タマヤマ2199 その4 ヤマト2199コミック表紙絵に隠された秘密 | 波動砲口形状研究

タマヤマ2199 その4 ヤマト2199コミック表紙絵に隠された秘密

今回は「Tamaさんがこうしたかったヤマトを探る」という話から外れ、Tamaさんこと玉盛順一朗氏が描いたヤマト2199コミックの表紙絵自体の謎に迫る。

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この絵の艦橋から副砲あたりに注目すると、なんだか不自然だと感じると思う。

これだけ引きで艦体を見るときに、

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艦橋がこれほど煽りであることも、これほど左に回った角度から見えることもありえない。

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副砲が結構高い位置に描かれているのも変なのだが、外れて飛び上がっているのかと思えるほどの煽りの角度で描かれているというのがさらに輪をかけて変だ。

Tamaさんといえばいかにも元工業デザイナーらしく、三面図を起こせそうなほど正確で破綻ないメカの描き方がその大勢を占め、デフォルメや自由に筆を流して描いたと思しきものは少数派だ。

この絵は一体何なのだろうか。

手前より奥にあるものほど

1)パースを強め
2)左側に回りながら
3)艦橋は煽って

描く、といえば宮武マジックで、その技法を試みている、というのがこの絵の一つの解釈だ。

ただ、一定の高さから煽って見ているならば、上にある構造物ほどカメラのある側が高く、反対側が低く描かれるべきなのだが、

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*赤の補助線の傾きが上のものほど大きくなる。

この絵は全然そうなっていない。
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*補助線の傾きが全部同じ

そのため、全体を捉えようとすると奇妙に歪んでいるようにさえ見える。


しかし、これはある「仕掛け」のためにあえてそうしている、と考えられる。


まず、この絵の歪みだがこれは宮武マジックと同様、複数のアングルから見たヤマトを合成していると解釈すべきものだ。

ただしその際にカメラは上下方向にも動いている。

具体的にはカメラは艦橋の左手前から第一主砲の左手前までを、やや煽りのアングルでヤマトを撮りながら駆け下りている。

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*黄色の矢印がカメラの動き

このカメラの動きとアングルは、実は我々が非常によく知っているものなのだ。


表紙絵では第二艦橋から下しか無いのでそこから始めよう。

カメラは第二艦橋をほんの少し下から煽りで捉えながら駆け下りる。

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駆け下りた勢いで我々は劇中ではお目にかからないほど強い煽りのアングルで副砲を見上げる。

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そのままカメラは第二主砲の側面をその視野に入れる。

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その間左(左舷)から右へぶんぶん振り回されている第二主砲の砲身の動きは、さすがに一枚絵では再現できない。

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しかし各砲塔の砲身の先端を目で追えばまさに左から右へと砲身が回転して行っている。

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一枚絵で動きを表現するこのような技法は洋の東西を問わず珍しいものではない。

モネの「ひなげし」では2組の親子が丘の上と下に居るが、これは上の親子が下へ降りてきている様子を表している。

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小磯良平の「斉唱」も実はモデルの女の子は一人しかいない。その子の様々な動きが一枚の絵に収まって斉唱になっている。

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棟方志功の「御群鯉図」も描かれているのは鯉の群れであるが、一匹一匹を目で追えばそれは池を泳ぎ回る鯉の動きだ。

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脱線したが上述のようにまず艦橋に注目し、砲身の動きを感じながら艦体全体へと目を移してゆけばコミックの表紙絵一枚でOPの一部を鑑賞したことになる。

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つまりこの絵には我々に馴染み深いあのOPが隠されているのである。

2199ヤマトコミックを入手された諸兄は、カバーを広げて艦橋から左下ヘと焦点を動かし、最後に全体を眺めていただきたい。自ずと


宇宙の彼方イスカンダルへ運命背負い今飛び立つ


とOPが脳内再生されるだろう。

その歌詞はまさに第一巻の内容であるわけだ。表紙としてこれほどに相応しい絵があるだろうか。