8年前、僕は不安の底にいた。
苦労して手に入れた教職の座。
休職に追い込まれていた。
ちょうどその時、君を連れてきた。
君しかいないと思った。


大吉①


毎日、夢中で遊んだ。
可愛くて、やんちゃで、無邪気な君。
ココロが少しずつほぐれていく。


大吉②


僕の要求に、120%で応えてくれた。
疲れ果てた君は、アイスノンに横たわる。
全てが全力、出し惜しみはしない。


大吉③


1ヶ月後、僕は学校へと戻った。
だけど、残念な結果が待っていた。
もはや、僕には勤まらなかった。
糸の切れた凧のようだった。


大吉④


深夜、君にひっそりと

別れを告げたその時の

全ての仕草を覚えてる



しかし、翌朝目が覚めた。
君が起こしたのかい?


大吉⑤


やがて、森の中へと引っ越した。
君を連れて。
永い眠りの後、新たなスタートを切っていた。
ちょうどその頃だった。


大吉⑥


君に異変が起こった。
足を、耳を、尻尾を噛みちぎってしまった。
ただただ途方に暮れた。


大吉⑦


サヨナラを決意した、お互いのために。
哀れな姿が胸に刺さる。
心身ともに限界だった。


大吉⑧


ふと見ると、君は以前の君だった。
僕を見つめる、安心しきった表情で。
その時、共に生きると決意した。


大吉⑨


僕はまだまだ強くない。
だけど今、あらためて思う。
君と出会えてありがとう。