し」となる。加速度的に沖へ流される事になる。
厄介なのは陸からその状況は見えない。
海面は穏やかにして、いい風が吹くことで知らず知らずのうちについ気を許して沖へ出てしまう。
たとえ沈しなくとも沖出しによって、気づいた時には帰って来れなくなる恐れがある。
こうした風向の時、私は神経質なほど注意を喚起する。)