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公的年金GPIFが自主運用を拡大へ
ニュースソクラ 1月19日(火)16時10分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160119-00010001-socra-bus_all

市場荒れ模様なら、改革法案審議は曲折も
 約135兆円を運用する世界最大の年金基金、年金積立金管理独立行政法人(GPIF)。厚生労働省が昨年来、GPIF改革に向け議論を本格化させている。

 先週、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会を開催し、GPIFなど関係者からヒアリングを開始。GPIFが運用体制の現状を報告し、厚労省に海外年金では既に一般的な株式の基金内での運用、いわゆるインハウス運用の解禁など運用規制の見直しを求めた。

 厚労省は通常国会にGPIF改革の関連法案を提出する方針で、改革の内容を年金部会で議論しているのだ。改革はガバナンス見直しと運用見直しからなる。これまでの部会ではガバナンス改革について議論し、今回から運用改革のあり方を議論するため、GPIFを部会に呼んでヒアリングした。ヒアリング結果を改革案の参考にするのが狙いだ。

 まず、厚労省年金局が株式のインハウス運用の解禁など運用改革の論点を提示。インハウス運用とは、信託銀行や投資顧問会社へ運用を委託せず、GPIFの運用チームが自ら運用するもの。海外年金は人員も数百人規模で、外部委託よりインハウス中心で運用して収益を追求しているが、GPIFの場合、外部委託中心でインハウス運用は国内債券で資産全体の3割にも満たないのが現状だ。

 現在は公的資金による企業支配との疑念を生じさせないなどの考えの下、法律でGPIFによる株式のインハウス運用や一部のデリバティブ取引を制限している。厚労省はインハウス運用中心で運用収益を上げる海外年金の現状や国内企業年金の例を挙げつつ、GPIFに株式のインハウス運用を認めるべきか問題提起をした。

 GPIFからは昨年英投資会社から運用担当理事兼CIOに就任した水野弘道氏が現在の運用体制や今後の運用計画についてプレゼンテーションした。水野氏が年金部会といった公式の場でプレゼンしたのは就任以来、初めてのことだ。

 水野氏は国内債券についてはインハウス運用をすでに実施し、外部の委託運用と同等かそれ以上の運用実績を残している点を強調。「株式についても容易にインハウス運用できる体制にある」と述べた。

 既に有期雇用の運用専門職員4人、金融機関等出身者35人、証券アナリスト36人、MBA14人、日米弁護士1人、不動産鑑定士1人(重複あり)のプロフェッショナルがいるのだ。

 水野氏は「管理運用業務に関与する職員に占めるこれらの職員の割合は約9割と専門性が着実に向上しており、GPIFが運用の素人集団との批判は当てはまらない」という。

 水野氏は厚労省からの出向者についても言及。「出向者5人のうち、2人はアクチュアリー、3人は証券アナリストの資格を持っており、専門性がある人材」とした。

 水野氏はまた、GPIFは1月1日現在で、役員5人(うち非常勤1人)、職員86人(うち非常勤1人)の陣容だが、水野氏はこれを135~150人規模に増やす意向を明らかにした。

 株式のインハウス運用が解禁されれば、国内株式の市場インデックスに連動するインハウス運用チームを立ち上げ、運用実績を見ながら段階的に拡大する計画だ。

 個別銘柄を選んで投資するインハウス運用については、専門人材の確保を進めながら、そのときの経営判断で実施するかどうか決めるという。

 部会メンバーやヒアリングを受けた大学教授からもインハウス運用解禁の是非について、厚労省からの事前の根回しもあり、特段の異論は出なかった。だが、経団連の代表からは「見直しに反対であるわけではないが、慎重にすべき」と注文がついた。

 インハウス運用の実施に伴い、議決権行使で上場企業の経営に意図せずして介入する可能性を懸念しているのだ。

 このほか、GPIFは不動産やプライベートエクイティなどオルタナティブ投資における直接投資の解禁も求めた。GPIFは運用ポートフォリオ上、資産全体の5%(7兆円)までオルタナティブ投資が可能。しかし、一般的に年間の運用管理報酬2%、成功報酬20%のオルタナティブ投資の高額報酬が大きな壁となる。

 海外年金では近年、直接投資する機関投資家が共同で、投資案件を調査したり、価格交渉したりすることで、報酬を引き下げる例が多い。しかし、GPIFの場合、直接投資が法令上明文化されていないこともあり、資金規模が大きく世界から注目されている強みを生かすことができないという。

 水野氏は「海外年金のCIOからもGPIFの直接投資に対する期待が最も大きい」と直接投資の解禁で共同投資ができるよう求めた。

 ただ、中国株式市場の混乱や原油安などを受け、世界経済の先行き不透明感から、年初から株価の急落に見舞われ、野党議員が衆院予算委員会などでGPIFの運用について批判を強めつつある。運用低迷が長期化すれば、法案審議に影響も出てきそうだ。