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本日は、かずさネットワークの会の第15回総会記念講演会にお越しくださりまことにありがとうございます。

ところで皆さんは、アニメーション制作のスタジオジブリをご存じでしょうか?ジブリの代表作品で、今から28年前に作られた『風の谷のナウシカ』が一昨日の夜、放映されていました。
主人公の少女ナウシカは、動物や虫たちと心を通わせ、自然とともに生き、民族の誇りを持ち、ふるさと風の谷の民を命懸けで守ります。
本日の記念講演会の講師には、まさに、風の谷のナウシカをリアルに生きて、実践してきたような宇梶静江先生をお迎えしています。
それでは、現在、木更津市中里にお住まいの講師、宇梶静江先生をご紹介させていただきます。


宇梶静江先生は1933年に北海道の日高山脈のふもとでお生まれになり、先住民族のアイヌとしてのさまざまな差別もありましたが、家族の愛情に守られ、二十歳まで農業の手伝いをしながら詩心や絵心を育みました。

二十歳のときに札幌の中学に入学、卒業の1956年に上京します。

東京で働きながら苦学の日々を送り、1958年に結婚、二児の母となり、宇梶姓になります。

次々に上京してくるアイヌの同胞の面倒をみながら、1972年、朝日新聞の投書欄に『ウタリ(同胞)よ、手をつなごう』と呼びかけ、社会的反響をよびました。

のちに東京ウタリ会を結成し、アイヌ復権運動に専念するようになります。

運動は、都議会に働きかけ、都内在住のアイヌ民族の生活実態調査を実施。新宿職業安定所のアイヌのための初代相談員も務めました。

そのような活動がやがて北海道だけではなく、全国にくらすアイヌ民族の復権運動へと発展し、現在へと至ります。

民族人権運動のかたわら、幼いころから好きであった芸術の勉強も究めていかれました。

60歳を過ぎて、アイヌ刺繍を勉強し直し、和服地を用いてアイヌの精神世界を古布絵に表現することに成功。アイヌの伝統に新たな独創的なアートの世界を開拓しました。

近年では、自然と神を敬う日本の縄文の心を追い求め、そこから縫い合わされる詩情豊かな表現に満ちた作品は、全国各地はもとより、海外でも高く評価されています。

宇梶静江先生は、そのような経験を背景に個展や講演会活動を各地で展開しています。

最近十年くらいの主な活動としては、

2001年 アメリカの先住民との文化交流に参加し、ハーバード大学で講演

2002年 ヨーロッパへの文化交流団に参加し、ドイツ、ミュンヘンでの講演会。

2003年 オーストラリアの先住民族との文化交流週間に参加。

2004年 財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構よりアイヌ文化奨励賞を受賞。

2008年 G8サミットに先駆けて開催された『先住民族サミット』に共同代表として参加。


2010年 ドキュメンタリー映画『TOKYOアイヌ』が完成。その仕掛人となりました。

昨年の2011年には、第45回吉川英治文化賞を受賞。
その受賞理由は、『古布絵』の創作や絵本の出版を通して、失われゆくアイヌ文化の伝承に努めるほか、海外との文化交流にも尽力されたということです。

ご長男は、やんちゃな経験をもつ、個性派俳優の宇梶剛士(たかし)さんです。今週も人気ドラマの刑事役として全国ネットで出演中。

本日は宇梶静江先生に『アイヌの文化と私』と題して、ご講演いただきます。
どうぞ拍手でお迎えください。