操作系統の重さの話 | 波動砲口形状研究

操作系統の重さの話

大分以前だが、アリゾナにある核ミサイルサイトに見学に行ったことがある。

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*外観はこんな感じだがもちろんサイトそのものは全て地下にある

軍縮に伴って廃棄されたタイタンミサイルのサイトを見学者に公開する施設にしたものだ。

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*建物の中はツアーの申し込みと待機スペース。中央にあるのはミサイルのコーン

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*展示物もある。これはミサイルのアンビリカルコネクタ。

見学者は10人ほどのグループになり、案内人に連れられて地下深くのサイトや制御室を見学して回る。

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*ケーブル類は要所要所で十分にたわませて接続されている。核攻撃を受けてサイトが振動しても断線しない冗長性を持たせるためだ。

見学のハイライトは制御室での核ミサイル発射シーケンスの再演だ。

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*制御室の出入り口を内側から。分厚い扉のロック機構が見えている。

見学者の中から一人が選ばれ、鍵を渡され、机のようなコンソールの前に座る。

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*選ばれたこの子は多分中国人か台湾人

3mほど離れた別のロッカー状のコンソールの前には別の鍵を持ってツアーの案内人が立つ。

2人は鍵をコンソール上の鍵穴に差し込む。

案内人が「3、2、1」とカウントダウンする。

2人は一斉に鍵をひねる。

核ミサイル発射の瞬間だ。

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もちろん、本当の核ミサイルは発射されない。ミサイルサイトに佇むミサイルは弾頭も燃料も積んでいないがらんどうだ。

それでも見学人たちはなにかひやりとしたものを感じ、皆重々しい顔で制御室を出てくる。


「核ミサイルのボタンを押す」というのは世界を滅亡させる代用表現としてよく見かけるが、現実の核ミサイルの発射は「ボタンを押す」ではなく「鍵をひねる」というアクションでなされる。
(ご存知でした?私はこの見学で初めて知った。)

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*制御室内のキーボックス

コンソールが充分離れていて、2人の人間が同時に操作する必要があることは私も知識としては知っていた。

これは一人の狂人が制御室を乗っ取っても(制御室の誰かひとりが正気を失っても)ミサイルの発射はできないようにするためだ。


このように「重大な結果を伴うものほど簡単に操作できないようにする」というのはインターフェース設計の基本だ。

二人いなくては操作できないというのは極端な例だが、一人で操作するものでも、操作に結果の重さに応じた抵抗をつけることで同じ目的を達成できる。

例えば小さな船や飛行機のスロットルは軽くていいが、大きな船や飛行機のスロットルは重くなくてはならない。

手があたってしまったとか、判断ミス、操作ミスによって軽く動いてしまうと周囲や事後に与える影響が大きいからだ。

劇中の演出では登場人物が操作するデバイスの重たさは観客には分からない。その場合は手続きを増やしたり、
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操作デバイスをいかにも重々しいものにすることが重たさの代わりになり、重大な結果が伴う操作をしているという印象を作ることになる。

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その結果古臭かったり大時代的に見えることもあるわけだが、劇である以上それらしさの優先が正解だろう。


ところでさっき気がついたのだが、4月から地上波で2199放送だそうで。

子供の見る時間帯にやるのは喜ばしい。ファン層が40年くらい若返ったりしないものだろうか。