Boris Tishchenko Symphony No.4/Gennady Rozhdestvensky

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 ようやく出たティシチェンコの交響曲第4番。ロジデーストヴェンスキイ指揮レニングラード・フィルの1978年録音ながら、モノーラル。ただ音質は悪くはない。
 なぜこの曲が長らく録音されてこなかったのかというと、長いからなんだろう。5楽章95分、マーラーの第3並みである。
 各楽章はイタリア語で、Sinfonia di forza、Sinfonia di rabbia、Sinfonia di tristezza、Sinfonia di crudeltà、Sinfonia di risorgimento e tenerezzaと題されている。力のシンフォニア、怒りのシンフォニア、悲しみのシンフォニア、残酷さのシンフォニア、再起と優しさのシンフォニアというところか。ニールセンに《四つの気質》交響曲があるが、《五つの感情》交響曲とでもいったところか。

 切り上げ口上の旋律が音色旋律的に楽器を換えつつ延々と続く〈力〉、打楽器と特殊効果とフォルティシモをぶち込み、とにかくやかましい〈怒り〉、意気消沈して楽器ひとつとかみっつくらいが合奏するだけになってしまう〈悲しみ〉、様々な音楽が交錯し、ナレーションもはいってくる〈残酷さ〉、楽観的で暖かい音調から盛りあがってショスタコーヴィッチ的つぶやきに消えていく〈再起と優しさ〉。作曲家自身は、カトリックのミサ曲の5つの部分(キリエ、グロリア……)に対応するなどと言っていたらしいが違うだろ。ナレーションはツルゲーネフの『初恋』からの断片らしい。
 すごい大曲、聴いていて疲れる。まあ、冗長と言えば冗長だが。