良心の書評-1【朝】

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谷川俊太郎の名前は知っていたが、本格的に彼の詩と出会ったのは、やはり『朝のリレー』だった。これは反戦の詩だと思った。戦争を悲しいと思う心を表す言葉は、これほどまでに無数にあり、そしてたおやかに、けれども心の奥底に響いてくる。
     …ぼくらは朝をリレーするのだ
     経度から経度へと
     そうしていわば交替で地球を守る…
谷川さんの詩に限らず、優れた詩や言葉に出会うと、義理で顔を知らない故人の葬式に出向き、ただ「ご愁傷様でございます」と決まり文句を発するような風習に、無情の残酷さを感じる。

『朝』 谷川俊太郎/詩 吉村和敏/写真 アリス社

この本は美しいビジュアル本で、12編の詩と美しい写真が右開きで、絵本形式の朝の写真と短い言葉が左開きで収められている。写真が美しいのでもう少し大判でも良いぐらいだが、A5程度の大きさなので常に自分の傍らに置いておくのにちょうどいい。すべて朝をテーマにした詩なのだが、ただ美しいだけの詩ではなく、背景にはっきりと生々しい人の営みや心のうちも描かれていて、より心に強く刻まれる。
12編の中でも好きな詩「朝のかたち」の一節…
     朝がそこにあった
     蛇口から冷たい水がほとばしり
     味噌汁のにおいが部屋に満ち
     国中の道で人々は一心に歩み
     幸せよりたしかに希望よりまぶしく
     私は朝のかたちを見た
この一節にも心がかかった。「朝1」の一節…
     始まるに時なく所なし
     私が生き
     私が日日を殺してゆく
     ただ心のみをあふれさせて

詩集をあまり論評するのは、言葉を殺すような気がする。どこかで出会って、心に響いた人が買い求めれば良いと思う。ミステリー小説と違って、筋書きがわかっても、何度も読み返す価値があるのだから。

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番組改編期にあわせて、連続ドラマの初回を観た感想をエントリーしてきたが、その後も観ているもの、きっぱりやめたものと完全に分かれた。
エントリーしたドラマは
  『ラストクリスマス』
  『マザー&ラヴァー』
  『一番大切な人は誰ですか?』
  『黒革の手帖』
  『夫婦。』
  『ねばる女』
の6本。ちなみにそのほかのドラマで『めだか』は録画したが、先に2度目をちらっと観てしまい、あまりピンとこなかったのでビデオをまだ観ていない。『3年B組金八先生』はまったく観るつもりがなかったが、なんとなく横目で毎週観ている。さすがに結構おもしろい。私は第1回の放送(つまり杉田かおるのシリーズ)で、リアルタイムの中学生(つまり彼らとだいたい同年代ってこと)。今さらねえ…と思っていたが、結構現代の中、高校生にも人気があるらしい。

まあ、それはそうとして結局継続視聴しているのは、『黒革の手帖』(予定:みなさんご存知のように2回目をまだやっていない)と『夫婦。』のみ。『黒革の手帖』は世間的評判もイイみたい。確かに今クールのいちおし。前回の中止(日本シリーズのため)のクレームもすごかったらしく、月曜日の朝のテレ朝の番組でアナウンサーが焦ったのか、「黒革の手帖は今日2回目を放送します」と言ってしまい、今度はメインMCが焦りまくっていた。(もちろん根も葉もない勇み足)
『夫婦。』は結構おもしろいかも…と思い始めている。前回の田村正和、黒木瞳のセックスシーン(モロじゃないですよ。雰囲気だけ)と翌朝シーンなんかわざとらしすぎてなかなか楽しめたし、羽田美智子の迫り方も本人(脚本)は大真面目なのだけど、結構コミカル。キレイで品の良い人だけにねえ。とにかくやっぱりこの枠はあなどれない。とにかく今回私的に残ったのは、『黒革の手帖』『夫婦。』の2本のみで、金八先生横目でちょっとだけ観ようかなという感じ。これは単に若手のドラマを観る許容量がなくなった(=歳をとった)というだけかも。

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今さら説明するまでもなく、林真理子さんは日本を代表するベストセラー作家の一人だろう。好き嫌いは人によって極端にしろ…。私も以前は嫌いだったのだが、 「コスメティック」を発表したあたりから、たまに読むようになってきた。素材は軽薄な部分もあるのだが、書き込みが緻密で上質のテレビドラマを観るような気分で読むにはちょうどいい(それほど頭を使わなくていいということ)。その流れで手にとったのが『ミスキャスト』。しかしこの作品、林真理子にしては売れない部類だったみたい…。ちなみにこれは週刊現代に連載された作品。主人公が男性の不倫小説になっている。

『ミスキャスト』 林真理子 講談社

主人公は商社マンの男・原岡。林真理子の描写的には特に容姿が優れているわけではないが、女にもてまくる男らしい。どんな男なのだろう…と普通は思うが、私は思わなかった。そのワケは後で書くとして。この男30代後半でバツ1。前妻との間に女の子がいる。前妻は家柄もよろしく専業主婦タイプ(実際にも専業主婦?)。離婚後2度目の結婚をするが、この妻は前妻とは反対にPR会社に勤めるキャリアウーマンで、性格やライフスタイルも異なるタイプ。それでもこの男は満足できず、これはミスキャストではないか、もっと自分にあった女がいるのではないかと女の間をさまよう(ちなみに風俗とかは行かないタイプ。すべて素人女)。最初は結構要領よくいい思いをしているのだが、徐々に歯車が狂いはじめ…。そして行き着いた先は、前妻の親族で地方放送局のキャスター。清純そうに見えたこの若い女が結構つわもので…ラストはちょっと怖い感じで終わる。

どんな男だろうとまったく思わなかったのは、原岡とまったく同じような人生を辿っている男が身近にいるから。結局その本もその男に贈呈してしまい、もう私の手元にはない。本人が「俺の人生を書きやがった。印税よこせ。」と怒っていたぐらいだから、そういう意味ではこの小説は異様なほどリアルなわけだ。じゃあ、なぜあまり評判にならなかったのか。本当に起こり得ることは、真実の方がよりおもしろいということと、ターゲットが今ひとつ明確でなかったことかな。男性に向けて書かれたにしては、男が喜んで飛びつくような感じのネタではない。つまり男にしてみればこういう境遇と関係のない(つまりもてない)人にはおもしろくない話だろうし、こういう境遇だとちょっと空恐ろしい感じというか。まあ、最後が小説ぽい終わり方だったので、完全ドキュメンタリーにはならないにしても、ナマっぽい感じは否めない。女性にしてみれば、まあある種男の生態を理解するにはいいのだけど、こういう男とかかわっていない女は親近感が持てないだろうし。もうちょっとパンチがあったら、きっと話題になったような気がする。私的にはとてもおもしろかったが、やや残念といったところか。

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直感的CF評-2【日本生命保険】

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これを二番煎じというのは酷か…。けれどもネスカフェの朝のリレーの内容が美しく、評価も高かったことから、どうしてもこのCFがあざとく思えて仕方がない。確かにネスカフェのCF、実は海外ではいまひとつ理解を得られていない。あまりに商品とかけ離れているという。つまり商品広告ならもっとコーヒーの美味しさとか香りとか直接的なファクターに触れるべきではないかという。ただ、日本国内でネスカフェのコーヒーの評価というものはおおよそ決まっている。新製品のCFでもない限り、今さら美味しいとか香りがどうの…と言われても伝わってこない。それよりはあの美しい谷川俊太郎の詩のピュアな朗読と音楽の旋律、風景の情感のコラボレーションの方が心に響く。しかも戦時というタイミングが絶妙だった。SMAPの「世界に一つだけの花」に通じるものがあった。日本生命のCFは同じく谷川俊太郎の詩を使いながら、内容が直接的だ。

『ニッセイ企業広告』 愛する人のために

保険にダイヤモンドの輝きもなければ、
パソコンの便利さもありません。
けれど目に見えぬこの商品には、
人間の血が通っています。
人間の未来への切ない望みがこめられています。(…続く)

この谷川俊太郎の詩そのものが何ら悪いわけではない。ただ、この詩は企業からの依頼で作られたものだろう。昔、俵万智の「サラダ記念日」が大ヒットした際にも、企業が広告コピーとしてその作品を使った。曖昧な記憶なので正確ではないが、おそらく発表された作品原文のままの使用だったと思う。企業が許可を得て、詩人や俳人、作家などの作品を使うことが悪いと考えるわけではない。ただ、企業の利害にあわせて、オリジナルを作り、それが垣間見えては作品そのものの美しさを半減させてしまう。また、そこに谷川氏の名前、つまり谷川ブランドという冠をつけると、ニッセイは谷川氏の名を借り、つむぐ詩の芸術性を借り、自社商品のフレームアップの共犯にしているような疎ましさを感じる。ヘタをすれば芸術家の価値さえ、引き下げかねない危うさがある。ネスカフェが使っている朝のリレーには、コーヒーの一言はどこにも出てこない。万が一、これがネスカフェのCFを前提として作られていたとしても、視聴者や消費者は心地よくだまされ、この作品を選び取った企業のセンスに共感できる。「ベタ」という言葉で表せば簡単だが、日本生命と谷川氏のコラボレーションは安易過ぎる気がしてならない。

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原書は読んでいないので、翻訳の力はあるかもしれないが、著者「ローラ・リーズ」のデビュー作だと考えると筆力は秀逸。ここまで欲張れば散漫になっても不思議はないいくつかのモチーフ、テーマをうまく繋ぎ合わせ、そして飽きさせない。物語の背景、人物の様相、醸し出す雰囲気、行為のデッサンも生々しすぎず、空虚でもない。多少女性特有のファンタジックな部分も垣間見えるが、私も女性なので気にならない(むしろ読みやすい)。ただ、一つ大きな難を言えば、邦題はいただけない。これではまるで性生活日記みたい。

◎『Mの日記』 ローラ・リーズ/池田真紀子訳 早川書房

主人公ノーラは新聞記者。ノーラの妹フラニーは若くして変死する。男勝りのノーラと正反対のフラニーは、暴行のあと殺されていたが、真犯人はつかまっていない。真犯人をつきとめるべく、もっとも疑わしいフラニーの生前の年上の恋人、大学教授であるマイケル・Mに自分から近づいていく。やがてノーラは妹と同じようにMに服従する関係になり、最初は反発しながらもやがて自らの意思で激しいSMの関係と与えられる痛み、そしてセックスに溺れていく。関係が深みにはまっていくにつれ、フラニーを殺したのはMではなく、今のノーラの恋人であるイアンではないかと思い、その気持ちは確証に変わる。そして、その結末は…。
最初に絶賛しておいて何だが、きっかけとなる姉妹の関係性とそれを引き金としたノーラの行動は、ストレートな説明、つまり妹への愛情や新聞記者としての探究心でこじつけるならいささか物足りない。今ひとつ妹との関係が描ききれていないし、キャリアウーマンとしてのノーラのプライドは希薄だ。ただ、もし深層心理に男性に対する歪んだ欲求、恋人との性的関係における不一致があったのだとしたら、そしてひきつけられるように危険な方向に身を投じようとしたのなら理解できる。

実は結末は強引なうえ、残忍な感じで好きになれない。結論も明瞭でなく、後味が悪い。せっかくの長編を引っ張ってきた筆力と数々のモチーフの魅力が半減している。SMの描写は賛否両論あるだろうが、2人の関係性が深まる中で犯人がMではないと思い出すあたりの心理描写は読み応えがあった。さらに小説の力だと思うが(映像になるとそうはいかないかも)、Mという男性がただの汚らしい変態男のようなイメージはなく、知的でミステリアスな男として描かれていたのがいい。ただ、相手役としてノーラは少々年齢より子供っぽい印象を受けた。おそらく想像だが、この作家が若くて、大人の女性の在り様を描ききれなかったのかもしれない。ちなみにタイトルはともかくこの作品をSM小説として読むことはすすめられない。そう読み取れなくもないが、そこに何かを求めすぎると若干期待はずれもあるかもしれない。官能ミステリーぐらいの軽い気持ちで読むにはちょうどよい。文体も読みやすい。原文の英語も美しいらしい。今後も作品を出してほしい。

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飯島直子主演、納豆屋の話だから「ねばる女」。NHKでしか成り立たない企画である。でもNHKのドラマは嫌いではない。ドラマだけじゃなくドキュメンタリーもニュースも、スポーツも制作予算をかけて人件費を削っているから、質の高いものを送り出している。月曜日の9時の枠はつい見逃しがちだけど、前回の西田敏行主演のじいさんの話も、その前の草笛光子と浅野温子の嫁姑の話も、設定は地味なのに構成や台詞にリアリティがあり、それでいてちゃんとドラマティックな出来事や引き込む魅力があって、見ごたえがあった。今回はどうだろう。なにしろ織田・矢田の協力タッグ月9の裏番組である(そんなこと気にしないか…天下のNHKは)

『ねばる女』 NHK月曜21時15分~10月18日スタート

初回は最後の10分までは単調なつくり。早い話、登場人物の背景の説明だ。主人公の飯島直子は、インテリアデザイナー。でも頑張りすぎて逆に評価されていない。夫と子供がいる。姑もはっきりはわからなかったが、元キャリアって感じの裕福な家という設定。夫はアパレル会社で有能なマーチャンダイザー。まあ、今時アパレルのMDとインテリアデザイナーが最先端のように描くあたりがNHKぽいご愛嬌か…。それで息子もまあまあいい子。主人公は父親に嫌悪感を持っている。実家は水戸の古い納豆屋。ある日突然エリート商社マンの兄が納豆屋を継ぐと言い出し驚くが、その兄が急死する。

最初がまどろっこしかったのに、お兄さんが死ぬところだけ急展開。まあ、これがなければ次回に引っ張れなかったかもしれない。飯島直子、納豆屋を継ぐことになるのか?NHK的にはそれもありかもしれないが、それじゃちょっとどうなのよ…っていうのもある。それって今の仕事から逃げるってことでしょ?あと、気になったのは、いい歳をして自分に子供までいるのに、父親に対する嫌悪感とか家族への接し方とかがまるで子供っぽい。それが主人公の人となりをフレームアップしていてドラマ的にはわかりやすくおもしろいのだけど、こんな女、ちょっと嫌だなと思う。これが働く女(この表現、古いね)の平均だと誤解されるとつらい。

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今流行の韓流…でもこれは流行ったのだろうか。話題にはなった。韓国ではかなり問題にもなったらしい。確かにこの作品を一般の映画館で上映するのは、韓国のお国柄を考えれば相当の覚悟というか冒険だったに違いない。私は実はこの映画、映画館で観た。何を上映するか傾向がつかめないことで有名な渋谷のシアター・イメージフォーラムだ。この映画館、ちょっぴりシュールな印象も手伝って、ヤバめの映画でも結構女性一人客が多い。案の定この映画が上映された時もそうだった。

『LIES嘘』 キム・テヨン/イ・サンヒョン主演・チャン・ソヌ監督 公開済/DVD・VTRで発売中

簡単に言ってしまえば韓国のSM映画である。しかもいわゆる官能的なプレイやシーンはあまりなく、とにかくお尻を叩くかセックスするか。まあ、普通セックスは官能的なものなのだが、ちょっと女優が子供すぎる。実際も若いし、設定も若い。男の年齢はそこそこ中年なのに…。韓国の男も若い女が好きなのかな?これじゃ、セックスがなくて、裸じゃなければ、子供が悪いことをして叩かれているようにも見える。ただ、時間を追うごとに少しキレイに大人びて見えるようになってきたので少しは許せる。でもストーリーはちゃんとある。ドキュメンタリータッチな表現をとり入れるなどの工夫もある。男は別居中の妻がいる美術家で女の子は高校生。妻とは男の性癖が原因で別居中(このアナザーストーリーの方が興味津々なのに、断片的にしか出てこない…)。逢瀬を重ねるうちに女の子はだんだん成長していき、やがて立場(男が女にぶたれるようになる)は逆転し、最後には女の子は巣立っていく…みたいな感じ。

ちなみにこの映画、ベネチアなど各種映画祭にも出品されている。日本だとちょっと厳しいんじゃないかと思うけど、韓国の映画文化って、このところ急速に変わってきているのかもしれない。内容的には、とにかく好みだけでいえば、女優と物語の設定の女の年齢が若すぎて、私には感情移入しにくかったし、エロスや性癖の切なさは感じなかった。SM的行為で、とりわけスパンキングというのは、大人の女がされることに官能があるのだと私は思う。ただ、決して映像は汚くなかったし、おどろおどろしくもなかった。部屋の中のシーンばかりでなく、内容のわりにロケも多い(屋外プレイシーンはないのであしからず)ので、韓国の地方都市の情景も垣間見れていい感じだった。こういう題材はヘタをすれば、目をそむけたくなることもあるのに、そうはならなかった点ではなかなかのもの。2人の心情についても、もう一歩で理解できるというところまでは入り込めた。しかしドキュメンタリータッチにする技法は余分だったような気がした。フィクションなのか、ノンフィクションなのかを曖昧化したかったのだろうが、これも中に入り込めなかった原因の一つかも…。

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直感的CF評-1【ツーカー東京】

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携帯電話のCFは何かと話題になることが多かったのに、最近いまいちパッとしない。その中でまあアグレッシブだなと思えるのはau。最近ヨン様まで登場させて『グローバルパスポート』をアピール。ちょっと前の仲間由紀恵と松下由樹の組み合わせのナビゲーションのCFも良かった。ツーカーも松本人志を前面に出したCFで差別化をしていたところまではまだ受け入れられたのに、今のCFはちょっとひどい。

◎携帯電話『ツーカー東京』 年齢分布編(?)

ダウンタウンはじめ、日本の人口分布どおりの老若男女の人たちが並んでいるアレである。言いたいこと、コンセプトはよくわかる。わかりすぎるぐらいわかるけど、まったくクリエイティブがない。表現が稚拙すぎると思う。まるでプレゼン用にプランナーが作った企画書がそのままCFになった感じで笑ってしまう。何もあのつくりで、ギャラの高いタレントを使う必要もない。ダウンタウンのキャラクターの力をむしろ消してしまっている感じ。ツーカーの製品は使ったことがないけど、機能がシンプルで説明書もわかりやすくて、ケイタイを玩具や楽しみではなくて、最低限の機能性を話すことや仕事で使いたい人に良いと言いたいのだろう。人口分布なんか関係ないし、あれじゃ、なんか年寄りのためのケイタイみたいで、年齢の高い人も敬遠しそう…人って無理してでも自分を若いと思いたいものよ。

私もビデオに番組を入れるとCFを飛ばして観る方だけど、CFにも素晴らしいものはいっぱいある。今オンエアされているものなら、マスターカードのCF、カップヌードルのCF、少し前ならネスカフェとか。良いCFはその企業の知性を感じるし、製品やサービスの品位を引き上げる。でも最近は本当に良いCFが少なくなった。CFのおかげで無料でテレビが観られるのにね。もったいないと思う。

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もちろん観たのは杉本彩の『花と蛇』で、以前のバージョンは未体験。これも正直あまり興味がなかったのだけど、女友達が映画館にわざわざ観に行ったというのを聞き(余談だが、映画館を出た後、変なオヤジに後をつけられたらしい。今時そんなヤツいるんだね。でもこういう映画を銀座じゃなく、新宿に観に行った彼女たちも彼女たちだけど)、私はDVDで観ることにした。実はSM小説はたまに読む。といっても、村上龍とかライトなヤツだけど、だから団鬼六も知っていた。なぜ興味を感じなかったかというと、この人の世界観に恋愛や愛を背景にした情念が絡む余地がないような気がしていたからだ(それがSMだと言われれば何も言えないが)。それでこの映画がどうだったかというと…。

『花と蛇』 杉本彩主演・石井隆監督 公開済/DVD・VTRで発売中

ストーリーはなんかあったっけ?杉本彩扮するタンゴダンサーの令夫人(団鬼六的表現)がセックスレスのダンナ(野村宏伸)の借金のかたか何かでSMショーに売られるんだよね、確か。その後はいわゆるショーのシーンが繰り広げられて、最後はダンナ共々少しいたぶられた後に解放される。そしてなぜかビルの屋上で二人で踊って終わる。

まず杉本彩にはがっかり。男から見て、彼女色っぽい?ちょっと不思議。もっと役不足だったのは野村宏伸だけど、もはやこの人は仕方ないか。役者的に救いはやくざの役の遠藤憲一とピエロ役の伊藤洋三郎。二人ともちゃんと見たのは、これが初めてだったけど、なんとも色っぽいいい男で、演技も良かったと思う。遠藤憲一は、その後TBSの『逃亡者』(江口洋介主演)でもすぐ死んでしまう脇役だけど出ていた。出番は少ないけど、異様に存在感があった。ただ顔の作りが「宮迫」に似ていると思ったのは私だけか?
女はエロチシズムの中にもストーリーと感情移入を求める。だから肉体と行為だけを見せられてもやっぱりつらい。杉本彩扮する貞淑な(この前提がかなり厳しいが)妻がSMの世界に心から堕ちていくのか、あるいは最後まで嫌がっているのか、そのあたりの表現ができていなかったというか、見ている方にわからなかった。どっちかといえば、ただ痛みに耐えているようにしか見えなかった。これなら中途半端な背景描写や理屈を省いた方がまだせめて男性だけにでも受け入れられたのではないか。私見だけど、SM的エロチシズムは本来は女性の方がむしろ受け止めやすいように思う。本当に妖しくも美しい、でも生々しさもある情念の世界が描ければ、隠れた女性ファンが姿を見せるような気がするのだか。

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