格安レンタカーが増えてきた。大手レンタカー会社に比べ、半額程度で借りられる。若者の車離れが指摘される中、安さをアピールし、新たな需要を掘り起こしている。【窪田淳、太田圭介】

 格安レンタカー最大手の「ニコニコレンタカー」の料金は、入会金・年会費無料で会員になると、コンパクトカークラスで12時間2525円、普通車セダンタイプで12時間4725円と大手のほぼ半額だ。08年の創業から2年で300店舗を超えるまでに急成長した。

 横浜市都筑区の住宅街にあるニコニコレンタカー仲町台店。一見すると普通のガソリンスタンド(GS)と変わらない。レンタル用の車3台が敷地内で客を待っているだけだ。この店構えにこそ、「格安」を実現する秘密がある。

 運営する「レンタス」(同区)の親会社はGSを経営。自社GSに併設したり、他社GSにフランチャイズ展開して全国の幹線道路沿いなどを中心に店舗網を拡大してきたのだ。小林修取締役は「来年末には1000店舗突破」と強気だ。

 安くできるカラクリはこうだ。レンタカーの事務所をGSと共用するため、新設なら1000万円はかかる費用が不要。GSの従業員はレンタカーの業務を兼ねるため、1人当たり月20万~30万円程度の人件費負担も大幅に軽くなる。1台1000万円前後の洗車機が既にあるのも大きな利点で、GSでの給油収入も見込める。

 また、新車を購入・リースする大手と違い、中古車を仕入れて使用。「コンパクトカークラスなら1台20万~30万円」(小林取締役)と新車の5分の1程度の初期費用で済む。

 借りた所と別の営業所に車を返す「乗り捨て」はできず、中古車ゆえに完全な禁煙車指定ができない、利用に便利な駅前に少ないなどの短所はある。だが、友人と2人でドライブするために利用するという男性(35)は「近所にちょっと出かけるなら中古車で構わない」と歓迎する。

 大手商社の伊藤忠商事も昨年4月、石油卸子会社を通じ、格安の「イツモレンタカー」を始めた。全国のGSに200店舗の加盟店を持つ。価格帯はニコニコレンタカーと同水準。中古車販売、ガリバーインターナショナルの加盟店が06年7月に設立した「ワンズレンタカー」も現在200店舗を展開中だ。

 格安レンタカー登場の背景には、少子化や若者の車離れに伴うGSの経営不振がある。

 日本自動車販売協会連合会によると国内新車総販売台数(軽自動車含む)も08年度まで3年連続で減少。09年度はエコカー減税効果で前年度比3.8%増の488万台と盛り返したが、本格回復との見方は少ない。

 国内のガソリン需要は04年度をピークに減少。全国のGS店舗数は08年度末で約4万2000店と、ピーク時(94年度末)に比べ3割近く減った。GS業界は過当競争により値下げ合戦が常態化。石油業界関係者は「2万店割れも念頭に置いている」と指摘する。

 大手のニッポンレンタカーは「全国のネットワークを生かした乗り捨てサービスや新車の需要など、格安にはない強みがある」と、格安組とのすみ分けは可能との立場を取る。格安レンタカーの店舗数、所有台数はまだ業界全体の数%程度とみられるが、「既に大手のパイを食い始めた」(GS運営会社社長)との見方も出始めている。

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