アエノコト 上巳の饗応
民俗情報工学・井戸理恵子さん主催、恒例のアエノコトのレポートです。
「上巳の節供」
旧暦上巳は今年は4月2日ということで、少し前の3月25日に開催されました。
アートディレクター川里哲也氏による上巳の室礼も、
すっかり春爛漫です!
石には桜が施されていました。
室礼の中央に佇む小さな置物は、そうです、かわいらしいお雛様。
上巳の節供にまつわるレクチャーが始まりました。
上巳の巳は蛇。この時期は蛇が脱皮をするように古い衣を脱ぎ捨て、
新しいハレのエネルギーを心身に採り入れ、
一年を健やかに過ごす素地をつくるとよいとされているそうです。
レクチャーの後は前回に引き続き、『漆の民俗 Ver.2』
(株)祖父江ジャパンさまから、漆の見分け方、日本人ならではの漆の扱い方など、
漆に関する知識を深めるレクチャー。
すべて実物を手に取って体験できるので、腑に落ちます。
日頃から本物に触れる大切さを実感。
ゆきすきのくに(http://www.yukisukinokuni.jp/ )より、マイ家紋、マイ漆のプロジェクトのご案内。
お客様でいらしていたお客様より、フライキプロジェクトのご紹介。
東北のラグビーチームに福来旗を送りエールを送ろう!
そして、2019年のラグビーワールドカップin釜石(予定)で、スタンドをフライキで埋め尽くし、
復興の姿を世界に見せよう!というプロジェクト。詳細はこちら→http://www.furaiki.jp/
雅楽演奏は、ひな祭りに演奏される曲を奏でてくださいました。
演奏曲 「黄鐘調調子」(おうしきちょうのちょうし)、「桃李花」(とうりか)
演奏者 篳篥:小林勝幸氏 笙:田島和枝氏
雅楽の楽器にも漆が使われているんですね!
さあ!お愉しみのお食事タイムです!
春に取り入れるべき食材がずらり、春色の滋養溢れるお料理が並びました。
●ひよこまめのサラダ
毎回注目の井戸さんのこの日のお着物。
光沢の深緑の地に雪輪と桜を絞りで流してあるお着物に、銀の帯。
外堀の桜はまだでしたが、お召もので一足早い夜桜です。
華やかな夜となりました。
ご参加ありがとうございました!
次回は5月28日(水)端午の節供の予定です。
アエノコト 人日の饗応
民俗情報工学・井戸理恵子さん主催、恒例のアエノコト、
今年は人日(2月6日)よりも少し早めの1月31日に開催されました。
お正月にふさわしい室礼は今回も画家・川里哲也氏による見立てで、
ご堪能いただけたでしょうか。
そしてこちらが、年神様が宿る床(絨毯)。異国情緒が漂います。
人日のイベントでありながらこの日は旧暦正月。、
睦月に込められた意味からも、まさに、
親しい人同士、血族、縁のある人々が集まり、親睦を深め、今年を語り合うのによい日。
ということで、今回のレクチャーでは、ということで、
日本人が古く親しんで来た漆(=ジャパン!!)にフォーカス。
歴史ある漆商社・祖父江ジャパンをゲストにお招きし、
日本人と漆の歴史、漆というものがなぜ日本にこれほどまでに扱われてきたのか、
そもそも漆とは?など、漆の基本をレクチャーしていただきました。
日本人として、だれもが漆=ジャパンを語れるようなるために、
漆のお話は今後もシリーズで皆で学ぶ機会を作ってくださるそうです。
雅楽は新春にふさわしい楽曲。
◎ 雙調調子(そうじょうのちょうし)
◎ 胡飲酒(こんじゅ)
◎ 酒胡子(しゅこし)
胡飲酒と酒胡子は元旦には必ず奏していたという曲で、
ペルシャの酒席の異国情緒あふれる舞曲だそうです。
篳篥(しちりき): 小林勝幸氏
笙(しょう): 田島和枝氏
さあ!お待ちかねのお料理!
お正月の1日の禁忌は鶏を食べてはいけない日であり、
人日そのものの慣習では七草粥、七種の雑穀粥を食べる日、とうことで、新旧色々とりまぜ、
七草青菜の粥の他、熊本の小さなお豆腐屋さん「たしろ屋」のお豆腐をふんだんに使った、
●薬味三昧・豆腐ソース
●いつもの糠漬け
それと、申し訳ありません。豆腐白玉善哉を撮り忘れてしまいました。
井戸さんのこの日のお着物は富士山に桜が型染された珍しい紅型。
次回アエノコトは3/25(金) 上巳の饗応の予定です。
皆さまのお越しをお待ちしております。
アエノコト 重陽の饗応
10/9(水)の夜は、民俗工学研究家・井戸理恵子さん主催イベント、
アエノコト「重陽の饗応」が開催されました。
重陽節は他の四つの節供とよりも馴染みが薄くなってしまいましたが、
かつて宮中では菊の節供、また、庶民の間では栗の節供として親しまれて参りました。
(今年の旧暦の重陽節は10月13日)
菊のお祭りということで、茶室はエキゾチックな菊の室礼が施されていました。
今夜はここで中国茶のお茶会も開催されました。
室礼は画家・川里哲也氏による見立てで
テーマは「菊の座」。
菊を愛でながら、菊慈童の世界を思い起こさせてくれます。
さて、いつもの節供のレクチャーの後は、「生態系と文化を守り続ける日本のしくみ」
というテーマのもと、神社本庁嶋津 宣史さんとともに、
つい先日執り行われたばかりの伊勢遷宮のお話。
伊勢神宮の式年遷宮は20年に一度、新しい神殿をこしらえ、そこへ神様が遷られる。
1,300年間も続くこの儀式のその根底にに流れているのは「常若(とこわか)」の思想。
古いものから新しいものへと、20年ごとに移動し続けることで、
常にフレッシュさを保ち続けることが出来日本人が古代から持つ智恵です。
世界規模でみても、生きている神殿は日本にしかないそうです。
この20年というサイクルが、自然界とのつながり、生態系の維持、文化の継承に
とてもマッチしているという不思議。
日本人としてのアイデンティティを見直す時間となりました。
締めは恒例の笙: 田島和枝さん、龍笛:嶋津 宣史さんによる雅楽演奏。
曲目は、
朗詠嘉辰(かしん)
壹越調賀殿(かてん)
参加者の密かな楽しみの一つ。
重箱の一番上には菊の花が活けられていました。
●白和え
お茶室では茶禅の岩咲ナオコ先生をお招きしてのお茶会が開かれておりました。
滋養のある中国茶は菊と枸杞で目によいといわれるブレンド。
ご参加ありがとうございました。
次回は12月18日(水)冬至の予定です。