引き続きまして、夜の部のレポートです。


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新春浅草歌舞伎

平成23年1月2日(日)~26日(水)


1月2日(日) 夜の部 15時開演


お年玉〈年始ご挨拶〉

市川亀治郎


一、壺坂霊験記

座頭沢市  片岡 愛之助
女房お里  中村 七之助


二、猿之助四十八撰の内 黒手組曲輪達引

   忍岡道行より
   三浦屋裏手水入りまで
    浄瑠璃「忍岡恋曲者」
   市川亀治郎三役早替りにて相勤め申し候


番頭権九郎/牛若伝次/花川戸助六  市川 亀治郎
三浦屋揚巻  中村 七之助
同 新造白玉  市川 春 猿
白酒売新兵衛  市川 寿 猿
三浦屋女房お仲  市川 笑三郎
鳥居新左衛門  中村 亀 鶴
紀伊国屋文左衛門  片岡 愛之助
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歌舞伎見人(かぶきみるひと)


お年玉〈年始ご挨拶〉

市川亀治郎


亀治郎さんの年始ご挨拶は、昼の部の亀鶴さんのようにマイクをもって普通のトークをされるということもなく、

緋毛氈の上に座られたまま、マイクを使わず、始終口上らしい口調でのお話でしたが、

話されている内容はけっこう愉快なもので、イヤフォンガイドやプログラムの宣伝も巧みに織り込まれて

おりました。(詳しいことはここではすべて申しませんが、プログラムをご覧いただければ、よーくわかるように

なっております、など。)


また、黒手組の助六での水入りについてのお話がけっこう長かったのですが、

冬なので、死ぬほど寒いのだそうです。稽古のときにも実際に水に浸かってみたら、そのときは寒々とした

客席だったので、なおのこと寒かった。今日は大勢のお客さんがいらっしゃるので、ぜひともお客様の熱気で

温めていただきたい、とのことでした。




一、壺坂霊験記

これまで拝見したお里は、どの方が演じられた場合でも、非常に優しく健気な女房でしたが、

七之助さんのお里は、それに加えて、とても明るく、太陽のような快活さを持ち合わせたお里でした。

弱気でクヨクヨ悩む夫を、明るく励ますパワーを持った女性で、ただ優しく従順で貞節というわけではない、

個性ある女性のように見ていて感じましたまた見たいなあ、と思わせてくれる魅力がありました。


愛之助さんの沢市は、上方流なのか、おかしみのあるキャラクターで、後半、とても愛らしかったですね。

あれ、こんなひょうきんな役だったかな、と。



二、猿之助四十八撰の内 黒手組曲輪達引

「助六」のパロディ満載のこの演目、笑いどころがあちこちに隠されていて、見終わった後とても

気持ちよく家路につけるお芝居でした。


忍岡道行の場では、春猿さん演じる白玉のつれない様子が、笑いを誘っていましたし、

この場面でのお楽しみといえば、白玉に逃げられ、金も奪われた番頭権九郎が、「どうしたものか」と

思案して、「そうじゃ!」と、時流に乗った入れごとを披露してくれるところかと思いますが、

初日のこの日は、「わしがこの間、龍馬伝で斬った福山雅治が全国ツアーに出るらしいから、

わしにそっくりの従兄に頼んで、バックコーラスにいれてもらおう」と言うと、権九郎は舞台の上の

小道具をあれこれ持ってきて組み立てて、スタンドマイクにギターを首からぶらさげた姿となり、

照明がぐるぐるまわり、福山雅治の曲が流れてきて、ライブのようになりました。

(権九郎は口パク。)場内、大いに沸きました。(笑)


この入れごと、毎日変わるわけではないと思いますが、新しいネタが披露された暁には、

ぜひ皆様の目撃談お聞かせいただきたく思います。


二幕目の新吉原仲之町の場では、股くぐりのパロディがありますが、白酒売りの股をくぐる場面ははなく、

助六の股くぐりのみでした。くぐるとき、朝顔仙平を始めとする鳥居新左衛門の門弟たちは、

それぞれ何か面白いことを言ってから股をくぐるのですが、十八番助六のネタを彷彿とさせるものもあれば、

オリジナルのものもありました。


愛之助さん演じる紀伊国屋文左衛門、出番はこの場だけでして、貫録があり、教養と人望も備えた文化人の

雰囲気がよく出ていたと思います。


大詰の三浦屋格子先では、笑三郎さんの三浦屋女房お仲が、個人的に一番の眼目でした。(笑)

先月の南座は、出番は多かったですが、しどころの少ない役でしたから、短い出番でも、

今回のようなお役で拝見できますのは、大変嬉しいことでした。


そして、本来の一番の眼目である、助六の水入りですが、去年新橋演舞場で海老蔵さんが演じられたときと

ほぼ同じとご想像いただければよろしいかと思います。

水入りがあるからなのか、助六の頃には、場内の暖房がかなり効いていたように思ったのですが、

お客さんの熱気だったのでしょうか!?

助六が水に浸かるときや、水から上がった後は、ヤンヤヤンヤの拍手が沸き起こりました。

亀治郎さん、お風邪を召されませんように!



イヤフォンガイド

夜の部のイヤフォンガイドで印象に残りましたのは、

【亀治郎さん】

亀とウサギ(?)と、どちらがお好きかという質問に対して、動物は嫌いだとおっしゃっていました。

敢えて選ぶならやはり亀。それも海ガメだ、とおっしゃっていたように思いますが、記憶不確かです・・・


【七之助さん】

物欲がないそうで、家族が自分のものを勝手に使っていたとしても、「あ、使ってるな~」程度にしか思わない。

逆に、自分もその感覚で家族のものを借りることがあり、例えば兄とはほとんど体型が同じなので、

今日の服装にあった靴を兄が持っていれば、それを借りたりします、とのこと。


【亀鶴さん】

(昨年のイヤフォンガイドの質問コーナーで、理想の女性はティンカーベルと答えたそうですが、

という質問に対して、)

ティンカーベルはピーターパンのことが大好きで、ウェンディにやきもちを焼くところもかわいいし、

最後はピーターパンのために死んでいくところも愛らしい、とのこと。

ディズニー好きだが、キャラクターが好きというより、ウォルト・ディズニーという人が好き、彼が成し遂げた

ことが好きだそう。


【愛之助さん】

(今、カッコいい車に乗っておられますが、10年後はどうされるんですか?との質問に、)

10年後はエコカーに乗っていると思う。興味があるし、乗ってみたい。でも、体は一つしかないので、

今のところは今の車でいい。



終演後、浅草寺に初詣に行ってきました。(昼間はものすごい人出で、近づけなかったのです。)


↓夜の仲見世通りを本堂へ。この仲見世通り、普段は18時くらいでほとんどの店が閉店してしまうのですが、

この日は遅くまでどの店も営業していました。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓この仲見世通りで、私が一押しも二押しもしたいお店が、こちらの鞄屋さん、「れんがや」さん。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)
既製品の鞄だけでなく、お店のご主人がデザインされた、オリジナルの革の鞄がそろっていまして、

それがまた、いい仕事してらっしゃるのです!

デザインと機能性を兼ね備えた、ご主人のこだわりと愛情が感じられる商品がそろっています。

革製品がお好きな方なら、思わず足が止まって見とれてしまうような鞄がたくさん。

私も一度、観光でふらっと立ち寄りましたときに、チラッと見たこちらの鞄が忘れられなくて、

後日あらためて買いに行ったことがあります。

商品の写真をご覧になりたい方は、コチラ をどうぞ。



↓ぐんぐん本堂へ近づいていきますと・・・
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓左手にあらわれるこのお店にご注目!
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓羽子板のお店なのですが、注目していただきたいのは右下の・・・

歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓コレです!! 色紙にサインとは、ずいぶん用意のよろしいお店で・・・

歌舞伎見人(かぶきみるひと)

↓ちなみに、本堂向かって右手の店では、「歌舞伎押絵羽子板」が売られていました。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓本堂手前。両脇に、おみくじやお守りを売る棟があります。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓左を見ると、五重塔がライトアップされています。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓本堂の前には、助六でおなじみの天水桶の豪華版。

歌舞伎見人(かぶきみるひと)

↓仲見世通りを雷門の方へ戻りますと、入口あたりに浅草歌舞伎出演者の看板が飾られていました。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓最後にもう一軒、おすすめのお店をご紹介します。

雷門のすぐ右にあります、和紙の店、黒田屋本店。店内左手は、和紙で作られた定番の浅草土産が並んで

いますが、右手には、職人が手掛けた型染めの和紙が種類豊富に売られています。

サイズも柄も豊富で、私はよくここで買って帰った和紙をブックカバーとして使っています。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


浅草歌舞伎のついでに、よろしければちょいとのぞいてみてくださいませ。


おしまい。