鳥越俊太郎さんが東京都知事選に出馬表明しまた。かれは毎日新聞の先輩です。だから投票するかというとそうでもありません。昨日(7月11日)出馬を決意したそうだから公約もこれから。インサイダー(政治家、役人)よりアウトサイダー(記者、キャスターなど)を標榜していた鳥越さんが都知事選に出て何を打ち出すか、しっかりと注視したいと思います。

 5期先輩だから、鳥越さんが退社するまで約18年間、同じ社内にいたわけですが、思い出はあまりありません。若いころ社の内線で警視庁記者クラブの毎日ボックスに電話しようとしてダイヤルを回し間違え、どの部署だったか鳥越さんのデスクにつながってしましました。「捜査2課を担当してるらしいが何て体たらくだ。電話は注意してかけろ」とこっぴどく怒られた記憶があります。怖い先輩のイメージでしたが、後年どういう流れか、八王子市でばったり会って、鳥越さんと話したことがあります。「弟が八王子のパン屋の職人なんだ。立派なパン職人になってくれるかな」。屈託のない笑顔を見て「いい男なんだな」と思った記憶があります。

 あちこちの癌で4度も手術した、と聞いています。それでも「体力はつけなくっちゃ」とトレーニングに励み、たしかホノルルマラソンも走ったのではないでしょうか。76歳の高齢。それも癌で切りまくってよれよれ(のはず)、そして一生インサイダーでいるはずの男がなぜ都知事選にでたのでしょうか。テレビで見ると「安倍政治は許さない」と書いた紙を掲げていました。そんなことだけではないはずです、何がこの男の情念を揺さぶったのか。

 通り一遍のタレント候補でないと思いますが、気の抜けた「サイダー」にだけはなってほしくありません。