日本代表がワールドカップ(W杯)出場を決めました。
引き分け以上で出場が決まったオーストラリア戦は、一見余裕があるように見えて、実際には追い込まれた状況になりかねない危険をはらんでいました。
もし、この試合に負ければ、残りは1試合で、しかもアウエーのイラク戦です。
中東のチームは、ホームでは強さを発揮することは周知の事実です。
それは、ホームで圧勝したヨルダンやオマーンにアウエーで苦戦したことからもはっきりと分かります。
この両国よりも実力があると思われるイラクが相手となれば、選手たちのプレッシャーもかなりのものとなるでしょうし、相当の苦戦が予想されました。
しかも、現在の日本代表は、先日のブルガリア戦にも良いところなく敗れて、チーム状態は決して良いとは言えません。
予選全体を見ても、前半の4試合の貯金でかろうじてグループ首位に立っているのが実情です。
したがって、強豪オーストラリアが相手とはいえ、この試合で決めなければなりませんでした。
このような状況の下で始まった試合ですが、日本は試合を優位に進めながら、ゴールを奪うことはできませんでした。
本田の復帰によって、ブルガリア戦に比べると攻撃は活性化されたように見えましたが、相変わらずの決定力不足は深刻に思われました。
オーストラリアも、引き分けでこの試合を終えれば、2位になれる可能性は大いにあるため、無理に勝ちに来ていないように見えました。
しかし、敗戦は許されません。
したがって、まずは失点をしないことを優先させると言うアウエーチームの典型的な戦い方をしているようでした。
日本の課題は、守備を固めたチームからいかにして点を取るかですが、この試合は典型的なものと言えたでしょう。
しかも、後半37分に失点すると言う最悪の試合展開となってしまいました。
その失点も、クロスボールがそのままゴールに入ってしまうと言うもので、ミスで与えてしまった得点と言っても過言ではないものでした。
これは負けるときの典型的な形です。
残り時間から考えて、僕はこの時点で負けると思いました。
それを試合終了間際のPKで何とか追いついたことは底力とも言えるでしょうが、ラッキーだったとも言えるでしょう。
PKに繋がったプレーも、オーストラリアの選手の不注意と言えなくもありません。
しかし、あのような状況できっちりとPKを決めることができる本田の精神力は、これまでの日本人にはなかったものだと思います。
それも、真ん中に決めるというのは、ヨーロッパや南米の一流選手並みと言っても良いでしょう。
これまでの日本人なら、コースを狙いすぎて外してしまうところだと思います。
本田のシュートコースの選択は、最善のものだと思いますが、確実に決めるのは簡単なことではなかったと思います。
このPKだけでなく、この試合でも日本の本田依存は相変わらずでした。
香川をはじめとして、実力的には引けを取らない選手もいると思いますが、この状況は当分変わりそうにありません。
こうしてようやくW杯出場を決めた日本代表ですが、言うまでもなく1年後の本大会に向けて課題は山積みです。
11日に行われたイラクとの試合には試合終了間際の岡崎のゴールでかろうじて勝ちましたが、チーム状況が良くなっ
これで、アジア最終予選を5勝2引き分け1敗の勝ち点17で終えたことになります。
成績としては悪くありませんし、5大会連続出場と言うのも、アジアの強豪と言われるにふさわしいものです。
それだけに、今年に入ってからの調子の悪さが気になります。
次は、15日からのコンフェデレーションズカップでどんな戦いを見せてくれるかですが、今の日本なら1勝もできないでしょう。
しかし、それはそれで良いことかもしれません。
W杯出場を決めたのですから、これからは目先の勝利に拘らずに、1年後に照準を合わせたチーム作りが必要です。
今のチームでは限界が見えているように思いますので、新しい選手の発掘はもちろんですが、今のメンバーでの戦術の練り直しなど、時間をかけてチームの力を底上げしていく必要があると思われます。
コンフェデレーションズカップは、そのために今のチームの問題点を明らかにする場と位置づけても良いのではないかと思います。
そして、W杯では前回を上回る成績を収めてほしいものです。