なぜか人に嫌われやすいカラスや、

 

 

住宅街のど真ん中にある我が家には、

猫の額ほどの庭がある。

大きな鳥のカラスや、

ムクドリは騒がしく鳴いていても、

まず我が家の庭へは降りてこない。

ご遠慮します、

ってことかなあ。

しばらく前、

シロセキレイがガレージのコンクリート床を歩き回り、

しきりに尾を上下させていた。

もともとは川などの水辺にいて、

羽虫などの昆虫類を食していたが、

いつの間にか適応し水辺から離れ雑食性になった。

サザンカの枝に渡り鳥のジョウビタキが

舞ってきたときがあった。

軽井沢など高原でよく見る小鳥だ。

スマホで撮りたかったけれど、

要介護4の車いすユーザー。

モソモソとスマホを取りに行っている間に姿を消した。

鳥の観察はすべてガラス戸越しに、

更にレースのカーテン越しに行っている。

石柱のような庭石が2つ、

ガラス戸から少し離れたところに置かれている。

1つの石柱は上がほぼ平らになっている。

そこへ妻が花の蜜や、果汁の好きなメジロのために、

ミカンを2つ切りにして乗せた。

僕のアドバイスで両面テープを使い動かないようにした。

見ていると、すぐにヒヨドリが現れた。

夢中で食べた。

ミカンの縁に沿って少しずつ移動し、

ついばんでいく。

満腹して飛び立つと、

メジロが現れた。

「あら、カワイイ」

僕と並んで隠れ見していた妻は、

目を細めた。

翌朝、きれいに皮だけにされたミカンを、

妻は僕に見せた。

「きれいに食べるものだな」

「メジロはヒヨドリが食べ散らかした後にきて食べているの。

 メジロのために出したのに」

妻はオカンムリだった。

数日、観察しているうちに、

僕はあることに気づいた。

体の大きいヒヨドリは食い散らかしても皮の中には入らない。

メジロはヒヨドリが食べて凹ませた皮の中に入り、

ゆっくりとついばんでいる。

そうか、共存共栄か。

そのことを妻に話したら、

妻はヒヨドリを差別しなくなった。

ヒヨドリはいつも1羽でくるが、

メジロは2羽、あるいは3羽以上でやってくる。

1羽が食べているときは、

すぐそばの植木の枝で待っている。

外敵が近づくのを見張っているのだろうか。