野良猫を「地域猫」と名づけ、地域住民が協力して世話をする取り組みが曲がり角を迎えている。悪臭や鳴き声、荒らされる家庭ゴミなど、後を絶たないトラブルを減らす目的で、行政が費用の一部を補助する例もあるが、資金が足りずに活動を中止する地区も出ている。(笹井継夫)

 住民が餌場やトイレの設置場所を決めて野良猫を世話したり、不妊去勢手術を施したりする地域猫活動は、11年前に横浜市磯子区で始まったとされる。環境省によると、少なくとも全国約150市町村に広まっている。

 神戸市灘区にある城の下通3丁目地区。3匹の猫が住宅の庭先に設けられた餌場に寄ってきた。同地区には同じような餌場やトイレが計9カ所ある。神戸市が05年度に設けた「地域猫モデル地区」の指定を受け、住民約10人が活動を中止する地区するルールを定めた。

 不妊去勢手術はオスで約5千~1万円、メスで約8千~1万8千円。これまでに約50匹の手術を終えた。市の援助は、このうち25匹分の1割にあたる約3万5千円と活動当初に支給された4万円のみ。足りない分はバザーの収益金や寄付で補った。自治会長の加藤三彦さん(64)は「行政の本格的な援助がないと活動は困難」と訴える。

 市のモデル地区は昨年度までの時限事業。同地区を含めて6地区が指定されたが、うち2地区は事業期間中に活動を休止した。

 NPO法人「動物を守る奈良県民の会」(奈良県平群町)は昨年、約500匹の不妊去勢手術を手がけ、費用は自治体の助成金や会員の負担で賄った。昨年度は7市町が手術費を助成していたが、今年度、財政難の奈良市で打ち切りに。同会の渡瀬良子理事長は「地域猫活動の結果、保健所で処分される猫が半減した自治体もある。長い目で活動を見守ってほしい」。

 兵庫県尼崎市は昨年7月、「野良猫不妊手術助成金交付要綱」を定めた。市の講習会を受講した住民は、猫1匹あたり1万円の手術費の助成を受けられるが、上限は100匹。昨年度、約600匹を手術した同市の市民団体「ホームレス猫不妊運動ネットワーク」は、市の要綱を利用して96匹分の助成を受けたが、それ以外は約230人いる会員の自己負担で賄った。

 環境省動物愛護管理室は「資金の問題だけでなく、地域の合意形成を得られないと、活動の継続は難しい」としている。

援助も必要ですし合意形成も必要です。

不妊去勢手術が無理でも、餌場やトイレの清掃などは続けていただきたいです。

うまくコミュニティを作って活動しやすいようにもっていければだいぶ違うのでは?と思っていますが、これが一番大変なのかもしれません。

福岡もいい形でできれば、と思います。