親族が受託者となって、信託契約を締結する家族信託。

認知症対策などで不動産を信託することも多くなってきました。

 

今回のご相談者は、相続人でない方に遺留分と相続税をかからないように財産を上手に移すと言うもの。

 

不動産をそのまま一部譲渡したのでは、登録免許税・不動産取得税・司法書士の手数料がかかるので、ナンセンス。

 

所有者が、高齢で管理もできなくなっていると言う事もあり、受託者を親族の一人にして家族信託を実行。

 

で、暦年贈与として受益権を口数に分けて各親族へ贈与すると言う方法を取りました。

最終的な出口は、相続発生後に不動産受益権のまま第三者に売却すると言う形で絵を描きました。

 

一度、贈与してしまえば、受益者が「本人、受益者A、受益者B・・・」と登記されて、最終的に本人の受益権が喪失するときに、再度登記すれば良いと考えていたのですが・・・。

 

法務局から、取下げの要請。各受益者の持分登記をしろとのありがたい助言をいただきました。

 

どの書籍にもブログにも載っていなかったので、こういった登記官からの実務のアドバイスは本当に勉強になります。

 

登記の目的 受益者の変更

原因     年月日受益権一部贈与

受益者 持分〇分の〇 A

      持分〇分の〇 B

      持分〇分の〇 C

      ・・・・

 

登記の目的 受益者の変更

原因     年月日Aの受益権一部贈与

受益者 持分〇分の〇 A

      持分〇分の〇 B

      持分〇分の〇 C

      ・・・・

 

最終的にこのような登記となりました。

 

急ぎで信託契約を締結したと言う事もあって、あまり契約書の精査もできず、後になって分かったこともありました。

 

受益者指定権者 を設定すれば、例え受益者が認知症等になった後でも受益権の譲渡がそのままできると言う。。。

 

信託法89条1項

「受益者を指定し、又はこれを変更する権利(以下この条において「受益者指定権等」という。)を有する者の定めのある信託においては、受益者指定権等は、受託者に対する意思表示によって行使する。」

委託者・受託者・受益者だけでなく、受益者代理人・信託監督人・指図権者・残余財産受益者・帰属権利者・・

 

信託は登場人物が多いです。