日本舞踊の家元に恋した「ガス人間」の悲劇を描いた作品で、監督は本多猪四郎、主演は土屋嘉男と八千草薫、共演は三橋達也、左卜全等です。

（1960年度：東宝）

「変形人間」シリーズ第四弾で、シリーズ屈指のストーリーが展開される秀作です。美しい家元に惚れて、彼女のために犯罪を重ねるガス人間。後半からは二人の悲恋物語が描かれ、そして悲しくも壮絶なクライマックスで、二人の愛は永遠なるものへと昇華しました。僕はそう解釈したいです。そうじゃないと哀しすぎる…。本作にはこのタイトルからは想像できない、そして並みの恋愛映画では到底及ばない叙情性が存在します。それと特撮に関しても、人間がガス化していく様を見事に表現しています。しかしながら、特撮が売りのＳＦ映画のはずなのに、恋愛映画としてのインパクトの方が勝っているという稀有な作品です。

（日本映画専門チャンネルで鑑賞）

ガス人間第１号