オバマ大統領の就任から100日が立ちました。

大統領は、記者会見の中で「良いスタートを切ることができたが、まだ満足はしていない」と述べました。

オバマ大統領の支持率は69%と、依然として高いものです。

これは、大統領選挙で公約したことを着実に実行していることへの国民の信頼感の表れと言われています。

就任から100日で実行した公約の数は、歴代大統領の中でも最大と言うことです。

大統領自身もこのことに関しては満足していることが、記者会見での「良いスタートを切ることができた」という言葉に表れているのだと思います。

しかし、その一方で、「満足はしていない」というのは、次々と実行した公約がまだ成果を挙げていないことを示しています。

経済は底打ち感が若干出てきたとは言え、上向いたとはとうてい言えないのが実情です。

皮肉なことに、就任100日に合わせるようにクライスラーが破綻しました。

これは就任以来度重なる公的資金注入などの措置を講じてきたにもかかわらず、救済に失敗したことを意味します。

今後、GMがクライスラーと同じ道を歩む可能性も否定できず、オバマ政権にとっては難問の1つとなり続けるでしょう。

また外交の面では、ブッシュ政権と一線を画した対話重視の外交が国内外から一定の評価を受けていますが、成果を挙げるには至っていません。

特に北朝鮮外交では、人工衛星打ち上げと称したミサイル発射を止めることができず、その後の対応のまずさから核実験の再開を表明されるに至っています。

また、テロとの戦いの最前線と位置づけたアフガニスタンでは、隣国パキスタンの情勢悪化も伴い、事態は悪化の一途を辿っています。

さらに、中南米外交でも、キューバに対する制裁を一部緩和したり、ベネゼーラのチャベス大統領と握手するなどブッシュ大統領では考えられないような姿勢を示していますが、

先日の米州サミットでは、共同宣言へのサインを拒否されるなど、関係改善にはほど遠いことを思い知らされてしまいました。

このように見てくると、オバマ大統領の政策が正しいのかどうか疑わしいとさえ言えそうな気もします。

事実、対話外交については、共和党の保守派を中心に、冷戦下でソビエトに強い姿勢を示せず、アフガニスタン侵攻などソビエトの強硬な姿勢を招いて批判を浴びたカーター政権に匹敵する弱腰だという批判の声も聞こえます。

しかし、国民やマスコミはおおむねオバマ大統領の政権運営には好意的です。

アメリカが正しい方向に進んでいると考えている国民が半数を超えたという世論調査の結果も出ています。

ブッシュ政権の時には8割ほどの国民が正しい方向には進んでいないと考えていたのと比べれば大きな違いです。

その理由はどこにあるのでしょうか?

おそらく、アメリカの置かれた現状を見ると、短期間に大きな成果を挙げることができないことを国民も理解しており、

それらの難問を解決するための政策の方向性は間違っていないという風に考えているからではないでしょうか?

また、その政策を速やかに実行する行動力も、国民に安心感を与えているのではないかと思います。

しかし、現実は、オバマ大統領の努力にもかかわらず、ほとんどの分野で悪化しています。

特に、実体経済の悪化は日に日に進んでいます。

このまま経済状況が悪くなれば、国民の我慢も限界に来て、オバマ批判がはじまることになるでしょう。

また外交では、アフガン情勢などオバマ政権が重視する問題が悪化を続ければ、対話重視の外交は理想主義と揶揄されるようになるでしょうし、

その後は、弱腰だという批判が保守派以外からも挙がることになるでしょう。

そうならないために、オバマ大統領がどのような政策を打ち出して、どのような舵取りを見せるのか、これからが真の意味での正念場だと言えます。